営業力のある会社が必ずやっている「決裁権の把握」とは?

2019.7.19
BUSINESS
(画像=THE21オンライン)
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クライアント先の決裁ルートを把握するテクニック

商談規模が大きくなればなるほど、その商談に関わる顧客の部門や登場人物の数はどんどん増えていく。

その際、商談が相手企業のどのような意思決定プロセスで進んでいくのかという決裁ルートが分かっているか否かで、受注率には決定的な差が生まれてしまう。

今回は営業を成功させるための決裁ルートの把握について共有していく。

営業力のある会社は、新人にも「決裁ルート」を探らせる

いわゆる「営業力のある会社」に共通していることは、新人営業パーソンにアカウントやターゲットとなる見込み客の「決裁ルート」が必須のヒアリング項目であることを教え込み、その把握の方法を徹底的に指導していることだ。

官公庁や自治体のような入札であれば、決裁権や決裁ルートを事細かに探る必要はなくなるが、日本の場合は入札ではない商取引が圧倒的に多いので、決裁ルートを把握した上で、受注率を高める施策を展開した企業のほうが有利になる。

商談をスタートするに当たって把握しておきたいのは、できれば「決裁権」と「決裁ルート」について、事前に前任者や関係者から聞いたり、業界としてありがちなプロセスを推測したりして当たりをつけておきたい。

決裁権は会社によりバラバラだが、パターンはある

決裁権というのは、どの部門のどの役職の人がいくらまで決定できるかという裁量権のことで、大手企業の場合は100万円までは部長職、1000万円までは取締役、それ以上は取締役会や常務会などの合議で決めるパターンや、ある一定の金額以上は稟議で決裁するケースなどが多い。

中には係長が3億円を決裁する超大手企業も存在する。

大手企業以外の場合では、25万円の商談でも社長決裁が必要な企業もあれば、課長が100万円を決裁する企業もあるものの、企業規模と商談規模によってかなりの類似性があるので、それらのパターンを推測しておくだけで、実際の決裁権や決裁ルートが把握しやすくなる。

決裁ルートは「周辺部門」まで押さえる

決裁パターンという意味では、数十名規模に対する数十万円以上の案件は、社長に会わないと決まらないケースが少なくない。

あるいは、年間予算がすでに決められている場合は、その中身の裁量は課長クラスにまで権限移譲されている企業もあるので、数百万円単位の商談であっても1人のマネージャーに気に入ってもらえただけで受注できる場合もある。

取引相手の規模が大きくなると、当然のことながら、その商談にかかわる登場人物の数や、部門の数も増えるが、その際は「比較検討する部門、ユーザー部門、購入する部門」という3視点から決裁ルートを特定していく方法が王道だ。

もちろん、多くの場合、商談のメインの窓口は比較検討する部門になる。ただ、その部門はユーザー部門の意向や課題を見据えて総合的にベターな選択し、価格交渉及び受注後の発注書や契約書のやり取りは購買部門や調達部門になるので、それぞれの部門のキーパーソン、支援者、反対者が誰になるのかといった情報を事前、もしくは商談を通じて入手していきたい。

そうした情報を社内のSFA(Sales Force Automation)などのシステムに蓄積して共有している企業はまだ少数派だが、かつて取引があったり、失注になったものの商談が発生したりした企業であれば、その時の担当者から情報を入手しておきたい。

また、その取引先に知り合いや間接的な知り合いがいる場合は、そうした情報網から決裁ルートと社内の力関係などの情報を入手しておくのは、「営業力のある会社」の常套手段だ。

重要な情報は「寸止め」で聞き出す

最後に、事前に決裁ルートなどの情報を入手できず、商談中にそれを把握する場面での決裁ルートの聞き方を紹介しておこう。

とはいえこれは難しいことではなく、商談のルーティーンワークとして普通に聞いてしまって構わない。

例えば、

「最終的なご決定というのは、どのようなプロセスで…」

「御社の場合、こうした案件の(ご)決定は(ご)稟議で…」

といった聞き方だ。語尾の「…」がミソで、これは「寸止めの技術」といって、最後まで言い切らないことによって、相手の発言を促す流れになるので、何らかの障害がない限りは相手も自然に話してくれることが多い。
 
決裁権の把握
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あえて「鎌をかける」質問とは?

ここで、相手が応じてくれない場合、自身や自社が信用されるに至っていないケースと相手の社内事情から明言できないケースが考えられるのだが、まずは前者と判断して、次のアクションは、信用獲得のための一手を講じたい。

また、商談が盛り上がり、距離感が近くなったと思う相手なら、

「こうした案件は、中西部長がOKならOKですよね」

といったカジュアルな問いかけという手もある。

この言い方は「こうした案件は、中西部長がOKならOKですよね」と確認しているのではない。

「OKなわけないでしょう。私の決裁権100万円ですよ。この金額5300万円ですよねぇ、うちはその金額は常務会の決裁になりますから」

というような、相手から回答を引き出し、決裁ルートを明確にするための問いかけのテクニックなのだ。

これは、いわゆる“鎌をかける質問”の一種だが、有効なので是非、自分なりにアレンジして使いこなせるようになって欲しい。

(出典:営業サプリ)

文・大塚 寿(おおつか・ひさし)
エマメイコーポレーション代表取締役
1962年、群馬県生まれ。1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に『リクルート流』(PHP研究所)、『オーラの営業』(Nanaブックス)、『仕事をつくる全技術』(大和書房)、累計28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』シリーズ(ダイヤモンド社)など多数。共著に『法人営業バイブル』(PHP研究所)など。(『THE21オンライン』2019年05月22日 公開)

提供元・THE21オンライン

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