「2019年後半から世界の経済成長率は鈍化、21年に復調」エコノミスト永濱氏の展望

2019.2.2
BUSINESS
(画像=segawa7/Shutterstock.com)
(画像=segawa7/Shutterstock.com)

生産年齢人口の伸び鈍化で成長率減速も

2008年9月に発生した「リーマンショック」以降、米国は負のGDPギャップの着実な縮小が続き、経済は正常化に向かっている。そうした正常化は今後も進展することが期待されるため、米国は経済の成長力を取り戻し、ユーロ圏経済も遅れながら正常化に向かうことが注目される。

ただし、米国経済の景気回復が長期化していることは、米国の景気回復局面が終盤に差し掛かっていることも意味する。過去の経験則に基づけば、米国経済はGDPギャップがプラスになってから2~4年で景気後退になるため、米国経済は2020年前後の景気後退が想定される。その後は米国の迅速な金融・財政政策により1年程度で景気後退は脱し、平均2%程度の潜在成長率に見合った経済成長を取り戻すことを想定している。

 
一方のユーロ圏は、中期的には1%台半ば程度の安定した経済成長が続く見込みである。2018年のユーロ圏経済は引き続き+1%台の潜在成長率を上回るペースで拡大しており、賃金上昇圧力が高まる中、インフレ率は緩やかに上昇することが予想される。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和政策は年内に終了し、来年中にもECBは政策金利の引き上げを開始すると予想する。

 
他方、これまで世界経済をけん引してきた中国は、人口動態の推移通り緩やかな減速過程が続く。中国の人口ボーナス指数はすでにピークアウトした。こうした人口動態の変化はすでに経済成長率の鈍化に表れている。しかし、中国の経済成長率は、依然として6%台を上回っている。従って、予測期間における中国経済のけん引力は低下するものの、2020年代後半でも4%台の経済成長を維持するだろう。

 
この関係を念頭において、今後の主要地域の経済成長率の中期展望の推移を示すと、2010年代後半は先進国が停滞を脱して正常化に向かう傾向を見て取ることができる。ところが新常態を標榜する中国の経済成長率は低下傾向を辿り、2020年代後半は4%台に低下する。

この意味で、2020年代後半には、経済大国での生産年齢人口の伸び鈍化などから世界経済全体の成長率もやや鈍化する可能性が高い。
 

目先の世界経済の成長力は?

リーマンショック以降の世界経済は、金融・債務危機への対応と再発防止が進展する、という二つの大きな変化を見た。こうした中で、IMFの先進国GDPギャップとインフレ率見通しの推移を見ると、金融政策の正常化も進み始め、先進国経済は持ち直しの傾向にあることがわかる。

 
こうした中、先進国の金融政策正常化へのシフトは2013年が起点と考えた。同年1月、連邦準備制度(FRB)はそれまでの債券購入プログラムを縮小し、同年10月の連邦公開市場委員会(FOMC)でプログラム終了を決定した。その後2015年12月には、FRBは9年半ぶりの利上げに踏み切り、政策金利であるFFレートの誘導目標をそれまでの0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げた。

しかし、同時に公表したFOMCメンバーによる政策金利予想の中央値では、2016年に4回の利上げを見込んだが、2016年はチャイナショックの再来やイギリスの国民投票などで市場が混乱したこともあり、同年12月の1回の利上げにとどまった。

その後は、世界経済が持ち直す一方、米大統領選挙後にトランプラリーが生じたこと等もあり、2017年は3月、6月、12月と利上げを実施し、9月にFRBバランスシートの縮小を打ち出した。そしてパウエル議長就任以降も、2018年は3月、6月と2回利上げを実施し、FRBの金融政策は順調に正常化に向かっている。更にECBの資産購入額の半減や、日銀のステルステーパリングの状況を踏まえれば、世界の量的緩和政策は事実上の出口に向かっているといっていいだろう。

そこで、今後も日欧が緩やかなテーパリングを進めつつある中において、先進国と新興国の経済成長率見通しについて、IMFデータを元に筆者が予測した。経済成長率に着目すると、2019年後半以降に先進国は米国の景気後退局面入りで成長率が減速に向かう一方で、新興国も先進国向けの輸出減速等により減速することになる。

しかし、2020年以降は先進国が金融緩和に転じることなどにより、比較的早期に世界経済の減速は収束することになる。このため、2021年以降は新興国経済の持ち直しも相俟って、正常化に道半ばの世界経済も緩やかに正常化路線に復帰することが予想される。

 
文・永濱利廣(第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト)/ZUU online

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