なぜ認められている「混合介護」が広がらないのか 要介護者の「家族の食事」を作っちゃいけないの?

2019.4.10
RELATIONSHIP
(画像=Robert Kneschke/Shutterstock.com)
(画像=Robert Kneschke/Shutterstock.com)
介護保険が適用されるサービスを受けている要介護者は、何も介護サービスのみを必要としているわけではない。たとえば電球の交換、庭の草むしり。今の時期なら大掃除などもある。こうした介護保険適用外のサービスも同時に受けられるようにする「混合介護」が注目されている。

混合診療は認められていないが

実は介護保険では、混合介護は現状でも禁止されているわけではない。これは「混合診療」が認められていない健康保険(医療保険)とは異なっている。ちなみに、健康保険での医療と自費での医療という混合診療が認められていないのは、“命の平等”や“根拠が確立されていない民間療法と国に認められた保険診療が混在してしまう”という視点からだそうだ。

医療保険とは異なり、介護保険では「混合」が認められているのだが、厚生労働省はこれらのサービスを明確に区分けすべしという立場。このためサービス事業者は、実態として混合介護を提供していない。その実態を問題視した公正取引委員会が、混合介護を利用しやすくする弾力化措置を求める報告書をまとめたと報じられた。

介護+家政婦サービスを提供?

介護保険で認められているサービスは「原則として1割負担」で受けられる。しかし何でもしてもらえるわけではない。要介護者が日常生活でして欲しいであろうこまごましたことを、介護保険の適用サービスとして受けられない。たとえば介護サービス事業者は、要介護者の食事・洗濯・部屋の掃除と一緒に、「同居している家族のための家事」はできない。

これは介護職員が食事作業をする際、介護が必要な人の分しか作れない決まりなっているからだ。家族の食事も一緒に作る事により外で働く家族が帰宅した時に大いに助かるばかりか効率的にサービスを提供できるようになるのだ。

これは「介護サービス」ではなく「家政婦サービス」といえるだろう。まさにその家政婦サービスの提供を、介護サービス事業者ができるようにしてしまえば、要介護者とその家族にとっては嬉しいはずだ。「家政婦サービス」の部分に保険を適用するわけにはいかないだろうが、利用者が別に費用負担をできるなら、お互いにとって悪い話ではない。

混合介護は、介護の労働力不足の深刻な社会問題化する解決案としても有効だろう。事業者間の競争が生まれ、介護業界の待遇改善や新たなサービスの誕生も期待されている。要介護者は質の高いサービスを受けられるようにもなるはずだ。

たしかに混合介護の弾力化を進める際、価格をサービス事業者が決められるようになれば、サービスが高価格化する恐れはある。

しかし誰もが知るとおり、介護保険財政や社会保障財政は、高齢者の増加で悪化の一途をたどっている。政府は2015年度約10兆円の介護給付費を2025年で約20兆円と見込んでいる。

混合介護は事業者の活動をより活発にするはずで、経済への好影響が期待できる。厚労省は、介護保険が適用される部分のサービスの質がしっかり維持されるよう監督すればよいだけだ。そもそも混合介護は法律では認められているはず。あとは弾力的な運用を厚労省が認めるだけとの指摘もある。

文・ZUU online編集部

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