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化石戦争は功績と負債を生む

化石戦争は功績と負債を生む

彼らは、「相手よりも良い功績を上げる」ために、必死に化石発掘と研究に取り組みました。

その結果、彼らは古生物学において大きな功績を残していったのです。

彼らが発表した新種の恐竜は142種類を超えます。現在まで有効なものは32種類に留まりますが、その中には、現代では誰もが見たことのある有名な恐竜が含まれています。

化石戦争の結果、はじめて全身骨格が発見された恐竜化石もあり、一般大衆の恐竜人気向上に貢献しました。

多くの恐竜発掘につながった2人の考古学者の「大喧嘩」とは
(画像=コープの雇った化石ハンターが発見した、ほぼ完全なアロサウルスの全身骨格/Credit:Wikipedia、『ナゾロジー』より 引用)

彼らの戦いの結果がこれだけであれば、誰もが2人を「戦友」として称えたことでしょう。

しかし、彼らの戦いが「戦争」と呼ばれるのは、憎しみのこもった過激な「足の引っ張り合い」が頻繁に行われたからに他なりません。

彼らはお互いに自身の論文内で相手を否定し続けました。

加えて、スパイ、賄賂、投石、ダイナマイトによる発掘妨害が行われました。相手の化石を破壊することさえ行われており、古生物学上の大きな損失を招きました。

化石戦争は、彼らの時代に悪影響を与えただけに留まりませんでした。

彼らは相手を出し抜くために性急に行動しました。その結果、発見した化石を全くでたらめに復元してしまうことも多く、彼らの死後何十年も誤解と混乱を招き続けたのです。

「彼らが協力していれば、もっと大きな成果が得られただろう」と考える人は多いようです。

しかし、実際にあったのは、「戦争」と呼ばれほどの「大喧嘩」であり、彼らの大喧嘩が負債だけでなく、確かな功績を残したのです。

現在の古生物学の土台となっている化石戦争は、学術的にも、教訓的にも広く知られており、学べる部分は多くありそうです。

提供元・ナゾロジー

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