目次
山林売却の手続きと流れ|相談先探しから引き渡しまで
山林売却の注意点は必要費用や価格左右の要因3つ
山林売却の手続きと流れ|相談先探しから引き渡しまで
山林売却は相談先によって売却する相手探しは異なるものの、売却までの流れは基本的にほぼ同じです。売却手続きの流れは次のようになっています。
1.相談先探し
2.売却相談
3.売却方法の決定や査定
4.売却先(買主)探し
5.売買契約の締結
6.山林の引き渡しと決済
なお山林を不動産会社に買取してもらう場合と、山林事業の会社に買ってもらう場合は手続きが一部異なります。
不動産会社に買い取ってもらう場合や山林事業の会社に売る場合は、買主を探す必要はありません。なぜなら相談先の不動産会社や山林事業会社が買うからです。
したがって不動産会社・山林事業の会社に売却する場合、手続きの中の「4.売却先(買主)探し」は必要ありません。仲介で山林売却するときは買主探しが必要になります。
まずは山林売却の相談先を探す
山林を売るときはまず相談先を決めます。すでにお話ししたように売却方法は4つあり、方法によって相談先が異なります。
不動産会社の仲介や買取を利用するときは、山林を扱っている不動産会社の中から相談する会社を決めなければいけません。サイトを使う場合も同様で、どのサイトを利用するか決めなければ情報入力や相談ができないはずです。
まずは不動産会社やサイトなどを見て回り、良さそうな相談先をリストアップしておきましょう。
相談先に山林売却について相談する
相談先を決めたら山林売却について相談します。相談しながら不動産会社やサイト運営会社、山林事業会社の中から売却先、あるいは売却をサポートしてもらう先を絞ることも可能です。
実際に相談してみると「サイトと印象が違うな」「こちらの会社の方が信頼して任せられそうだ」と、感想も出てくることでしょう。ニーズに合った信頼できる会社を選びましょう。
売却方法について迷っている場合は不動産会社やマッチングサイト、森林組合とルートを組み合わせてみましょう。方法の異なる複数のサイトや会社、団体に相談するのは非常におすすめです。自分に合った方法が見えてきます。
山林の売却方法を決めて査定してもらう
山林の売却方法には「公簿売買」と「実測売買」があります。
公簿売買とは登記簿に載っている面積や、各種情報をもとにして山林売却する方法です。
登記簿上の情報が必ず正しいとは限りません。特に面積は実際の面積とズレているケースもあります。しかし広大な山を測量すると莫大な測量費用がかかるため、売却にかかる費用を削減するために「ズレているかもしれないが登記簿上の情報で売却しよう」という方法が公簿売買です。山林売却ではよく使われる方法になります。
実測売買とは、実際に山林を測量して売却する方法です。
山林売却の際はどちらの方法で手続きを進めるかなどを話し合い、決めておく必要があります。
山林の売却先(買主)探しをする
山林売却について基本的な方針や計画を決めたら、次は買主探しを行います。
方法としては山林情報をマッチングサイトに登録したり、不動産会社のサイトで公開したりと多くの手段があります。不動産会社などにあらかじめ相談し、近隣の山林所有者に声掛けなどをしてもいいでしょう。
山林の売買契約を締結する
山林の買主が見つかったら売買契約です。売買契約の前に買主から価格や条件の交渉を求められるケースもあります。最終的に売却条件に売主と買主が双方納得したら、契約内容をしっかり確認し売買契約を締結するという流れです。
山林売買にローンを使うときもあるため、支払い方法の確認や支払い準備を進める必要もあります。
山林を買主に引き渡し売主は代金を受け取る
山林売買の契約を結んだら、売却対象の山林を買主に引き渡します。
しかし山林は物理的に買主に渡すことはできませんから、引き渡しは権利移転によって行うのが基本です。(山林の名義を買主に書き換え)
売主は決済により山林の売却代金を受け取ります。
山林売却の際は固定資産税の清算も行われるのが基本です。固定資産税は毎年1月1日時点での不動産所有者に課税されます。山林売買が年度の途中に行われた場合、固定資産税の課税が不平等な結果になるはずです。
だからこそ山林売買の際に売主と買主の間で固定資産税の負担を計算し、払い過ぎている分があれば買主と売主の間で清算します。
山林売却の注意点は必要費用や価格左右の要因3つ
山林売却の際は注意したいポイントが3つあります。そのポイントは山林売却にかかる費用や山林の価格左右の要因、売却ターゲットです。売却の際は3つの注意点を留意し、後悔のないようにしましょう。
注意点①山林売却の必要費用を知っておく
山林売却には基本的に費用がかかります。売却する側である売主は、一方的に売却金を受け取れるという印象があるかもしれません。
しかし実際は違います。
山林売却のために必要な測量や手続きの費用が発生するのです。費用の負担は売主と買主で話し合うべき部分になるでしょう。山林売却しても一方的に売却金だけ受け取れるわけではない点は、注意しなくてはなりません。
山林売却のために必要なのは以下のような費用です。
■測量費用
山林を測量するためにかかる費用です。
実測売却するときは、山林の測量をしなければいけません。山林の状況や面積により測量費用が変わってくるため、金額についてはケースバイケースになります。
■仲介手数料
不動産会社に山林の仲介をお願いする場合は、仲介手数料が発生します。仲介手数料の金額は上限が法律によって定められており、上限を超える仲介手数料を請求することはできません。
仲介手数料は山林の不動産価格により変わってきます。
■登記費用や売買契約の印紙代
山林の名義変更(権利移転)の登記には、登録免許税がかかります。売買契約をする際は契約書に印紙を貼りますので、印紙代や登録免許税の費用を売却時に考えなければいけません。
名義変更を司法書士に依頼する場合、別途司法書士への報酬も必要です。
■山林売却の税金
山林を売却して利益が出ると、利益に対して税金がかかります。
売却時の利益への課税は、売却方法によって山林所得や譲渡所得に分かれます。山林そのものを売却する場合は基本的に譲渡所得による課税となり、山林の所有年数などにより税金が変わってくるのです。
注意点②山林売買の売却価格を左右する要因を知っておく
山林売却では、山林の種類により価格設定が変わってきます。
- 林業本場林地 / 林業に使われる山林
- 山村奥地林地 / 道が整備されていない市街から離れた山林
- 農村林地 / 農村付近にある山林、里山
- 都市近隣林地 / 市街地の近隣、郊外にある山林
売りたい山林が上記の分類によって変われば、価格設定も変わります。4つの山林の種類の中では、市街の近隣にある都市近隣林地が最も売却価格の高い傾向です。
注意点③山林売却のターゲットも重要
山林を売るときは売却のターゲットを定め、ターゲットに合わせた売却計画を立てる必要があります。
山林を欲しがるのは「自分でキャンプや別荘に使いたい人」「自分で事業に使いたい人」「会社の事業に使いたい」といった方々です。一言で事業といっても樹木の伐採からレジャー、自然エネルギー関連までさまざまな事業があるでしょう。
スムーズに売却するため、「誰をターゲットにするか」を考えた上で、ターゲットに合わせた価格設定や売り込みをすることが重要になります。
売却時は「誰に売りたいか」も考えて計画を立てましょう。