低強度で持続する精密なレーザー誘雷技術

今回の研究が示す新しい方法は、レーザー誘雷技術の抱える問題を一挙に解決できるかもしれません。

新しい技術では、プラズマを作るのではなく、空気中のグラフェン微粒子をビームによって捕獲し、それをレーザーで加熱します。

粒子を捕獲することで、局所的な空気密度が下がり、その粒子を加熱することで周囲の電子の移動可能な距離が増加されます。加熱された粒子はレーザーが止まった後もしばらく維持されます。

これによって低強度のレーザーによって長時間、精密な誘雷が可能な経路を作り出せるのです。

「雷を自在に操る」新技術が登場! レーザーで危険な落雷を、線を描くように誘導できる
(画像=実験で示された概要。レーザーで捕獲した粒子を加熱することで、周囲の誘電率を高める。 / Credit:V. Shvedov et al.,Nature Communications (2020)、『ナゾロジー』より引用)

実験では、従来の研究の1000分の1のレーザー強度を使用していて、グラフェン微粒子によって放電するかどうかの限界の値を30%減少できることが示されました。