Q9. これから円はまだ下がるんでしょうか?

それはわかりません。あまり急に円安になると、輸入インフレがひどくなって困りますが、日本はまだ貯蓄過剰なので、その差を埋める「均衡為替レート」は1ドル=150円ともいわれます。日本がこれからインフレになると通貨価値が下がるので、円は安くなります。

長期的には、ヨーロッパで脱炭素化で石炭火力発電を禁止したので、化石燃料の不足によるグリーンフレーションが進むでしょう。これによって資源価格が上がると、資源を自給できない日本のコストは上がり、交易条件はさらに悪くなります。

Q10. 円安を止める方法はあるんですか?

いちばん簡単な方法は、外為市場で政府がドルを売って円を買う為替介入ですが、これはいつまでも続けられません。外為市場の規模は日本政府のもっている資金よりはるかに大きいからです。

長い目でみると、円が安くなって日本国内で生産するコストが下がったら、アジアに出て行った工場も日本に帰ってくるでしょう。外資も日本に生産拠点をつくると思います。今はまだ日本企業の実力より円が高いので、円安が進んでいるのです。結局、為替レートは国際競争力で決まるので、企業の生産性を高めることが最大の円安対策だと思います。

この他にも為替レートは、よい子のみなさんにはわからない複雑なおとなの事情があるので、1月7日からのアゴラ経済塾「インフレ時代に資産を守る」では、円安のゆくえも考えたいと思います。

文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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