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4つのリスクと回避方法
おさえておきたい7つのポイント

4つのリスクと回避方法

不動産投資にはメリットが多いものの、当然のことながらリスクもあります。

代表的なリスクとしては、貸し出した物件に入居者が入らなかったために家賃収入を得られなくなる「空室リスク」、入居者による「家賃滞納リスク」などが挙げられます。

1.│空室リスク

空室リスクは、需要のある物件を選ぶことで、ある程度は軽減できます。
賃貸需要の高いエリアであれば、退去後もすぐに次の入居者が決まるでしょう。

それでは、どのようなエリアなら賃貸需要が高いのでしょうか。

まず、東京23区で駅近くの物件は高い需要があります。
人口も多く便利な立地であれば、空室リスクをそれほど気にせずに運用できるでしょう。

次に考えたいのは、物件自体についてです。
賃貸物件への入居を決める際には、築年数や設備も重要視されます。

また、リフォームやリノベーションで部屋をキレイにするのも有効です。
物件の価値が高まれば、空室リスクも軽減できます。

購入費用や修繕費用など、効果と費用のバランスを考えて対応しましょう。

2.│家賃滞納リスク

家賃の回収や督促は、管理会社に委託するケースが多いでしょう。
家賃滞納に関しては、長期化すればするほど回収率が下がる傾向にあるため、早めに対応したいところです。

そのため、家賃滞納が発生した場合に管理会社がどのような対応をしてくれるのか、前もって確認しておくことが大切です。

3.│価格変動リスク

バブル期以外の不動産投資は運用益を目的として行われることが多いのですが、だからといって売却益を完全に無視していいわけではありません。

最初は運用益を目的に不動産投資していたとしても、投資をリタイアしたり、他に良い投資物件が見つかったりして、不動産を売却するときが来る可能性もあります。

そうした場合、物件の価格が購入時より大幅に低下していると、売却損が膨らんで「トータルで見ると収益があまり得られなかった」という結果に終わるおそれもあります。

一般的に不動産投資で価格が下がりやすい物件は、老朽化が進んだり利便性が損なわれたりして空室率が高くなった物件だといわれています。

「物件のメンテナンスを計画的に行う」「立地や将来的な都市計画を見極める」などして、少しでも価格変動リスクを軽減できるよう気を配ることが大切です。

4.│金利変動リスク

不動産は高額の買い物になることが多いため、ローンを組んで購入する人も多いです。
したがって、物件を購入する前には綿密な資金計画を立てることが欠かせません。

もし銀行から借り入れをした場合、返済するときには元本だけでなく利息を上乗せして支払わなければなりませんが、返済している間に金利が上がる可能性もあります。

金利が変わらない前提で資金計画を立てていると、金利が上がったときに支払う余裕がなく、滞納してしまうリスクもあるのです。

現金で一括購入しない場合はこのようなリスクを想定し、頭金を増やしたり金利の上昇を見込んだりして、経済的な余裕を持った資金計画を心掛けましょう。

おさえておきたい7つのポイント

1.│不動産投資で得られる利益の仕組みとは?

不動産投資で得られる利益は、以下の2つです。

・保有している資産(不動産)に対して得られる利益(家賃収入)=「インカムゲイン」

・保有している資産(不動産)を売却して得られる利益(売却益)=「キャピタルゲイン」

かつてバブル期には、右肩上がりに高騰し続ける不動産を売買し、キャピタルゲインを得るという不動産投資が主流でした。

しかしバブルは崩壊し、人口減少や低金利が続く現在の日本では、購入した不動産の価格が高騰し続けるというのは、あまり期待できないでしょう。

そのため昨今の不動産投資は、キャピタルゲインではなくインカムゲインを狙う方法が主流となっています。

つまり不動産投資の成功は、毎月の家賃収入(インカムゲイン)をいかに長期間安定して得られるかにかかっています。

2.│他の金融商品と違うポイントは?

不動産投資が他の金融商品と違うのは、ミドルリスクで安定したリターン(インカムゲイン)を得やすい点にあります。

なぜ安定したリターンを得やすいのでしょうか。
それは投資対象である不動産の資産価値が比較的変動しにくく、かつ予測しやすいからです。

また物件に手を加え、利便性や安全性を高めれば、資産価値の向上も狙えるのです。

つまり値動きが安定していて、自身の努力によって資産価値を高めやすいのが不動産投資なのです。

たとえば株式投資の場合、株式価値は市場の需給バランスや企業の経営状況などで決まります。
値動きが激しい上に、自分一人の力で値動きをコントロールできません。

しかし不動産投資の場合、不動産価値は株価のようには大きく変動しません。
不動産は、人の生活や社会活動に必要不可欠な資産だからです。
特に居住用物件の需要は経済情勢などに左右されにくいので、不況のときでも頼りになる資産と言われています。

もちろん不動産は実物資産なので、経年劣化するというデメリットがあります。
それは裏を返せば資産価値の動きが予測しやすいということでもあります。
またリフォームをするなど手間や費用をかければ、資産価値をある程度回復させることもできます。

このように不動産投資は、人の生活に欠かせない実物資産だからこそ、安定したリターンを得やすい仕組みになっているのです。

3.│いくらから始められる?

不動産投資の初期費用は、購入する物件や現在の職業、年収、勤続年数によって異なります。

たとえば一般企業の会社員が、頭金なしで3,000万円のワンルームマンションをローンで購入する場合には、諸費用として約100万円が必要になります。

さらに、頭金や仲介手数料を支払う場合、初期費用だけでも数百万円にのぼることもあります。

しかし、上場企業などで安定した年収のある会社員であれば、諸費用などの初期費用も含めてフルローンを組むことも可能です。

反対に、年収が低めの方や自営業者は金融機関の審査が厳しくなるため、ローンを組むこと自体が難しいでしょう。

このように不動産投資で必要な初期費用は、就業状況などにより大きく変わってきます。

「数百万円も準備できない」という方は安めの物件を購入して運用実績を作る方法もありますので、さまざまな方法を模索しましょう。

4.│資金がなくても始められる?

不動産投資にはお金がかかるため、資金に余裕がないとできない……というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。

物件の購入にローンを利用することができ、毎月決められた額を返済していけばよいため、物件を現金で一括購入するだけの資金を持っていない人でも不動産投資を始めることができます。

実際にローンを利用して不動産投資をしている人は多く、例えば、「将来の年金に不安を感じた人」や「副収入を得たいサラリーマン」などがローンを活用して不動産投資を行っています。

もちろん、審査に通らなければローンを組むことはできませんが、このように金融機関が購入費用を融資してくれるのは、不動産投資以外ではほとんど見られません。

せっかく挑戦しやすい環境が整っているのですから、資金に余裕がないからといって諦める必要はないのです。

不動産投資で使えるローンの種類

投資用物件を購入する際に使えるローンには「不動産投資ローン(アパートローン)」と「プロパーローン」の2種類があります。

「不動産投資ローン(アパートローン)」は、公務員やサラリーマンといった定収入がある人が通りやすいローンだといわれています。

融資の審査では、不動産の担保価値はもちろんのこと投資する人の年齢や年収、職業といった属性が重視されて融資の可否が決められるのです。
つまり、「不動産投資ローン(アパートローン)」は投資の成功の可否という点よりも、返済能力が決め手となるといえるでしょう。

一方の「プロパーローン」は「事業の成否」に重点を置いて審査されます。
融資を申し込んだ金融機関が「不動産投資が成功する可能性が高い」と判断すれば融資を受けられるローンです。

不動産投資でローンを組む場合、「不動産投資ローン(アパートローン)」を使うのが一般的です。
過去に不動産投資をして成功の実績があれば「プロパーローン」を選択する手もあるでしょう。

5.│利回りってどれくらい?

不動産投資の利回りとは、投資資金に対して得られた利益を1年あたりの平均に直した割合を指します。
つまり、儲けの度合いを示す指標が利回りです。

不動産投資における一般的な利回りの平均は、以下のとおりです。

  • 新築区分マンションの表面利回り:3%~4%前後
  • 新築マンションの1棟投資の表面利回り:6%前後 ただし不動産投資の利回りを見る際は、他の金融商品の利回りとは見方が異なる点に注意が必要です。

たとえば上記の「表面利回り」は、物件の管理費や修繕費といった経費を含めずに計算されています。

実際に不動産投資をする際に重要になるのは、経費を含めた「実質利回り」です。
したがって表面利回りの高さだけを見て、地方の中古物件を購入するのは危険です。

表面利回りが高くても思わぬ修繕費がかかったり、なかなか借り手が見つからなかったりすれば経費は膨らみ、実質利回りは大きく低下します。

そのため不動産投資で物件を選ぶときは、表面利回りに惑わされないことが大切です。

6.│どんな人に不動産投資が向いている?

不動産投資は、レバレッジ効果を得るためにも、投資用物件のローンを組みやすい方に向いています。

具体的には、安定して500万円超の年収がある方、上場企業勤務の会社員、公務員、医師・看護師や弁護士など専門職の方などが該当します。

つまり金融機関が、「継続して安定した収入を見込める」と判断しやすい属性の方です。

上述したとおり不動産投資の魅力は、他者のお金で安定したリターンを得られる点にあります。
他者のお金=ローンを借りるためには、金融機関の審査に通りやすい属性でなければならないのです。

金融機関がローン審査で重視するのは、収入の多寡よりも収入の安定度。
したがって直近の収入が100万円ある自営業の方よりも、月収が50万円ある安定した上場企業勤務の会社員のほうが、融資を受けやすいのです。

とはいえ収入が100万円もある自営業者であれば、安めの物件を購入して実績を作る方法もあります。
ローンを活用しなければ、投資効率は下がりますが、不動産投資の実績を作ることができれば、それを元に次の物件の購入時にローンを組めるかもしれません。

このように、ご自身の属性に不安がある場合でも、属性を補うための方法はあります。

不動産投資でもっとも重要なのは、長期的な資金計画をしっかり立てること。
ですので、焦らずじっくりと考えられる方であれば、不動産投資に適していると言えるでしょう。

7.│不動産会社選び方は?

投資用の物件を購入する際に利用することになる不動産会社ですが、「不動産会社選びが不動産投資の成功を左右する」といってもいいほど重要なパートナーだといえます。

では、どのような会社が良い不動産会社と言えるのでしょうか。

その判断の目安のひとつに、事前にリスクをきちんと説明してくれるか否かが挙げられます。

そして、物件の購入はあくまでスタート。不動産投資を成功させるためには、家賃設定や建物の定期メンテナンスなど購入後のフォローもしてくれる会社を選ぶ必要があります。

このほかにも、「顧客の求める条件をしっかりとヒアリングした上で、具体的な物件をすすめてくれるか」「インターネット上のクチコミサイトで良い評価が多い顧客満足度が高い会社か」も見極めておくとよいでしょう。