4回に渡ってお送りする連載企画、事業用ローン徹底解説。第3弾の今回は、事業用ローンの審査について詳しく比較していきます。

目次
事業用ローンの審査
事業用ローン審査でチェックされやすいポイント

事業用ローンの審査

事業用ローンを利用する際は、必ず審査があります。審査基準は借入先によって異なりますが、基本的にまとまった金額を希望するほど審査は厳しくなりやすいです。一方で、少額融資であるほど審査は通りやすい傾向にあります。また、公庫や銀行系の事業用ローンのほうが、消費者金融や信販会社系の事業用ローンに比べ、審査は厳しめといわれています。

●審査にかかる時間

事業用ローンの審査についても、借入先や借入希望条件によってさまざまですが、公庫や銀行の審査は時間がかかることが多く、場合によっては1ヶ月くらいかかることもあります。

対する消費者金融や信販会社系の事業用ローンはスピーディな審査が特徴で、多くの場合3営業日以内には結果が分かります。中には最短即日融資が可能な場合もあります。ノンバンク系の事業用ローンの審査スピードが速いのは、自動スコアリングシステムを採用していることが多いからです。

事業用ローン審査でチェックされやすいポイント

事業用ローンの審査は、借入先によって審査基準が異なるため、明確なルールはありません。ですが、一般的に下記のポイントはチェックされることが多いです。借入を申し込む際は、事前のリサーチや資料作成を丁寧に行い、万全の準備をして臨みましょう。

<チェックされやすいポイント>
•資金使途
•返済計画
•経営状況
•事業の将来性や経営者の人柄
•税金等の滞納・未払い
•金融事故歴の有無
•業歴

●資金使途

まずチェックされやすいポイントのひとつは、資金使途です。「なんのためにお金が必要か」、資金が必要な理由について、しっかり説明できるようにしておきましょう。

資金使途や希望金額の根拠があいまいなままでは、本当に借入が必要だとしても、審査の担当者に伝わらない可能性があります。資金使途については、明確な理由を伝えるようにしましょう。

●返済計画

事業用ローンの審査を受ける際は、返済計画についてもしっかり考えておきましょう。特に公庫や銀行系の事業用ローンは、金利が低い分、返済期間や返済計画についてチェックされやすいです。公庫や銀行側からすれば、金利水準が低いと回収できなかった際のリスクが高まるため、きちんと返済してもらえる相手かどうかは、厳しくチェックしたいからです。

場合によっては、保証人や担保の提出が必要になることもあります。毎月いくらなら確実に返済ができるか、売上が下がった場合でも返済できる金額はいくらかなど、しっかりシミュレーションし、適切な計画を立てましょう。

●経営状況

経営状況の良し悪しも、事業用ローンの審査では重要視されるポイントのひとつです。例えば赤字経営ではないか、財務状況が悪くても好転する材料があるかどうかなどです。

借入先からしてみれば、いくら返済計画がしっかり作られていても、経営状態が悪く先が見込めない会社に融資しても、本当に返済してもらえるか分からず不安です。不安なまま融資をするより、毎年黒字で、お金がたまっていく会社のほうに多く融資をしたいと思うのが当然でしょう。

特に個人事業主の場合、生活費と事業費との境目があいまいになりやすいため、赤字だと審査が難しくなりやすいです。

経営状況を知ってもらうために、審査には書類の提出も行います。必要書類は借入先によって異なりますが、法人の場合は決算書、個人の場合は確定申告書などを提出するのが一般的です。書類の内容や、資金使途、事業計画書、返済計画などを総合的に判断し、審査の可否が決められます。

<審査に必要な書類例>
•会社概要(事業内容や会社案内など)
•貸借対照表や損益計算書など決算書一式2~3期分(法人の場合)
•確定申告書(個人事業主の場合)
•登記事項証明書
•本人確認書類
•資金使途に関する事業計画書

決算書が赤字でも事業用ローンの審査が100%無理とは限りません。しかし、仮に審査を通過しても、赤字決算の場合は、黒字決算の場合に比べ、高い金利設定となることが多いです。また、審査基準のボーダーラインぎりぎりの場合も、上限金利が適用される傾向にあります。借入先側も、貸し倒れのリスクを減らしたいからです。

とはいえ、決算書の数字を粉飾するのは論外です。たとえノンバンク系事業用ローンのスコアリングシステムでも、粉飾していれば分かるようになっているからです。節度を守り、適切な決算書を作成しましょう。

●事業の将来性や経営者の人柄

審査では、現在の経営状況だけでなく、将来性や経営者の人柄も考慮されることがあります。特に公庫や銀行系の事業用ローンでは、人と人との話し合いになることが多いです。最終的に担当者が「この経営者なら安心してお金を貸せる」、「今は赤字でも、今後伸びる可能性がある会社」と判断すれば、審査が通る可能性は高いでしょう。

反対に、事業自体は順調でも、経営者や役員などに無駄な報酬や貸付を行っている場合は、信頼に欠けるとして、審査が通らないケースもあります。

審査で好印象を与えるには、堂々とすることも大切です。どんなに難しい状況でも「多分融資は受けられないだろう」と諦めず、誠実に向き合えば審査を通る可能性はあるはずです。融資担当者も人間なので、経営者の身なり、話し方、態度を見て判断するところもあるからです。

特に第一印象は審査に影響するところも大きいです。ノンバンクの無人契約機でも、カメラを通して人物確認を行っているので注意して臨みましょう。

●税金等の滞納・未払い支払い遅延や税金の滞納の有無

事業用ローンの審査では、これまでの支払い遅延や滞納についても確認されます。例えば税金の滞納や社会保険料の未払い、あるいは過去借入した融資について、借入件数や残高、支払い遅延がなかったかどうかなどです。

税金の滞納等の記録があると、審査では不利になります。まずは未払いをなくすこと、そして普段から滞納をしないことがスムーズな審査通過には必要となるでしょう。

●金融事故歴の有無

事業用ローンでは、信用情報に事故歴がないかどうかもチェックされます。過去金融事故を起こしている場合は、審査が厳しくなるでしょう。

●業歴

事業用ローンでは、事業の業歴もチェックされることが多いです。業歴は「何年経営しているか」という意味で、長ければ長いほど「安定した企業」と判断され、審査が通りやすい傾向にあります。

基準となる年数は借入先によって異なり、1年以上であれば問題ないケースもあれば、2年以上の業歴が求められることもあります。特に公庫や銀行系の事業用ローンでは、最低2年以上もしくは2期分の決算を終えていることを基準とするケースが多いです。基準を満たさないと審査が通らないこともあるようです。

また、ノンバンク系の事業用ローンの中には、決算書をスキャンしてデータ化し、その数値をもとに自動スコアリングシステムで採点し、審査することもあります。その場合、業歴が長いほどスコアリングが高くなり、審査にとっては有利に働くでしょう。