これまで、日本でタピオカブームは3回起きている。数年前に「第3次ブーム」が起き、「タピる」という流行語も生まれた。第3次ブームも下火になったかと思いきや、そうともい えないようだ。その証拠に、人気タピオカドリンク店「ゴンチャ」の店舗数は増えている。

タピオカブームの歴史と第3次ブーム

タピオカの「第1次ブーム」は1992年ごろ、「第2次ブーム」は2003〜2013年ごろ、そして「第3次ブーム」は2018年に始まった。

第3次ブームの火付け役は、台湾のタピオカ店の日本進出だ。その背景には、日本で起きていた台湾ブームがある。3回目のタピオカブームは、Instagram(インスタグラム)などのSNSを通じて瞬く間に広がった。

第1次ブームも第2次ブームも次第に下火になり、最終的にはブームが終わったため、第3次ブーム長くは続かないと考えられていた。実際、都心のタピオカ店でも行列を見かけることは少なくなった。

新型コロナウイルスの感染拡大によって外出機会が減ったことも、第3次タピオカブームに水を差した。SNSのタイムラインからタピオカミルクティーの写真が減ったと感じる人も、少なくないはずだ。

ゴンチャが店舗数を増やし、数年で400店舗規模に!?

ここまで読むと、「第3次タピオカブームはすでに終わっている」と思うかもしれない。しかし、台湾の人気チェーンであるゴンチャの店舗数の推移を見れば、まだ第3次ブームが終わったとはいえないことがわかる。

ゴンチャは第3次ブームが起こる前の2015年、東京で第1号店(原宿表参道店)を開店している。その店舗は2020年に閉店しているが、2020年3月末には全国に60店舗、その年の暮れには110店舗まで増え、2021年12月時点でも店舗数は減っていない 。

ゴンチャの都道府県別の店舗数は以下のとおり。同社は2020年7月に開いた経営説明会で、数年以内に店舗数を400店舗まで増やすと明言しており、現在はまだ店舗がない地域に今後新店舗を続々とオープンすると考えられる。

<ゴンチャの都道府県別の店舗数>
都道府県 店舗数 都道府県 店舗数 都道府県 店舗数
北海道 4店舗 石川県 1店舗 岡山県 1店舗
青森県 0店舗 福井県 0店舗 広島県 2店舗
岩手県 0店舗 山梨県 0店舗 山口県 0店舗
宮城県 2店舗 長野県 0店舗 香川県 0店舗
秋田県 0店舗 岐阜県 1店舗 高知県 0店舗
山形県 0店舗 静岡県 3店舗 愛媛県 0店舗
福島県 0店舗 愛知県 9店舗 徳島県 0店舗
茨城県 2店舗 三重県 0店舗 福岡県 5店舗
栃木県 1店舗 滋賀県 0店舗 佐賀県 1店舗
群馬県 2店舗 京都府 1店舗 長崎県 0店舗
埼玉県 5店舗 大阪府 14店舗 熊本県 2店舗
千葉県 9店舗 兵庫県 2店舗 大分県 0店舗
東京都 32店舗 奈良県 0店舗 宮崎県 2店舗
神奈川県 7店舗 和歌山県 0店舗 鹿児島県 1店舗
新潟県 0店舗 鳥取県 0店舗 沖縄県 4店舗
富山県 0店舗 島根県 0店舗 合計 113店舗
出典:ゴンチャ公式サイト

現在最も店舗数が多いのは東京都で、32店舗。次いで大阪府14店舗、千葉県と愛知県が各 9店舗、神奈川県7店舗と続く。

タピオカの「第3.5次ブーム」が巻き起こる可能性

経営説明会を開いた2020年7月時点のゴンチャの日本法人トップは原田泳幸氏。原田氏は、米アップルやマクドナルドの日本法人を率いた経歴を持つ「プロ経営者」として知られている。 2021年2月に会長・社長・最高経営責任者(CEO)の職を辞したが、在任中に店舗拡大 の下地は築いていたはずだ。

2021年12月現在、オミクロン株に流行の兆しが見られるものの、日本で緊急事態宣言が発令されていた時期に比べれば、感染拡大は収まっている。今後「リベンジ消費」が本格化することを考えると、今後ゴンチャは「400店舗」という目標を本格的に目指すだろう。

ゴンチャが店舗数を大幅に増やせば、終わりかけていた第3次ブームが再燃し「第3.5次ブーム」が起こるかもしれない。

タピオカは「流行のモノ」になっていくのか

タピオカミルクティーは「流行のモノ」として終わるのだろうか。それとも、コーヒーのように「普遍的なモノ」として定着していくのだろうか。

人の心は移ろいやすいものだが、もしタピオカミルクティーが日本でコーヒーのような存在として完全に定着すれば、店舗数を増やし続けるゴンチャは「タピオカ界のスタバ」的な存在 になるかもしれない。

タピオカミルクティーの今後を占うためには、しばらくはゴンチャの店舗数の推移をウォッチする必要があるだろう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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