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イタリア発の生地・スタイルの特徴&どんな人におすすめか?
イタリア生地5大ブランドを徹底紹介!

イタリア発の生地・スタイルの特徴&どんな人におすすめか?

イタリアから発信される生地の特徴やスーツスタイルについて解説した上で、それがどんな人におすすめかにも触れておきましょう。

イタリア生地の特徴とは?

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=pinterest.jp、『KASHI KARI』より引用)

前述の通り、柔らかくて光沢の美しいイタリア生地は、スーツになるとどういう効果を生み出すのでしょうか?それは着る人の男の色気を引き立てるということが挙げられます。

ドレープ性に優れているのがイタリア生地なのでボディラインが際立ち、光沢による煌めきは生地の角度によって流れるような光の粒子を走らせます。それはもう男の艶っぽさを強調せずにはおれない素材だと言えましょう。

イタリアのスーツスタイルの特徴とは?

ひとくちにイタリアのスーツスタイルといっても色々とあるのですが、大別するとは2タイプに集約できます。クラシコイタリア型とモード型の2つです。

クラシコイタリア型

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(画像=pinterest.jp、『KASHI KARI』より引用)

サルトリア(仕立て職人)が生み出すイタリアン・クラシックスーツです。ベースになっているのは英国のサヴィルローのビスポークスーツ(テーラードスーツ)ですが、イタリア流に様々なアレンジが加えられています。

肩バッドを抜いたり芯地を減らしたりの、センツァインテルノ(内容物を入れないという意味)やジャッカカミーチャ(シャツのような袖付け)と呼ばれる独特の仕立て方などです。

袖ボタンを重ねてつけたり、ジャケットの胸ポケットや腰ポケットに関して「バルカ」といって半月形に、体の膨らみに沿わせるような付け方をしたり、袖そのものが湾曲していたりなどのこだわりがあります。

モード型

世界的なデザイナーが打ち出すコレクションラインの流れを汲むスタイルで、時代によって変化します。

1990年代前半はアルマーニやベルサーチなどのルーズフィットのいわゆるソフトスーツが主流でした。この頃のイタリア生地はふわっとしたボリュームのあるものが多くありました。90年代後半から、ジルサンダーやプラダのミニマルでスッキリしたスタイルが席巻します。

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=pinterest.jp、『KASHI KARI』より引用)

2000年代以降はトムフォードが打ち出した、極度にスタイリッシュでセクシーなスタイルが、クラシコイタリア系と共存しながら長く続き、2019年現在はナチュラルなシルエットへの回帰の兆しが感じられます。

イタリア生地はこんな人におすすめ

イタリア生地やイタリアンスタイルのスーツは、伝統的なものを含みながらも新しい感覚や時代のトレンドが反映されています。そういう生地なので、新しいものを好み、垢抜けた「粋」な装いを求める人たちにおすすめできます。

イタリア生地5大ブランドを徹底紹介!

それではイタリア生地の数あるブランドの中から、代表的なものを5ブランド挙げて、特徴・魅力や価格帯・おすすめ生地などを紹介します。生地選びの際の参考にしてくださいね。

①REDA-レダのオーダースーツで常にアベレージ超えのスタイルを・・・

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=reda1865.com、『KASHI KARI』より引用)

創業150年もの歴史の中で育んだ技術と徹底的な一貫生産で、安定した品質と素晴らしい仕立て映えを見せてくれるレダは、価格的にも手頃に本格オーダースーツを体験させてくれます。

レダの特徴と魅力

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=reda1865.com、『KASHI KARI』より引用)

光沢も肌触りも抜群のレダの服地は、見ればわかる上質感を有しています。テクノロジーを駆使して高品質素材を効率よく生産します。高級感の割にコストパフォーマンスに優れているので人気が高いのです。あらゆるカテゴリのファッションに用いられ、クラシック、コンサバからトレンドまでカバーできる盤石な地位を確立しています。

レダ生地使用オーダースーツ の価格帯は?

REDAの生地を使ったオーダースーツの価格相場は、値頃なオーダーショップなら税別47,000円ぐらいから作れます。多い価格帯は税別59,000~89,000円の範囲です。

レダのおススメ生地

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(画像=reda1865.com、『KASHI KARI』より引用)

REDAのおススメ生地は、春夏には清々しい着心地を持つ「ICE SENSE / アイスセンス」や秋冬をアクティブに着こなせる「ATTO / アットー」です。

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=reda1865.com、『KASHI KARI』より引用)

アイスセンスは特殊加工で紫外線の吸収を抑えて、生地の表面温度を数度下げます。特殊な加工をしても、ドレープ性もコシやハリも損なわずに付加価値を生んでいます。

アットーはactionを意味するイタリア語です。極細繊維の強撚糸を用いているので防しわ性・ストレッチ性を持ち、名前通りアクティブな使い道に向いている生地です。撥水・撥油加工などの防汚効果も有しています。

②カノニコCANONICOのオーダースーツを着て虎視眈々と「一流」を狙おう

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=vitalebarberiscanonico.com/、『KASHI KARI』より引用)

世界最古の織元(おりもと=織物製造業者)と言われる「Vitale Barberis Canonico(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)」は、世界中のファッション好きに愛され親しまれています。

カノニコの特徴と魅力

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=vitalebarberiscanonico.com/、『KASHI KARI』より引用)

カノニコは徹底した一貫生産によって、妥協もブレもない品質を連綿と保ち続けています。一貫生産は大まかに言うと7つの段階が存在します。

  1. 洗浄:刈り取りたての原毛を良質な水で洗浄し不純物を除去
  2. コーミング:温められたテープ状の羊毛から櫛で梳いて短い繊維を取り除く
  3. 紡績:羊毛の塊り(トップ)が束ねられて何度もコーミングをされて撚りをかけられる
  4. 染色:「トップ染め」「糸染め」「後染め」のいずれかで染色される
  5. 経糸形成:経糸(縦糸)と緯糸(横糸)をしっかりと絡み合わせるための重要工程
  6. 織り:上下運動を繰り返す経糸の間を緯糸が走って「筬(おさ)」を打ち込こむ作業
  7. 仕上げ加工:起毛を除去するリアカット作業や石鹸水に浸して引き締める縮絨加工

これらによって、光沢となめらかさ、丈夫さ、色目の鮮やかさなどの必要な要素が生み出されます。

カノニコ生地使用オーダースーツの価格帯は?

カノニコ服地を使用したオーダースーツの価格は、ショップごとの目玉特価などは別にして、相場として税別55,000~69,000円ぐらいがエントリー価格になっています。

カノニコのおススメ生地

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(画像=vitalebarberiscanonico.com/、『KASHI KARI』より引用)

「Perennial / ペレニアル」は選りすぐりのSuper110’sウールのツイル素材です。とびきりのしなやかさと、堅牢度と回復力に優れています。「Revenge 150’s/ リベンジ 150’s」は中でもプレミアム感が強い、16ミクロンの極細繊維の原毛を使用した服地です。

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=vitalebarberiscanonico.com/、『KASHI KARI』より引用)

「Mohair Twill / モヘアツイル」は経糸(縦糸)にSuper130’sの双糸、緯糸(横糸)には光沢が素晴らしいキッドモヘア(生後半年のアンゴラ山羊から採れる希少な高級素材)の混紡糸を使って織り上げた極上素材です。

「Flannel / フランネル」は英国製のゴワついたフランネルとは異なり、イタリアらしい柔らかな風合いですSuper 120’s / スーパー120’sは繊維の細さが17.5ミクロンという、極細繊維原料でしっとりと織り上げた超高級素材です。

③DRAGO-ドラゴの極上感溢れるオーダースーツで男前を上げよう!

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=dragobiella.it/、『KASHI KARI』より引用)

あまり知られていないブランドながら、世界で生産されるスーパー130’s以上の超極細繊維を持つ高級糸の約70%がドラゴ製という驚愕のコアなブランドです。英国とイタリアの一流メーカーに高級糸を供給しており、中でも最上級のものだけは自社で生地として生産するので、ドラゴブランドでしか手に入りません。

ドラゴの特徴と魅力

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=dragobiella.it/、『KASHI KARI』より引用)

イタリアが生んだ世界最高峰の服地ブランド「エルメネジルド・ゼニア」や、ゼニアと双璧をなす「ロロ・ピアーナ」等の超一流生地ブランドでドラゴ製の糸が使用されてきました。2001年にイタリアの生地メーカー「フィンテス」を傘下に組み入れ、自社の高級糸を用いた「ドラゴ」ブランドを始めました。

ドラゴ生地使用オーダースーツの価格帯は?

ドラゴ生地使用のオーダースーツは、だいたい税別68,000~98,000円の範囲がほとんどです。10万円を超える場合もあります。実際のクオリティとしては10万円を超えても当然なので、価値ある1着になるはずです。

ドラゴのおススメ生地

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
(画像=dragobiella.it/、『KASHI KARI』より引用)

ドラゴのおすすめ生地はダントツで「VANTAGE」と「Blue feel」を挙げることができます。VANTAGEはスーパー130’sというカシミアやシルク並みの17ミクロンの極細の繊維を持つ、高級素材です。

④絹と見紛うばかりの流麗な羊毛服地こそ、ロロピアーナ

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(画像=pinterest.jp、『KASHI KARI』より引用)

ラグジュアリーテイストとしては他の追随を許さないロロピーナは世紀を超える深い歴史と、最上級のものしか世に送り出さないという品質への強く徹底したこだわりが、現在の地位を築く礎となっていると言っても過言ではないでしょう。

ロロピアーナの特徴と魅力

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ロロピアーナの最も得意とするものが超極細繊維を使用したシルキーな羊毛生地です。その光沢の煌びやかさと質感の滑らかさは宝石を連想させるほどです。厳選された原料から生まれる上質素材は、着る人の華麗な佇まいを周囲に印象付ける・・・そんなオーダースーツになるのです。

ロロピアーナ生地使用オーダースーツの価格帯

ロロピアーナの生地を用いたオーダースーツはエントリー価格としては税別68,000円ぐらいからあります。しかしそれは一部で、ほとんど10万円前後、あるいはそれ以上になります。

ロロピアーナのおススメ生地

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ロロピアーナのおすすめ生地は「ジランダードリーム」と「フォーシーズンズ」です。前者はニュージーランド産のシュリンク性が抜群な上質メリノウールを使用した人気銘柄です。後者は通年物として季節を問わずに使用しやすい、安定した高品質の生地です

⑤最高峰エルメネジルド・ゼニアこそが紳士服地の王者

プロのテーラーが教える『イタリアスーツ生地』完全ガイド|選び方・特徴と人気5大ブランドの魅力を徹底解説!
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20世紀の終盤から世界的に知名度が上がり続け、21世に入って以降もその名声の広がり方は衰えず、現在は万人が認める紳士服地の世界最高峰としての座に君臨するゼニア。その尽きない魅力の裏側には、同じ価格帯でもシーズンごとにグレードを上げ続けるストイックでプロフェッショナルな姿勢にあります。

エルメネジルド・ゼニアの特徴と魅力

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ゼニアはおよそ考えられ得る上質生地の条件をことごとくクリアし、本来イタリア生地のデメリットであった堅牢度に関しての脆弱さも悠々とクリアして、英国生地に引けを取らないタフな生地を、イタリアならではの感性をたっぷりと注ぎ込んで作り出します。

エルメネジルド・ゼニア生地使用オーダースーツの価格帯

ゼニア生地を使ってオーダースーツを作るのなら、基本的には10~20万円は覚悟しましょう。ゼニアの直営ショップなら裾値でも28万円ぐらいはします。一般オーダーショップでエントリー価格が税別98,000円のところも散見されますが、10万円超えのエントリーが多いです。

エルメネジルド・ゼニアのおススメ生地

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特に夏物なら「クールエフェクト」がおすすめです。紫外線をほぼ跳ね返すので、屋外での着用が「真っ白のスーツ」を着ている程度の快適さです。また、品評会の優勝トロフィーを意味する「トロフェオ」もおすすめです。選りすぐりの贅沢な原料を紡ぎ上げ、丹念に染め上げ、丁寧に織り上げられた最高に素敵な生地です。