「自分の親と葬儀の準備について話し合ったことがない」という人が76.7%もいることがインターネット調査で分かった。また約27%が「親が亡くなる前に“葬儀の実施意志”や“案内対象者のリスト”を準備しておらず困った」経験があるという。

この調査は、関東、東海、関西地方で葬祭事業とフランチャイズ事業を展開するティア(名古屋市)が、全国の40歳以上の男女1000人を対象にインターネットで行った。

「親の気分を害したくないから」話題にしない

葬儀の準備は思った以上に手間や時間がかる。とくに親や配偶者の場合、普段から距離が近い割には、話題にしている人は少ないようだ。調査で明らかになった8割近くの人は、「残された人間で決めればいいから」、「親の気分を害したくないから」「縁起が悪いから」という順で、話し合わなかった理由を挙げている。

昔に比べて葬儀については、合理的な考え方が当たり前になってきた。散骨や樹木葬などの新しい形態の埋葬やお墓のあり方が話題になったり、都市部で納骨堂が人気を集めたりすることも背景にある。ただ、やはり親や配偶者に対し、いざという時を想定し面と向かって相談するのは躊躇するのだろうか。

準備をしていなかったため「困った」

しかし、親を亡くした人のうち、約27%が「準備をしていなかったため困った」経験があることも調査では分かった。核家族化などの進行で、気軽に相談できる相手が減っていることも背景の一つにあるようだ。

困った理由のうち最も多かった回答は、「墓」。次いで「葬儀実施に関する親のヒアリング」、「案内対象者のリスト」、「葬儀費用」などだった。葬儀費用については、インターネットなどでも手軽に調べられるようになった。

だがお墓や参列者のリスト作りなどは、親が生きているうちにヒアリングしておかないと、慌てふためくことになりそうだ。高齢化も進んでいる。血縁者などが参列できるかどうかの見極めも必要になってくる。

また、困ったことの中に「葬儀のプラン・演出」も回答としてあった。これも事前の準備があれば、葬儀についてあれこれ工夫できそうだ。故人を偲び、送るものとして葬儀を前向きに捉えられれば、故人が好きだった音楽や趣味などをうまく演出して、葬儀に個性を出すことも出来るだろう。

最近は、「終活」も社会現象として注目されている。終活は、自分自身で事前に参列者や葬儀のプランを演出できるメリットがある。事前の話し合いの中にこうした話題を盛り込むことも必要だろう。

一方、困ったことの回答トップの「墓」については、様々な問題がありそうだ。

核家族化や少子化が急激に進む日本では、お墓を受け継ぐ人が少なくなり、いわゆる無縁墓も増えているという。理由はいくつかあるが、人口の都市部への集中もその一つ。故郷にいる両親の面倒を見ることもままならず、いざ亡くなったときに、その故郷の墓をどうするかを巡って議論が絶えない。

高齢化の進展も大きな問題の一つだ。高齢の人が亡くなった場合、法事やお墓参りをするということ自体が難しくなる。残された人も同じように高齢であることが大きな理由だが、核家族化も後押しする。一人暮らしなどの場合はさらに深刻だ。

これらを総合的に捉えて、話題にすれば、事前の話し合いもスムーズにいくかもしれない。

自分の葬儀は気にしない

では自分自身の葬儀についてはどうだろう。「自分が亡くなった後に葬儀をしてもらいたいか」尋ねたところ、「はい」が41.7%、「いいえ」が58.3%と、2014年の調査以来、初めて「いいえ」が上回った。

その理由(複数回答)は、「葬儀をする必要を感じないから」(60.5%)が最も多く、次いで「準備などに手間や面倒をかけさせたくないから」(43.6%)、「経済的に厳しく、お金をかけたくないから」(24.5%)などとなった。

しかし、自分の葬儀はしなくてもよいと回答した人の中にも「配偶者の葬儀をしたい」人は51.8%、「親の葬儀をしたい」人は59.0%あった。「葬儀をしてもらいたくない」は、「葬儀が全く必要ない」ということではなく、「自分自身の葬儀をする必要を感じていない」ことの表れで、配偶者や親を送るための儀式としては必要と感じているのでは、と分析している。

葬儀については、儀式であると同時に気持ちの問題も関係する。配偶者と親の葬儀をしたい理由をそれぞれ尋ねたところ、いずれも1位は「供養のために必要な儀式だから」。次いで、「気持ちに区切りをつけたいから」だった。

また、自分の葬儀に誰に参列してもらいたいか、尋ねたところ、「自分の子供」が77.0%でトップ。以下は「配偶者」、「兄弟・姉妹」、「友人」、「親族」の順。血縁者が多く選ばれることは当然だが、「友人」の比率も高い。自分の親の葬儀や配偶者の葬儀についても「友人」の参加を希望する回答が目立ち、葬儀の演出プランなどにも影響を与えそうだ。

文・ZUU online編集部

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