FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=MONEY TIMES編集部)

FXのスキャルピングしか勝てない人の問題点は主に5つある。勝率ばかり気にする、損切り・利確ポイントを逃す、レバレッジが高すぎる、などがその例だ。

デイトレードやスイングトレードでも勝つには、資金管理や勝率・リスクリワードの見直し、ファンダメンタルズ分析・テクニカル分析・マルチタイムフレーム分析をする、ポジポジ病にならない、などが重要だ。

FXでスキャルピングしか勝てないと感じるトレーダーにありがちな5つの問題点

1.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=MONEY TIMES編集部)

FXにおいてスキャルピングでしか勝てない人の潜在的な5つの問題点は以下だ。

デイトレードやスイングトレードで利益を出せない状態でトレードを続けていくと、損失が積み重なったり大きな損失を出したりする恐れがある。長期でのトレード成績を考えるなら問題点を認識して、それを改善することが重要だ。

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問題点1……勝率ばかりを気にする

スキャルピングでは損切り(ロスカット)や利確(利食い)の値幅が小さいため勝率重視で勝てていても、デイトレードやスイングトレードでは値幅が大きいため勝率が良くてもトータルの損益で負けることがある。

デイトレードやスイングトレードでは、勝率ばかり気にするよりも、リスクリワードを意識してトレードすべきだ。

リスクリワードとは
トレードでのリスク(損失)とリワード(利益)の比率のこと。トレードで受け入れるリスクに対して、どれだけのリワードを得るかを数字で表したものであり「リスクリワード比率」という。

リスクリワード比率は「勝ちトレード平均利益÷負けトレード平均損失」で算出できる。勝ちトレード平均利益と負けトレード平均損失が同じなら、リスクリワード比率は1になり、勝ちトレード平均利益が負けトレード平均損失の2倍なら、リスクリワード比率は2だ。

たとえば、負けトレード平均損失が10万円で勝ちトレード平均利益5万円、10万円、20万円の3つのケースを考えてみよう。リスクリワード比率は、それぞれに0.5、1、2となり、勝率50%のときの平均通算損益は以下だ。

勝率50%のときのリスクリワード比率と平均通算損益
リスクリワード比率 勝ちトレード平均利益 負けトレード平均損失 平均通算損益
0.5 5万円 10万円 -2.5万円
(=5万円×0.5-10万円×0.5)
1 10万円 10万円 0万円
2 20万円 10万円 5万円
(=20万円×0.5-10万円×0.5)

勝率50%ならリスクリワード比率が1を上回れば、通算損益がプラスになる。

勝率40%と60%の場合に、同じリスクリワード比率0.5、1、2の通算損益の平均は次だ。

勝率40%と60%のときのリスクリワード比率と平均通算損益
勝率 リスク
リワード比率
勝ちトレード
平均利益
負けトレード
平均損失
平均通算損益
40% 0.5 5万円 10万円 -4万円
1 10万円 10万円 -2万円
2 20万円 10万円 2万円
60% 0.5 5万円 10万円 -1万円
1 10万円 10万円 2万円
2 20万円 10万円 8万円

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勝率40%でもリスクリワード比率が2なら、平均通算損益は2万円(=20万円×0.4-10万円×0.6)のプラスだ。勝率では負けても、リスクリワード比率を高めれば通算損益はプラスになる。

松本 雄一

FXでは勝率よりもリスクリワードのほうが改善しやすいといわれます。通算損益が勝てるように、勝率とリスクリワードを意識してトレードに取り組みましょう。

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問題点2……損切り・利確のタイミングを逃す

スキャルピングの数pips程度の損切りや利確ならうまくいっても、デイトレードやスイングトレードでは値幅が大きいために損切りや利確を冷静に判断できず、タイミングを逃すことがある。

損切りや利確のタイミングを逃すと、トレード回数の少ないデイトレードやスイングトレードでは、損失の拡大や、利益の減少につながりやすい。その結果、トータルの損益に大きな影響が出る。

たとえば、次の米ドル/円チャートの137円で買い、損切り①の136.5円で決済すれば50pipsほどの損失で済むが、損切り②の136円まで決済を逃しては損失が100pipsほどに膨らむ。

2.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=TradingViewの画像をもとに筆者作成)

損切りや利確の判断に問題があれば、損切り・利確のルールを決めてトレードすべきだ。

損切りや利確のタイミングを逃さないためにも、エントリーの際に損切りや利確の水準を決めておくと良いだろう。

エントリー時、またはエントリー後すぐに損切りと利確を注文しておけば、損切りラインで自動的に損失が確定し、利確ラインで自動的に利益が確定する。

損切りや利確のラインを決める方法は、値幅やテクニカル分析などがあります。
テクニカル分析とは
過去の値動きのチャートを用いて今後の相場を予想するもの。

値幅で損切り・利確ラインを決めるなら、ポジションの建値(エントリーした価格)から何pips逆行したら損切りして、何pips利が乗ったら利確する、といった決め方をする。

テクニカル分析で損切り・利確ラインを決めるなら、トレンドライン、サポートライン、レジスタンスラインなどを基準にする方法がある。

トレンドラインとは
上昇トレンド、下降トレンド、横ばい(レンジ)を判断するためにチャートに描画するラインのこと。
3.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=みんなのFXより引用)
サポートラインとは
トレンドラインにおいて過去の複数の安値を結んだライン。そのラインで下値がサポートされやすいことを判断できる。サポートラインを下抜けると下落に転じることがあるため、サポートラインの下を損切り・利確ポイントにすることがある。
4.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=みんなのFXより引用)
レジスタンスラインとは
トレンドラインにおいて過去の複数の高値を結んだライン。そのラインが上値の抵抗になりやすいことを判断できる。レジスタンスラインを上抜けると上昇に転じることがあるため、レジスタンスラインの上を損切り・利確ポイントにすることがある。
5.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=みんなのFXより引用)
松本 雄一

損切りや利確のルールは必ず守ることが重要です。ルールを守っても勝てなければ、ルールの見直しを検討しましょう。

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問題点3……レバレッジが高すぎる

スキャルピングと同じようなレバレッジでデイトレードやスイングトレードをしているなら、リスクが高すぎるかもしれない。大きな値動きがメンタルに悪影響を与えれば、トレードの失敗につながりやすい。

レバレッジとは
取引のために預けた保証金(証拠金)より大きな金額の取引ができる制度。国内FX業者は、保証金の最大25倍までのレバレッジ取引ができるところが多い。

たとえば、保証金100万円で米ドル/円を10万通貨取引する場合を考えてみよう。損切りラインまでの値幅を、スキャルピングは10 pips、デイトレードは30 pips、スイングトレードは100 pipsとする。

米ドル/円取引時のトレードスタイルによる損失額の比較
トレードスタイル 取引数量 損切り値幅 損切り時の損失 保証金(100万円)に
対する損失額の割合
スキャルピング 10万通貨 10 pips -1万円 1%
デイトレード 10万通貨 30 pips -3万円 3%
スイングトレード 10万通貨 100 pips -10万円 10%

3つのトレードスタイルで取引数量が同じため、レバレッジも同じである。スキャルピングでは損切りしても保証金の1%を失うだけだが、スイングトレードで損切りすると保証金の10%を失ってしまう。

レバレッジを利用することで自分が預け入れた証拠金以上の取引を行うことが可能になりますが、為替相場が予想と反対の方向に動いてしまった際には、レバレッジをかけない場合と比べ大きな損失が発生する可能性があります。
出典:一般社団法人 金融先物取引業協会『FX取引に係る主なリスク』

松本 雄一

レバレッジが高くて冷静にトレードできないなら、デイトレードやスイングトレードではレバレッジ(取引数量)を下げて取引しましょう。

問題点4……エントリーの精度が低い

スキャルピングではエントリーの精度が高くても、それと同じ考えがデイトレードやスイングトレードで通用するとは限らない。

スキャルピングはポジションの保有時間が数秒~数分程度と短いが、デイトレードやスイングトレードではポジションの保有時間が長いため、エントリーのタイミングの判断が違うことがある。

エントリーのタイミングを決める際には、テクニカル分析がよく用いられます。トレードスタイルによってポジションの保有期間が違うため、トレードスタイルに合わせてテクニカル分析するのが一般的です。

たとえば、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードでエントリーにあたって重視しやすいチャートの時間足の例が次だ。

・スキャルピング……1分足や5分足など
・デイトレード……5分足や15分足、1時間足など
・スイングトレード……1時間足や4時間足、日足など
分足・時間足・日足とは
値動きを表すチャートの一種であり、一定期間の始値、安値、高値、終値の4つの値をローソクのような棒で表したもの。1分間の値動きの棒を並べたものは1分足、4時間の値動きの棒を並べたものは4時間足、1日の値動きの棒を並べたものは日足(1日足)と呼ばれる。

たとえば、分足(1分足)は1時間で60個のローソクが並ぶチャートになる。

1分足の例

6.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=TradingViewより引用)
松本 雄一

デイトレード、スイングトレードなどのトレードスタイルに合わせてテクニカル分析で利用する時間足を選び、エントリー精度を見直しましょう。

問題点5……大きなトレンドを捉えていない

FXトレードにおいてトレンドは重要な判断材料だ。デイトレードやスイングトレードで勝てないなら、大きなトレンドを捉えていない可能性がある。

トレンドには次の3つがある。

・上昇トレンド
・横ばいトレンド
・下降トレンド

上昇トレンドなら上昇で利益を得るロング(買)ポジション、下降トレンドなら下落で利益を得るショート(売)ポジションがよく利用される。

FXの値動きは、小さなトレンドの組み合わせによって大きなトレンドが形成される。小さなトレンドと大きなトレンドの向きが同じとは限らない。

たとえば、以下の図のように、チャートの1時間足では下降トレンド、1分足では上昇トレンドといったこともある。
7.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=TradingViewより引用し筆者作成)

この場合、1分足を見て上昇トレンドだと判断してロングポジションを取ったとしても、1時間足では下降トレンドのため、ポジションを数時間保有すると利益を出すのは難しいだろう。

トレンドを判断するには、テクニカル分析のそれぞれの時間足をどう分析するかが重要だ。

松本 雄一

大きなトレンドを捉えれば、デイトレードやスイングトレードでも勝ちやすくなる可能性があるでしょう。

スキャルピングしか勝てない状態を脱する8つの方法

8.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=MONEY TIMES編集部)

スキャルピングでは勝てるがデイトレードやスイングトレードではうまくいかないなら、以下の8つを実践してみよう。

1 資金管理(トレードリスクの管理)を見直す

勝てないなら、コツをつかめるまでポジションを小さくすればメンタルの負担が軽減されます。場合によっては、しばらく資金を使わずにデモトレードに専念しても良いでしょう。

トレードリスクは資金管理によって管理できる。1回のトレードリスクの計算方法は次だ。

1回のトレードリスクの計算:ポジションの大きさ×損切りの値幅

ポジションを小さくすれば、それに比例して1回のトレードリスクが低くなる。

たとえば、米ドル/円の損切りの値幅が50 pipsの場合、10万通貨のポジションなら1回のトレードリスクは5万円(=10万円×50÷100)であり、1万通貨のポジションなら1回のトレードリスクは5,000円(=1万円×50÷100)だ。
松本 雄一

大きなトレードリスクの取引を続けていると、負けの総額が大きくなり冷静にトレードできないことがあります。デイトレードやスイングトレードの通算損益を週や月などの期間で確認し、勝てるようになるまでトレードリスクを下げることを検討しましょう。

2 勝率とリスクリワードを見直す

「勝率」と「リスクリワード比率」を調整すれば、負けていたトレードが勝ちに変わる可能性がある。

勝率とリスクリワード比率は逆相関であり、リスクリワード比率を上げれば勝率が低くなり、リスクリワード比率を下げれば勝率が高くなります。
たとえば、リスクリワード比率を1.5から2に上げれば利確までの値幅が大きくなり、勝率が下がる。

勝率とリスクリワード比率を考える例として、勝率50%以上でリスクリワード比率が1を超えれば損益はプラスになる。

勝率50%のときのリスクリワード比率と通算平均損益(再掲)
リスクリワード比率 勝ちトレード平均利益 負けトレード平均損失 平均通算損益
0.5 5万円 10万円 -2.5万円
(=5万円×0.5-10万円×0.5)
1 10万円 10万円 0万円
2 20万円 10万円 5万円
(=20万円×0.5-10万円×0.5)

一般的に、勝率よりもリスクリワード比率のほうがコントロールしやすい。たとえば、利確と損切りの値幅を決めておき、その値幅で利確と損切りを注文しておけば自動的に決済できる。

松本 雄一

トータルの損益がプラスになるように、リスクリワード比率と勝率を見直しましょう。

3 ファンダメンタルズ分析を知る

デイトレードやスイングトレードなどのポジション保有期間が長いトレードほど、ファンダメンタルズ(ファンダメンタル)分析が重要である。ファンダメンタルズ分析で経済状況と金利の関係を把握すれば、FXの大きなトレンドを判断できるからだ。

ファンダメンタルズ分析とは
政治や経済などの為替レートに影響を与える対象を分析すること。

ファンダメンタルズ分析での対象には次のようなものがある。

・金利(政策金利、国の金利差など)
・経済状況(物価、GDPなど)
政策金利とは
物価安定などの目的で中央銀行が設定する金利のこと。日本の中央銀行は日本銀行であり、政策金利が金融機関の預金や貸出の金利に影響する。

国の金利に差があると、投資家は有利な金利を求めるため低金利の通貨から高金利の通貨に資金が流れやすい。そのため、為替レートは高金利の通貨が高くなりやすい。

たとえば、2022年には米国の金利が上昇したが日本の金利は変わらなかった。そのため、米ドル円レートは2022年1月の1米ドル115円ほどから同年10月には1米ドル150円ほどまで、米ドル高円安が大きく進んだ。

9.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=TradingViewの画像をもとに筆者作成)

ファンダメンタルズ分析の対象である経済状況は、政策金利に影響する傾向がある。景気が過熱すれば金利を上げて景気を落ち着かせようとするし、景気が後退すれば金利を下げて景気の悪化を防ごうとする。

経済状況と金利の関係以外にも、金融政策について、政府や中央銀行の要人による発言が為替レートを大きく動かすことがある。

たとえば、2023年4月28日に日銀総裁の定例記者会見で金融緩和策の維持が伝えられ、米ドル円相場は133円台から135円台まで大きく円安に進んだ。

松本 雄一

長期の投資になるほど、ファンダメンタルズ分析が重要になると言えます。デイトレードやスイングトレードをするなら、ファンダメンタルズ分析の対象になるニュースなどに目を光らせましょう。

4 テクニカル分析を知る

テクニカル分析は、FXにおいてファンダメンタルズ分析とは異なる分析手法であり、エントリーや損切り、利確の判断に重要です。
テクニカル分析とは
過去の値動きの特徴から相場を予想することであり、主にチャート上のテクニカル指標を利用して分析する。デイトレードでは5分足や15分足などのチャートが、スイングトレードでは4時間足や日足などのチャートがよく利用される。

テクニカル分析で利用するラインやバーなどをテクニカル指標という。テクニカル指標には「トレンド系」と「オシレーター系」の2種類がある。

トレンド系はトレンドの向きを表示し、オシレーター系は買われすぎ・売られすぎを判断する指標だ。トレンド系とオシレーター系のテクニカル指標には、次のようなものがある。

トレンド系とオシレーター系のテクニカル指標の例
種類 テクニカル指標の例 概要説明
トレンド系 移動平均線 一定期間の平均価格をつないだ折れ線グラフ
ボリンジャーバンド 価格が収まる可能性が高い範囲を表すバンド
一目均衡表 買いと売りのどちらが優勢かを表す複数のライン
オシレーター系 RSI
(相対力指数)
相場の過熱度を表すライン
(一定期間の上昇と下落から導く)
RCI
(順位相関指数)
相場の過熱度を表すライン
(一定期間の時間と価格から導く)
ストキャスティクス 相場の過熱度を表す2本のライン
その他 MACD(マックディー) 移動平均線を応用して
売買タイミングを判断する指標

トレンド系の移動平均線は一定期間の平均価格から計算する指標で、トレンドの向きや変化などの判断に便利だ。

たとえば、短期と長期の移動平均線を組み合わせて利用し、長期の移動平均線を短期の移動平均線が上抜けすることを「ゴールデンクロス」、その逆を「デッドクロス」という。ゴールデンクロスを上昇トレンド、デッドクロスを下落トレンドの判断材料として利用する人もいる。

10.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=TradingViewの画像をもとに筆者作成)

オシレーター系のRSIは、買われすぎなのか、売られすぎなのかを表す代表的な指標だ。RSIは100%~0%の上下の動きをして、上部の100%~70%のゾーンにあるときは買われすぎ、下部の30%~0%のゾーンにあるときは売られすぎのサインだと言える。

11.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=TradingViewの画像をもとに筆者作成)

そのほか、MACD(マックディー)はトレンド系とオシレーター系の両方の特性を持っていて、良く利用される人気の指標の一つだ。2つのラインのゴールデンクロスとデッドクロスなどが分析に利用される。

12.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=TradingViewの画像をもとに筆者作成)
テクニカル指標には、それぞれに異なる弱点があります。たとえば、移動平均線はゴールデンクロスが買いのサインだと言われますが、そのサインが出て買っても必ず勝つわけではありません。

それぞれのテクニカル指標の弱点をカバーするために、テクニカル分析では複数の指標を組み合わせて判断するのが一般的だ。たとえば、移動平均線やボリンジャーバンド、RSIなどの組み合わせがよく利用される。

5 マルチタイムフレーム分析を行う

マルチタイムフレーム(MTF)分析は、複数の時間のチャートを分析する手法です。長期でのトレンドやトレンドラインの判断などを分析でき、長期的なトレンドに乗りやすくなることでリスクリワードの改善を期待できます。
マルチタイムフレーム分析とは
テクニカル分析で短期や長期の複数の足(ローソク足や平均足など)を利用してチャートを判断すること。

デイトレードでマルチタイムフレーム分析をする場合には、長期は「週足」や「日足」、中期は「4時間足」や「1時間足」、短期は「15分足」や「5分足」などを確認して分析する。分析する順番は、長期、中期、短期と確認するのが一般的だ。

たとえば、「日足」「1時間足」「5分足」でマルチタイムフレーム分析する場合に、「日足」と「1時間足」から中長期のトレンドを判断する。

中長期のトレンドの判断が合えば、損切りの値幅はそのままに利確の値幅を伸ばすことが可能だ。利確の値幅が伸びればリスクリワードが改善され、FXの利益を伸ばすことにつながる。

6 トレンドに合わせて順張りでトレードする

トレンドの向きを判断して行うトレードには「順張り」と「逆張り」がある。ポジションの保有期間が長くなれば、トレンドに合わせてポジションを持つ「順張り」のほうが利益を伸ばしやすくリスクリワードを改善できる可能性がある。

順張りとは
トレンドに合わせてのトレードであり、上昇トレンドのときに買い(ロング)を下落トレンドのときに売り(ショート)をする。
逆張りとは
トレンドとは逆のトレードのこと。上昇トレンドのときに売り(ショート)を、下落トレンドのときに買い(ロング)をする。
順張りと逆張りが向く相場やメリット・デメリット
順張り 逆張り
利用しやすい相場 トレンド相場 レンジ相場
メリット 長期で利益を伸ばしやすい 短期で利益を得やすい
デメリット トレンド分析を誤ると損失が出る トレンド相場へ変化すると損失が出る

順張りはトレンドと同じポジションを持つため、相場が上か下か一方向に動くトレンド相場で有効な方法だ。長期でのトレンドが発生すると流れに乗って利益を伸ばせる可能性があるが、トレンドが切り替わるタイミングでエントリーしてしまうと反転して損失が出てしまう。

レンジ相場とは、相場に方向感がなく、上がり下がりを繰り返している状態のことだ。一定の値幅で上下するため、上値圏まできたら売り、下値圏まできたら買い、と判断しやすく、短期で利益をコツコツと積み立てていきやすい。しかしトレンド相場になると損失が出るリスクがある。

松本 雄一

トレードは人それぞれであり、デイトレードやスイングトレードでも逆張りで勝っている人もいるでしょう。しかし、もし逆張りで勝てないようであれば、順張りのトレードを試してみましょう。

ヒント7……情報を得やすい通貨ペアをトレードする

FXのトレードは情報を得にくいマイナー通貨より、情報を得やすいメジャー通貨のほうが取引しやすい。なぜなら、大きな値動きがあった場合、その理由が分かりやすいからだ。

メジャー通貨とは
取引量や取引参加者が多い通貨のこと。逆にマイナー通貨とは取引量や取引参加者が少ない通貨である。
メジャー通貨とマイナー通貨の例
メジャー通貨 マイナー通貨
・米ドル
・ユーロ
・英ポンド
・日本円など
・トルコリラ
・メキシコペソ
・南アフリカランドなど

メジャー通貨同士の通貨ペアなら、情報を得やすく、取引量が多いためトレードしやすいだろう。

松本 雄一

日本で取引量が多い人気の通貨ペアは、米ドル/円、英ボンド/円、豪ドル/円などです。

出典:一般社団法人 金融先物取引業協会『#5取引通貨ペアについて』)

8 ポジポジ病にならない

常にポジションを持ってしまう「ポジポジ病」は避けるべきだ。ポジポジ病になると、自分のエントリールールとは関係なしにポジションを持ち、損失を多く出すことが懸念されるためだ。

「ポジションを持つ」とは
新規注文が約定して「買い」または「売り」の通貨を保有すること。

ポジポジ病になるのは、主に3つのメンタル面の問題が大きい。

・為替レートが大きく動いたときにポジションがないと損(機会損失)だと考えてしまう
・大きな利益を得たいために多くのポジションを持ってしまう
・損失を取り戻すために多くのポジションを持ってしまう

ポジポジ病になる人は、トレードルールが確立していない初心者に多いと言われている。

トレードで勝つ見込みが高いなら、大きな、あるいは多くのポジションを持つのは悪いことではない。問題なのは、エントリールールがあいまいなままにポジションを持つことだ。

松本 雄一

ポジポジ病を治すには、エントリールールを明確にして、ルールを必ず守るようにしましょう。

スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、どれを選ぶべき?メリット・デメリットを比較

13.FXでスキャルピングしか勝てないのは危険信号
(画像=MONEY TIMES編集部)

スキャルピング、デイトレード、スイングトレードにそれぞれ向いているのは次の人だ。

トレードスタイル 向いている人
スキャルピング ・超短期取引でリスクを抑えた取引を望む人
・取引に専念する時間を確保できる人
デイトレード ・短期取引である程度リスクを抑えた取引を望む人
・相場を頻繁に確認できる人
スイングトレード ・相場の頻繁に確認ができない多忙な人でも可能
(時間的には比較的自由)
・数日~数週間ほどの期間でリスクを許容して大きな利益を望む人

資金面では、どのトレードスタイルでも保証金10万円ほどで取引できる。スキャルピングの場合は通信速度や端末のスペックが高いほうが狙い通りに取引しやすい。

スキャルピング、デイトレード、スイングトレードの違い

スキャルピング、デイトレード、スイングトレードはポジションの保有期間や取引回数などトレードスタイルが違う。スキャルピングは数秒~数分程度の超短期間でエントリーから決済まで行うのに対し、デイトレードは数分~1日、スイングトレードは1日~数週間までポジションを保有する。

スキャルピング、デイトレード、スイングトレードの違い
スキャルピング デイトレード スイングトレード
ポジション
保有期間
数秒~数分 数分~1日 1日~数週間
1トレードの
利益目標
数pips 数十pips 百pips以上
取引回数の目安 数回~数十回/日 1回~数回/日 1回~数回/週
相場の確認頻度 取引中は常に 頻繁に 時々
メリット ・1取引あたりのリスクが低い
・資金効率が非常に良い
・夜間や週末の大きな値動き
リスクを回避できる
・資金効率が良い
・1取引で大きな利益の可能性
・端末への張り付きや、
相場の頻繁な確認が不要
デメリット ・1取引の利益は少なめ
・スプレッドのコストが大きい
・トレード中に端末に
張り付く必要がある
・ポジション保有中は相場の
頻繁な確認が必要
・決済タイミングの判断が難しい
・1取引あたりのリスクが高め
・夜間や週末に大きな
値動きリスクあり
※出典:JFXONDA証券

スキャルピングは、数秒~数分程度の超短期間でエントリーから決済まで行うトレードスタイルだ。ポジションの保有期間が短いため1トレードあたりの利益目標は数pips程度と少ない。そのため、1日に何度もトレードするのが一般的だ。

エントリータイミングを探るために取引する端末(パソコンやタブレットなど)で相場を常に確認し続ける。端末に張り付く時間帯は自分で選べるため、仕事の前や終わった後など数十分程度の時間があればトレード可能だ。

デイトレードは、数分~1日までのポジション保有期間のトレードスタイルだ。ポジションを数時間程度保有でき、1トレードあたりの利益は数十pips程度を目指せる。

デイトレードの相場は頻繁に確認して良いエントリーポイントや良い利確ポイントなどを判断する。エントリーは朝の空き時間でもできるが、頻繁な相場確認をするなら時間に余裕がある人のほうが向いているだろう。

スイングトレードは、1日~数週間程度までポジションを保有するトレードスタイルだ。ポジションを複数日以上保有できるため、1トレードあたりの利益は100pips以上を目指せる。

スイングトレードでトレンドに合わせて順張りポジションを保有すれば、利益を大きく伸ばせる。相場の確認は時々で構わないことから、忙しい人でも取引しやすいトレードスタイルだと言える。

スキャルピングのメリット

スキャルピングのメリットは1取引あたりのリスクが低いことだ。損切りの値幅を10pips前後やそれ以下にしておけば、損切りをしても損失額を低く抑えられる。

たとえば、米ドル/円の1万通貨のポジションを10pipsで損切りしても、損失は1,000円に限定される。

スキャルピングは資金効率も良い。資金の拘束時間が数秒~数分程度と非常に短いため、エントリーと決済を繰り返せば資金を非常に効率良く利用できる。

たとえば、日本国内のFX業者のレバレッジは最大25倍であり、10万円の保証金があれば最大250万円までのポジションを保有できる。米ドル/円を取引する場合には、為替レート1米ドル130円時に1万通貨で130万円になり、1万通貨のトレードを繰り返すことが可能だ。

130万円分のエントリーと決済を10回繰り返せば、10万円の保証金で1,300万円分のトレードができる。

スキャルピングのデメリット

スキャルピングのデメリットは、1取引の利益が利確の値幅10pipsほどと勝ちトレードでも少なめであることだ。

たとえば、米ドル/円の1万通貨のポジションを10pipsで利確しても、利益は1,000円である。スキャルピングで利益を大きく増やすには、トレード回数またはポジションの数量(ロット)を増やす必要がある。

スプレッドのコストはトレード回数とともに増える。トレードのたびにスプレッド分がコスト負担になるため、トレード回数が多い超短期取引ではコストが大きくなる。

スプレッドの負担を減らすには、スプレッドが狭いFX業者を利用するか、スプレッドが狭い通貨ペアをトレードしましょう。

スプレッドが狭いFX業者と通貨ペアのスプレッド
FX業者 スプレッド
米ドル/円 ユーロ/米ドル ユーロ/円 豪ドル/円 英ポンド/円
みんなのFX 0.2銭 0.3pips 0.4銭 0.6銭 0.8銭
HIROSE-FX 0.2銭 0.3pips 0.4銭 0.6銭 0.9銭
SBI FXトレード 0.18銭 0.38pips 0.48銭 0.58銭 0.88銭
DMM FX 0.2銭 0.4pips 0.5銭 0.6銭 0.9銭
GMOクリック証券 0.2銭
(原則固定)
0.4pips
(原則固定)
0.5銭
(原則固定)
0.6銭
(原則固定)
0.9銭
(原則固定)

これらの5つのFX業者は普段のスプレッドに大きな差はないと言える。

通貨ペアごとのスプレッドは、米ドル/円が最も狭く、ユーロ/米ドル、ユーロ/円、豪ドル/円、英ポンド/円とスプレッドが広くなる傾向にある。

トレード中は、エントリーや利確・損切りの秒や分単位でのタイミングが重要であり、パソコンなどの端末に張り付くのが一般的だ。

そのため、スキャルピング中はトレードに集中するため、他のことをしながらのスタイルは難しいだろう。

デイトレードのメリット

デイトレードのメリットは、夜間や週末にポジションを持たないため、その間の大きな値動きリスクを回避できることだ。夜間の米国の経済指標発表や週末の経済ニュースなどで為替レートには大きな変動の可能性がある。

デイトレードと決めてエントリーしたなら、翌営業日にポジションを持ち越さずに決済することが大切だ。

資金効率はスキャルピングほどではないものの、1日に何度もトレードできるため良いと言えるだろう。

たとえば、保証金10万円で米ドル/円を1万通貨(1米ドル130円時)トレードする場合、1回あたり130万円分のトレードになり、1日に3回トレードすれば390万円分のトレードができる。

デイトレードのデメリット

デイトレードのデメリットは、エントリーした日のうちに決済するため、利確や損切りのタイミングを逃さないよう相場を頻繁に確認しなければいけないことだ。

この決済タイミングの判断がデイトレードでは難しい傾向がある。

スキャルピングやスイングトレードでは、エントリー時に利確や損切りの値幅を想定しやすいため、決済タイミングの判断は難易度が低めだ。

一方デイトレードでは、日によってボラティリティ(値動きの大きさ)が違うことや、その日のうちに決済する必要があることから、決済タイミングの判断は難易度が高めと言えるだろう。

スイングトレードのメリット

スイングトレードのメリットは1取引で大きな利益を得られる可能性があることだ。1週間ほどで数百pipsを勝てば大きな利益を出せる。

たとえば、米ドル/円の10万通貨のポジションを持ち、300pipsの値幅で利確すると30万円(税引き前)の利益が出る。

スイングトレードでは数日~数週間ほどの期間の値動きを狙うため、端末への張り付きや相場の頻繁な確認は不要だ。そのため、多忙な人でもトレードしやすいのもメリットだろう。

スイングトレードのデメリット

スイングトレードのデメリットは、1取引あたりの利益の可能性が大きいため、リスクも高めになってしまうことだ。ポジションの保有期間が1日以上と長いため、保有ポジションとは逆のトレンドが発生すると大きな損失が出る。

松本 雄一

大きな損失を出す前に、損切りでしっかりとリスク管理をしましょう。

夜間や週末に政治・経済イベントなどで為替レートが大きく変動することがあるが、ポジション保有中に変動した場合には、そのリスクを回避しにくい。夜間は起きていればトレードできるが、週末はFXの取引が再開される営業日の朝までトレードできない。

夜間や週末に重要なイベントの予定があれば、一旦ポジションのロットを減らすか決済しておくなどのリスク管理をしておきたい。

よくあるQ&A

スキャルピングでしかなぜ勝てない?
スキャルピングでは勝てるがデイトレードやスイングトレードで負ける人は、損切りや利確のタイミングを逃す、レバレッジが高すぎる、エントリーの精度が低い、大きなトレンドを捉えられない、などの問題が考えられる。

デイトレードやスイングトレードでも勝つには、これらの問題点を見直すことが望ましい。
FXで勝てるようになるまで何年かかる?
FXで勝っている投資家100人へのアンケート調査によると、FXで勝てるようになるまで6ヵ月以上かかったという人の割合が61%だった。6ヵ月以内に勝てない場合、さらに6ヵ月ほど時間がかかる投資家が多いようだ。(出典:PR TIMES
スキャルピングの優位性は何?
スキャルピングの優位性は、1取引あたりのリスクが低いことと、資金効率が非常に良いことだ。ポジションの保有期間が数秒~数分程度のため、大きな損失を出すリスクが低い。短時間の取引を繰り返すため、少ない資金でも何度もトレードでき、トレード総額を大きくできる。
スキャルピングは何pips取るべき?
スキャルピングでは1pips~10pips程度を利益目標にする人が多いようだ(出典:JFX株式会社)。小さな利益を積み重ねるトレードスタイルのため、1取引あたりの利益幅は少なめである。

ただしトレードの考え方は人それぞれのため、10pipsを超える利確を狙う人もいるだろう。利確する値幅は自分のトレードに合わせて決めるといい。

勝率が低いときは勝率を上げるために少ないpipsで、勝率が高いときは利益を伸ばすために大きなpipsで利確するなど、状況に合わせて利確する値幅を変えるのも良いだろう。
スキャルピングは何分足を見る?
スキャルピングで良く利用される足は1分足や5分足だ。マルチタイムフレーム分析をするなら、上位足(時間足や日足など)を見る人もいる。

上位足で大きなトレンドの判断をすることや、上位足のサポートライン(支持線)やレジスタンスライン(抵抗線)が値動きに影響することもある。
スキャルピングに適した時間は?
スキャルピングでは値動きがあったほうが利益を取りやすいため、通貨ごとの取引が活発な時間帯を狙うのが一般的だ。各市場が開いてから数時間は取引が活発な傾向にある。

米ドル/円なら、日本の取引が活発な8時~10時あたりと米国の取引が活発な22時~24時あたりが適すると言える。

ユーロ/円やポンド/円なら、日本の取引が活発な8時~10時あたりと欧州の取引が活発な17時~19時あたりがスキャルピングに適する可能性が高いだろう。

松本雄一
執筆・松本雄一
群馬大学工学部情報工学科卒業。外資系コンピューター会社にて、ITサービス・トランジションやセキュリティ対策に携わり独立。
自らの投資経験をもとに、株式・投資信託や証券会社などの情報を発信。金融アドバイザーとして、これまでに300件以上の金融記事の執筆を手掛けている。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。
群馬大学工学部情報工学科卒業。外資系コンピューター会社にて、ITサービス・トランジションやセキュリティ対策に携わり独立。
自らの投資経験をもとに、株式・投資信託や証券会社などの情報を発信。金融アドバイザーとして、これまでに300件以上の金融記事の執筆を手掛けている。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

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