2. 外国人からよく見られたい
普段は厳しい対応をするような人物でも、相手が外国人だと弱腰になるケースは少なくない。
YouTubeにアップされている動画の中では「外国人のふりをしてみた」というものがいくつがある。オラオラと怒鳴り散らすような詐欺の架空請求業者は、外国人のふりをした相手に「大丈夫ですか?こちらの日本語わかりますか?」といきなり猫なで声になる様子が視聴者の笑いを誘っている。
これに限らず、外国人に対して強く出ることができない日本人は少なくない。これは個人的推測の域を出ないが、「日本という国や日本人を相手からよく見られたい」という自意識が無意識にそうさせているのではないかと考えている。テレビ番組でも「日本は海外から称賛されている!」という趣旨のものを、クレームを付ける事が多い年代層は好んでみている傾向があることからも伺える。
この仮設が正しい場合、クレーマーは自分自身ではなく、日本という国家や日本人という属性に強烈なプライドとアイデンティティを持っており、かのような対応へとつながっているのだろうと考えられる。
3. 外国人が怖い
日本人の中には、外国人に対して潜在的な恐れを抱く人がいる。
たとえば訪日外国人が突然、自分に英語で話しかけて来た場合は「ここは日本だ!英語で話してくるとは失礼な!日本語話せ!」のような対応するような人はほぼ皆無であり、「Sorry…」「I can’t speak English」のように、笑顔を交えて英語ができなくても懸命に返そうとする人は少なくない。まるで「不勉強で英語を話せず、申し訳ない」とへりくだりすぎるように見えるケースすらある。
日本にいるコンビニの外国人店員は日本語を話す。それでも「クレームという想定外の対応をさせて、相手が急に英語を話してきたらどうしよう…」という不安が強い態度を抑制しているのではないだろうか。
また相手のひげが濃かったり、体格が良い男性店員だと、見た目に威圧感を覚える人もいるだろう。カスハラをするようなクレーマーは、自分より弱い相手を冷静に見定める観察眼がよく働く。いかつい見た目の相手にも、物怖じせずに堂々と抗議できるような強さは皆無である。
◇
以上のことから、クレーマーは外国人店員に言うもどおり文句を付けないのだろうと推測できる。そもそも、外国人店員に過剰なおもてなしを期待していないために、腹の立つ期待値も生まれないのだろう。そう考えると、クレーマーを生み出すのは「お客様は神様」というおもてなしの精神と言えるのかもしれない。
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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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