民間の日本人として、初めて国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した前澤友作氏。Twitterで「宇宙なう」とつぶやいたことも話題になり、日本で宇宙ブームが起こりそうだ。最近は、株式市場で宇宙関連銘柄への注目度も高まっている。具体的な銘柄を紹介しよう。
宇宙関連ビジネスの市場規模の予測は?
宇宙関連ビジネスを専門に手掛ける企業が、アメリカ市場で次々に上場している。今後の宇宙ビジネス市場が有望であること考えると、これらの企業への投資を検討する価値は十分ある。これまでに発表された複数のレポートでは、宇宙市場は2040年代には1兆ドル(約115兆円)規模まで拡大するという見方が多い。
米モルガン・スタンレーは、2016年に約3,400億ドル(約39兆円)だった市場規模が、2040年代には約1兆1,000億ドル(約126兆円)まで拡大すると予測している。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによれば、2045年には市場が2兆7,000億ドル(約310兆円)規模まで拡大するという。
ここからは、この有望な市場でビジネスを手掛けている日米の上場企業を紹介しよう。
アメリカにおける宇宙関連銘柄
アメリカの宇宙関連銘柄としては、「ヴァージン・ギャラクティック」「アストラ・スペース」「ブラックスカイ」などが挙げられる。
ヴァージン・ギャラクティック(ティッカーシンボル:SPCE)
ヴァージン・ギャラクティックは、イギリスの富豪リチャード・ブランソン氏が2004年に創業した宇宙旅行会社で、2019年10月にニューヨーク証券取引所に上場している。宇宙旅行会社が株式市場に上場したのは、ヴァージン・ギャラクティックが初めてだ。
現在のところ、同社は商業宇宙飛行を2022年第4四半期に開始するとしている。株価は過去に50ドル台をつけたこともあるが、現在は10ドル台で推移している。
アストラ・スペース(ティッカーシンボル:ASTR)
アストラ・スペースはカリフォルニア州に本社を置く、宇宙ロケットの打ち上げに特化した企業だ。2021年8月にロケットの試験打ち上げを行ったが、失敗に終わっている。
2021年7月、同社は米ナスダック市場に上場した。株価が 20ドル台に達した時期もあったが、現在は6ドル台まで落ち込んでいる。
ブラックスカイ(ティッカーシンボル:BKSY)
2014年創業のブラックスカイは、小型の人工衛星による観測データを販売している企業だ。 すでに同社の小型衛星は宇宙で観測を行っており、アメリカの国防省などが顧客となっている。
株価はヴァージン・ギャラクティックやアストラ・スペースと同様、下落トレンドにある。2021年11月ごろから株価の下落が始まり、年末には5ドルを割り込んだ。
日本における宇宙関連銘柄
続いて、日本における宇宙関連銘柄を紹介しよう。
米国株の場合は宇宙ビジネスを専門とする企業に投資することができるが、日本株の場合は 今のところ、宇宙ビジネスを一部門として行っている企業に投資することになる。具体的には、「三菱重工業」「IHI」「NEC」などだ。
三菱重工業(証券コード:7011)
三菱重工業は、ロケットエンジンやロケットの姿勢制御装置などを製造している。国際宇宙ステーションの日本の宇宙実験棟「きぼう」では、三菱重工業が補給部与圧区(船内保管室)と与圧部(船内実験室)の製造を担当している。
IHI(証券コード:7013)
IHIは強みである極低温ポンプ技術や高速回転機械技術を活用し、ロケットエンジンで使用するターボポンプなどを生産している。子会社のIHIエアロスペースは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに小型ロケット「イプシロン」を開発していることで知られている。
NEC(証券コード:6701)
NECも宇宙事業を展開しており、その歴史は半世紀以上に及ぶ。公式サイトによると、これまでに約80機の衛星を開発・製造した実績があり、世界の約300機の衛星にNECの機器を 約8,000台も供給している。
宇宙関連の投資信託を保有するという方法も
この記事では、日米の宇宙関連銘柄を6つ紹介した。米国株では宇宙ビジネスを専門とする 企業に投資できるが、いずれも今のところ株価は上昇トレンドにない。将来有望な市場でビジネスを展開しているが、投資タイミングは慎重に見極めたいところだ。
宇宙関連銘柄に広く投資するなら、宇宙をテーマにした投資信託を保有するという方法もある。具体的には「ニッセイ宇宙関連グローバル株式ファンド」や「eMAXIS Neo 宇宙開発」などの投資信託だ。
個別株への投資はハードルが高いと感じる人や、個別株の値動きを追う時間がない人は、投資信託の保有を検討してはいかがだろうか。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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