ANAが危機!?希望退職募集、給与カット、新規採用の抑制など対応策は?

2020.10.18
ビジネス・キャリア
(写真=Savvapanf Photo ©/stock.adobe.com)
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新型コロナウイルスが経済に与えた影響が大きいことは、言うまでもない。その中で、特に航空各社の厳しい状況が目立ち始めた。希望退職者の募集や給与カット、新規採用の抑制。これら決断して公表したのは、全日本空輸(ANA)だ。

ANAの業績は?赤字に転落

都市圏の緊急事態宣言はすでに解除され、Go Toトラベルキャンペーンが始まり、国内線の需要は徐々に回復しているように見える。しかし利益を出せるようになるのは、当分先になりそうだ。コロナの終息が見えない中、航空各社の厳しい戦いは続いている。

ANAホールディングスの業績は、どういう状況になっているのだろうか。公表している決算発表で最新のものは、7月末に発表した2021年3月期の第1四半期決算(2020年4~6月)だ。まずは第1四半期決算の数字から見ていこう。

  • 売上高:前年同期比75.7%減の1,216億800万円
  • 営業利益:1,590億6,500万円のマイナス
  • 経常利益:1,565億4,400万円のマイナス
  • 純利益:1,088億1,900万円のマイナス

営業利益、経常利益、純利益はいずれも赤字に転落した。2021年3月期の通期決算の見通しについては、「新型コロナウイルス感染症による影響を現時点で合理的に算定することが困難であることから未定」としている。

ちなみに10月下旬には第2四半期の決算が発表される予定で、業績がさらに悪化しているのか回復傾向にあるのか、気になるところだ。

経営状況の厳しさを示すANAの動き

最近のANAの動きを見ていると、経営状況の厳しさがうかがえる。具体的な施策を見ていこう。

退職金を割り増す希望退職の募集

ANAは同社の労働組合に対し、希望退職の実施を提案している。希望退職者は常時募集しているが、今回の募集では退職金を割り増して支払うという。募集に手を挙げる人が増えれば、中長期的には人件費が抑えられる。

一般社員や役員・管理職の給与やボーナスのカット

ANAには約1万5,000人の一般社員がいるが、すでにANAは一般社員の年収を平均で3割減らすことも労働組合側に提案している。給与の削減を労働組合側に提案したのは、20年ぶり。冬の一時金(賞与)も支給しない方針だ。

ちなみに役員や管理職の報酬のカットは4月から始まっており、継続するとみられている。資金調達には、コストカットがセットで求められる。一般社員と役員・管理職の給与カットの背景には、資金調達の絡みもあると考えられている。

兼業を拡大

ANAは在籍している社員に対し、他社との雇用契約締結も認める方針を発表している。これまで業務時間外の個人事業主としての兼業は認められていたが、その兼業の枠を広げ、アルバイトやパート勤務ができるようになるというものだ。

給与やボーナスがカットされることや、国際線の多くが運休していることを受けて、在籍社員の収入増加を図るのが狙いだろう。

来春の新規採用を8割減と大幅に縮小

最近のANAの動きとして大きく取り上げられたのが、来春の新規採用を大幅に抑制することだ。「予定していた採用人数を2割程度まで絞る計画」と報じられている。つまり8割減だ。ANAへの入社を目指していた人にとって、ハードルはかなり上がることになる。

コロナ禍が起きてからのANAの対応は?

新型コロナウイルスの感染拡大が本格化してから、ANAはコロナ禍のダメージを最小限に留めるために、機内での感染防止対策や減便などを実施してきた。

地上でも空でも感染防止対策を実施

ANAは、カウンターや搭乗口では従業員のマスク着用や消毒液・除菌液などの設置、ビニールカーテンの設置、フットプリント(足跡シール)によるソーシャルディスタンシング対策を実施している。

機内では食事や飲物、機内販売などのサービスを休止または簡素化し、毛布の提供も中止している。除菌用のアルコールシートの配布も、ビフォーコロナではなかった取り組みだ。

需要を見定めながら減便措置を実施

コスト削減につながるよう、需要を見定めながら減便措置も行っている。今年11月は、当初計画より便数を29%程度減らす。路線によっては便数がゼロになるため利用者にとっては不便になるが、この厳しい局面を乗り切るためにはやむを得ないだろう。

ANAは今後どうなってしまうのか

ANAは、今後どうなってしまうのだろうか。それは、新型コロナウイルスの終息時期に大きく左右されるだろう。ワクチンや治療薬が開発されて量産が始まれば、おのずと旅行需要は戻るだろう。そうなれば、ANAの業績も回復していくはずだ。

新型コロナウイルスが完全に終息していない時期は、国の旅行需要喚起策の実施状況がANAの業績を大きく左右することになるだろう。来年3月まで実施されるGo Toトラベルキャンペーン事業のような取り組みが、その後も何らかの形で継続されるのか気になるところだ。

先が見えない中での舵取りは、経営者の腕の見せどころだ。この窮地を乗り切ることができるかどうか、ANA経営陣の手腕に注目したい。

 
執筆・

国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
 

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