一生に一度の結婚式。新郎新婦にとっても参加したすべての人にとっても、素敵な思い出にしたいもの。新潟県内の口コミNo.1に選ばれた結婚式場『小林樓』では、100年以上の歴史を持ちながらも時代の変化に合わせたサービスを提供しています。今回はそんな長い歴史を持つ小林樓の4代目社長、小林伸豪さんに人気と成功の秘訣についてお話を伺いました。
 

小林伸豪(こばやしのぶたけ)

ザ・ガーデンプレイス小林樓 代表取締役社長。大正4年から続く料亭を、ウエディング施設に大転換させる。口コミサイトのランキングで、2016年、2017年と2年続けて新潟県の総合ランキング一位を獲得。

お客様と一緒に楽しみたいから、長い付き合いになる

川西 :本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、『小林樓』が新潟県内で最も人気を集めている理由は、どんなところにあると思われますか?

小林 :うちは元々の施設が古かったので、動線とか空調のことなどお客さんに不便な思いをおかけすることが多かったんです。その部分を補うための接客やサービスを徹底しました。それがお客さんの支持に繋がったのかなと思いますね。

川西 :具体的にはどのようなことに力を入れたのですか?

小林 :例えば、お客さまに対する声がけですね。お箸を落としたらすぐに近くのスタッフが動く。席を立ったらすぐに案内するとか。声がけが徹底しているのが特徴的だと思います。

川西 :意外と地道な努力が、口コミで評価されていったのですね。

小林 :それと、結婚式後にまた来ていただく仕組みをつくっています。『サンクスパーティー』といって春の結婚式が終わったら7月くらいに、秋のお客様には1月くらいに、新郎新婦とご両親に来てもらうんです。今度は私たちがご招待して、新郎新婦とご両親をおもてなしします。

川西 :それはおもしろいですね、どういった理由で始められたのですか?

小林 :これには3つの理由があります。ひとつは、数ある式場の中から小林樓を選んでいただいたお礼。もうひとつは、気楽な立場で楽しんでもらうためです。式が終わってから新郎新婦のご両親から、「あっという間だったので、会場をゆっくり堪能できなかった」というご意見がよくありますので。3つ目は、お詫びの場としてです。お客様の要望に100%応えられることはないと思っているので、それに対するお詫びの場。そういう気持ちを持ちながらやっています。

川西 :現状に満足せずに、ということですね。

小林 :毎年夏に『ファミリーパーティー』というのも開催しています。これは有料なのですが、キャンプ場を貸し切って今までに結婚式を挙げていただいた『小林樓ファミリー』をご案内します。子どもが増えてきたり、10年前に挙式したお客様だったり、たくさんの方にご参加いただいています。

川西 :一度結婚式を挙げると、長い付き合いになるんですね!

小林 :そうなんです。一度ご利用いただいたら、そのご縁を大事にしています。その理由は、「お客様と一緒に楽しみたい」。これが本質にあります。
 

「経営理念は第二家族」スタッフ全員が新郎新婦と顔なじみに

川西 :「お客様と一緒に楽しみたい」これは従業員の皆さんが共有している想いなんですか?

小林 :そうですね。そう言い切れるのにも理由があります。実は、裏のテーマは「スタッフが元気になること」これを一番大事にしています。

川西 :スタッフが元気になるためにどんな環境づくりをしているのですか?

小林 :結婚式の打ち合わせの段階から、スタッフ全員で出迎えて、見送りもします。厨房のスタッフも含めて全員です。結婚式当日までにほとんどのスタッフが新郎新婦とか関わっているので、仲良くなるんです。だから当日、緊張感が走って殺伐としたりすることはないですね。結婚式を心からお祝いしたいという気持ちを持っています。

川西 :そこまで顔なじみになっていると、本当に知り合いの結婚式みたいで楽しくなりそうです!

小林 :ホテルでやっている“マナー”だけではなくて、マインドの部分で一流を目指しています。それも、個々ではなくてチームでやっているので浸透しやすいのだと思います。あと、12/23は毎年クリスマス会をやっていて、翌日の12/24は曜日などに関わらず毎年休みにしています。

川西 :え!クリスマスが必ず休みなんですか!それはなんでですか?

小林 :やっぱり家族や恋人と過ごして欲しいですからね。それには、うちの経営理念である「第二家族」が関係しています。

川西 :第二家族ですか?

小林 :幹部みんなで合宿をして考えたもので、まず家族が第一で、会社は第二の家族。この会社がスタッフにとっての第二の家族のような居場所になれればいいな、という想いを共有しています。

川西 :家族と言われると、安心できるような気がしますね。

小林 :休みの日にも従業員同士ででかけたりしています。最近では「アットホームな職場」を謳うのって、もはやブラックっぽい感じありますよね(笑)。けどうちは本当に自然とそうなっているんです。
 

「事業承継」に立ちはだかる親子関係の問題

川西 :小林さんご自身は今どんな働き方をされているのですか?

小林 :会社の経営と主に財務ですね。あと事業承継が専門なので、書籍やビジネスコラムを執筆したり、コンサルタントや講演会を行っています。

川西 :なぜ「事業承継」を専門とされているんですか?

小林 :自分自身親子仲が悪くて、事業承継では手こずりましたから(笑)その経験を生かして、講演やコンサルに入ったりしています。

川西 :他人の親子関係の問題に関与するのって大変じゃないですか?

小林 :親子関係を修復するのって当事者同士では難しいんですよ。第三者が入るのが、一番交通整理しやすいです。当事者同士だと感情論になってしまいますから。そうすればパワーバランスはどうしても親の方が強くなってしまいます。

川西 :小林さんご自身も、経営方針がお父様と合わなかったのですか?

小林 :目的が一緒でも方法が違うんです。時代によって物事の価値も違えば、生まれ育った環境も違う。だから意見が合うわけがないですよね。

川西 :わかってもらうのは大変ですね。

小林 :時間はかかります。だから第三者が必要なんです。

川西 :第三者からして親子関係の修復のためには、どんなことが一番重要だと伝えていますか?

小林 :まずは、親の言うことを子どもが聞かなくちゃいけないです。聞く姿勢をつくらないといけない。多くの場合、自分はわるくないと思っています。でも「あなたの社長への対応は、他の会社では通用しませんよ」とはっきり伝えて、まずは後継者の人の姿勢を正すことから始めます。どっちがいい、どっちがわるいではなくて、まずは互いに相手を敬う態度が必要です。

川西 :なるほど。そうすれば相手も変わる。これは親子関係だけでなくてすべての人間関係に言えることですね。

小林 :だからみんな「親父を変えてください」と言いますが、実はそうはないんです。

川西 :ご自身もそういった苦労を乗り越えて、今の『小林樓』があるんですね。

小林 :20年前は旅館と料亭だった施設を、10年前に結婚式場に変えました。当時はほとんどみんなに反対されましたね。もちろん伝統や、大切にしなければいけないものは守りつつも、今の若い人に受け入れられるような形態に変えていきました。結果が出るまでは本当に孤独でしたよ。

川西 :歴史あるものをそこまで大きく変えるのは並大抵のことではなさそうですね。

小林 :そのときに考えていたのも、やはり一番は従業員のことでした。料亭は社員としてもハードルが高すぎる、結婚式場ならスタッフも一緒になって楽しめるのではないかと思いました。良い人材を集めるには、まずはスタッフが喜ばないといけません。そうした先で、お客様にも喜んでいただけるようになるので。
 

時代を見ることが経営の秘訣

川西 :これから新しくやりたいことなどはありますか?

小林 :結婚式のハードルを下げていきたいですね。パッケージ化して、付加価値をつけて「そこまでやってくれるなら安心だ」と思ってもらえるようなサービスを提案していきたいです。そのために、お客様にとってもスタッフにとってもおもしろいと思えることをがんがんやっていきます。

川西 :今は例えばどんなことを考えているんですか?

小林 :実際今やろうとしているのは、結婚の打ち合わせもオンラインでやること。今の時代、仕事の都合で家に居ないといけない人もいっぱいいますからね。そんな中お客さんに来てもらうって非効率だと思いませんか?

川西 :たしかにそうですね、それは効率的だしおもしろい!

小林 :業務に関しても、情報共有は社員のフェイスブックページのスレッドでやりとりしています。資料も質問もそこに投稿します。生産性は重視していて、何も生まれない無駄な会議はしないと決めています。

川西 :経営において大事にしていることはありますか?

小林 :一番大事なのは時代を見ることです。

川西 :時代を見るためにはどんなことをすれば良いんでしょうか?

小林 :勉強すること、自分よりもレベルの高い人に会うことですね。得意分野もそうですが、異業種から学ぶことが大事です。自分の業界の人と話しても枠から飛び出ることができないので、業界の外の人と話しをしてそこから良いなと思った新しいやり方はどんどん取り入れていきます。

川西 :多少背伸びをしても、接点や繋がりを持つことが大事ですね。

小林 :レベルが高い人って、懐が広い人ばかりだから惜しげもなく自分のこと話してくれますよ。例えば、読んだ本の著者に会いに行ったり講演会に行ってみたりね。

川西 :忙しくて時間がないなどと言い訳していてはいけませんね。

小林 :時間って作ろうと思わない限りできないです。それに対する周りの対応も大事で、「じゃあ行って来てね」って送り出すのが当たり前になるといいですね。その人の意識の向上になれば、会社にとっても良いことですから。
 

文・川西里奈/提供元・Fledge

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