QuickTake(1994-1997)
90年代はデジタルへの移行が徐々に進んでいた時代です。
音楽の分野では1982年にCDが登場。
1992年には音をデジタルで録音できるMD、2000年にはMP3プレイヤーに保存するのが一般的になっていました。
そして写真の分野でも同様の変化が生じてきました。
デジタルカメラが一般向けに登場したのは1990年代であり、現代では当たり前になっている液晶画面付きデジタルカメラが1995年に世界で初めて登場したのです。

そんなデジタルカメラ黎明期に、Appleからもデジタルカメラが販売されていました。
1994年には、双眼鏡のようなデザインの「QuickTake 100」が販売開始。
これは解像度640×480の画像を撮影できるカメラで、8枚の画像しか保存できませんでした。
そして1995年には「QuickTake 150」、1997年には「QuickTake 200」が販売。
QuickTake 200は現在のデジタルカメラに近いデザインとなっており、価格は7万9800円でした。
当初、売り上げは好調に思えましたが、富士フイルムやキヤノン、ニコンとの競争には勝てませんでした。
1997年にはスティーブ・ジョブズ氏がAppleに復帰し、Appleをデジタルカメラ事業から撤退させることに。
しかし「QuickTake」という名称だけは、最近のiPhoneの動画撮影機能に流用されています。
ピピンアットマーク(1996-)
1990年、任天堂からスーパーファミコンが誕生。
そして1994年、ソニーからPlayStation(略称:PS1)が販売されました。
徹夜でゲームしたという人も多いのではないでしょうか。
子供も大人もゲームに夢中になっていたこの時代に、実はAppleもゲーム機を発売していました。

Appleはバンダイと提携し、4万9800円という値札でゲーム機「ピピンアットマーク」を売り出したのです。
ピピンアットマークは専用のソフト以外にもMacintosh用のゲームもプレイでき、さらにインターネットにも接続可能。
複合的な機能を備えており、新たな角度から家庭用ゲーム機のブームに乗れると考えていたのでしょう。
そのためAppleは、初年度の販売台数を30万台だと見積もっていました。
しかし結果的には4万2000台しか売れず、「世界で最も売れなかったゲーム機」と呼ばれるように。
ちなみにPlayStationの累計出荷台数は1995年の時点で200万台、1996年の時点で1000万台でした。
ソニー、任天堂、セガとは異なり、ゲーム機の分野でAppleにチャンスはなかったのです。

さて、現在のAppleからは想像できないレベルの「イマイチな90年代製品」を紹介してきました。
どれもアイデアは悪くないように思えますが、やはり「洗練されていない感」が否めません。
とはいえ、90年代の「時代の激流」に翻弄された製品に愛着を抱く人は多いです。
もし、どれか1つでも所持しているなら、販売期間が短いレアな製品として大切に扱ってあげてくださいね。
参考文献
17 Apple Products From the 90s We Forgot About
提供元・ナゾロジー
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