現在、アメリカのテクノロジー企業「Apple」を知らない人はいません。

「iPhone」「Mac」「AirPods」などの最新機種を入手しなければ気が済まない、という人も多いのではないでしょうか。

しかし、Apple製品がこれほど人気になったのは比較的最近のことです。

特に共同設立者の1人であるスティーブ・ジョブズ氏がAppleから去っていた期間の業績はひどいものでした。

今回は、売り上げが低迷していた90年代のApple製品を、その時代背景と共にいくつかご紹介します。

Macintosh Portable(1989-1991)

日本ではワープロ専用機がパソコンよりも先に普及しており、1989年が出荷台数のピークでした。

実際、パソコンがワープロ専用機を打ち負かすのは2000年のことであり、当時はパソコンがゆっくりと広まっている段階でした。

この時にAppleから発売されたが、「Macintosh Portable」です。

今とは比べ物にならない売上が低迷していた90年代のApple製品
(画像=Macintosh Portable / Credit:Rama(Wikipedia)_Macintosh Portable、『ナゾロジー』より引用)

ラップトップパソコン(昔のノートパソコン)であり、Macintoshシリーズに初めてバッテリー駆動とトラックボールを採用したものでした。

Appleは勇敢にも「ポータブル・コンピュータ」に挑戦したわけです。

ところが重量が7.2kgもあり、現代のノートパソコン4台分の重さでした。

しかもバッテリー設計が不十分で、実際の携帯性はほぼ皆無。

加えて不格好な外観と、標準価格116万8000円という一般ユーザーではとても手が出せない価格設定から、「失敗」の烙印を押されてしまいました。

当然、販売数も振るわず、わずか2年で生産終了になります。

Macintosh TV(1993-1994)

1993年にWindows3.1日本語版が発売され、日本国内ではWindowsの時代が始まろうとしていました。

また1995年にはWindows95が発売。パソコンの出荷台数が急増することになったのです。

さらにこの時代は地上波テレビの黄金期でもありました。

1993年には「ひとつ屋根の下」や「高校教師」などのドラマを楽しんだ人が多いでしょう。

今とは比べ物にならない売上が低迷していた90年代のApple製品
(画像=Macintosh TV / Credit:Ben Boldt(Wikipedia)_Macintosh TV、『ナゾロジー』より引用)

そしてAppleはこの1993年に、テレビとパソコンを統合させたMacintosh TVを発売しました。

これはAppleにとって初の試みでしたが、当時人気のコンテンツを掛け合わせることで、大きな反響があると考えたのでしょう。

「1つのモニターをパソコンとテレビの両方で使用できる」という画期的なアイデアのように思えましたが、ユーザーにとっては「ただそれだけ」でした。

当時2000ドル(現在の3757ドルに相当。43万円ほどの価格)で販売されましたが、ほとんど売れませんでした。

出荷台数はわずか1万台であり、1年もたたずに製造中止になったのです。