ECからリアル店舗へ規模を拡大

近年、「三坑」カルチャーの影響拡大により、ECのみならず、オフラインの実店舗も増えてきている。中国の商業施設も近年、若者消費者を惹きつけるために、家賃を優遇してまで三坑アパレルやフィギュア関連の店を増やしているようだ。

上海の地下街「迪美购物中心」では、面積が小さい「三坑」店舗が数多く並んでいる。さらに今年11月、上海の中心部にある繁華街に面積1,000平米を超える大型リアル店舗「Poem&Mirror」がオープンし、「三坑」カルチャーをより強く世間に知らしめた。

今回チャイトピはこの大型リアル店舗を取材し、中国「三坑」ビジネスのリアルに密着。

【現地取材】注目の中国「三坑」ビジネス なぜ流行っているのか?
(画像=▲上海の中心部に位置するPoem&Mirror(チャイトピより撮影)、『チャイトピ!』より引用)

「Poem&Mirror(詩与万花境)」は今年4月に創業したばかりだが、シャオミなど有名会社から2回資金調達に成功し、11月に上海中心部で最も地価の高い静安寺の近くにあるショッピングセンターにリアル店舗をオープン。店舗の面積は業界最大である。

【現地取材】注目の中国「三坑」ビジネス なぜ流行っているのか?
(画像=『チャイトピ!』より引用)
【現地取材】注目の中国「三坑」ビジネス なぜ流行っているのか?
(画像=▲海をテーマにした店内デザイン。全体的にお姫様のような雰囲気を放っている
(チャイトピより撮影)、『チャイトピ!』より引用)

取り扱う商品の60%が国産ブランドで、40%は日本ブランド。特にロリータファッションの多くは日本ブランドで、JK制服や靴も一部は日本ブランドとなっている。また、アパレルのほか、アクセサリーや化粧品も販売しているのも特徴の一つである。

【現地取材】注目の中国「三坑」ビジネス なぜ流行っているのか?
(画像= ▲日本ブランドのJKスカートと靴の販売(チャイトピより撮影)、『チャイトピ!』より引用)
【現地取材】注目の中国「三坑」ビジネス なぜ流行っているのか?
(画像=▲螺旋階段の近くに撮影スポットを設置
(チャイトピより撮影)、『チャイトピ!』より引用)

坪効率よりも消費者体験を重視しており、全体のスペース使用率は高くない。店内で少なくとも3つの撮影スポットを設置しており、平日にも関わらず、ロリータドレスを着ている若者女性が来店してすぐ写真を撮り始めていた。

CEOの孙亚銎は、90年代生まれでかなり若い。「三坑」愛好者である友達の影響を受け、日本の二次元愛好者が秋葉原に集まるように、中国の「三坑」愛好者にもこういうランドマークが必要だと思い、大型リアル店舗の創業に至った。

一般的に1995年~2010年生まれの人をZ世代と括る中国の認識と異なり、同社は完全にスマホ時代に育った97年以降に生まれた若者をターゲットにしている。店員もZ世代の若者で「三坑」愛好者が多いようだ。

自社ブランドではなく、こういった「三坑」専門店を創業した理由として、孫氏はブランドの知名度より、商品自体の可愛さ、美しさこそがZ世代が消費に至る決め手であり、ブランドへの忠誠度はさほど重要ではないとしている。

▲CEO孙亚銎氏のインタービュー

以下、CEO孙亚銎氏のインタービュー詳細である:

チャイトピ:創業した経緯はなんでしょうか

孙亚銎:最初のきっかけを言うと、重度の三坑愛好者の友達がいて、その人がなぜそんなに三坑が好きなのか知りたかったからです。元々、私は展示会関連の仕事をしていて、近年アニメの展示会に参加するために夜12時には会場の前に若者が列を作るのをよく目撃していました。展示会業界では珍しい現象であり、大きな興味が湧いたのを覚えています。

チャイトピ:ターゲット層はどんな人ですか

孙亚銎:1997~2010年生まれのZ世代をターゲットにしています。多くの人が95後をZ世代だと理解していますが、95後はPC時代からスマホ時代への転換期に育っており、97後は完全なスマホ時代です。

チャイトピ:コロナがまだ収束していないこの時期に、しかも場所代が高そうな静安寺の近くになぜ実店舗を開店したんですか

孙亚銎:ニッチなカルチャーを大衆に知ってもらうためには、必ずこういう会社が必要だと考えています。三坑愛好者には地下街の一階二階にある家ではなく、立派な「家」が必要なんです。だから上海の中心部でこの店をオープンしました。さらにこのショッピングセンターに場所代を優遇してもらえたんです。

チャイトピ:店のスペース利用率が高くないのはなぜですか

孙亚銎:坪効率(坪あたりの売上高)と消費者体験を両立することは難しいので、私たちは坪効率よりも消費者体験を最優先にしています。

チャイトピ:商品選びや、メーカーとの連携はどうやっていますか

孙亚銎:メーカーさんは弊社での販売によって商品の展示機会を増やしたいと思ってくれているので、メーカーさんと連携すると同時に、弊社も毎日タオバオやREDなどプラットフォーム上の三坑関連データを分析し、店で販売する商品を選出しています。

チャイトピ:販売している商品のうち、国産ブランドの方が多いですか、それとも日本ブランドの方が多いですか

孙亚銎:JKは国産ブランドの方が多いですが、業界で有名な日本ブランド2社とは連携しています。ロリータは日本ブランドと国産ブランドの比率は2:1で、漢服は全部国産ブランドです。

チャイトピ:今後、三坑専門店以外に、自社の三坑ブランドを作る計画はありますか

孙亚銎:今はそういう計画はないです。消費者が注目しているのはスタイリングであり、ブランドではないので、ブランドへの忠誠度は低いと考えています。消費者にとっての「好看(かわいい、美しい)」が第一です。

チャイトピ:中国の三坑アパレル業界はこれからどうなっていくと思いますか?一時的な熱なのか、長期的に伸びていくのか?

孙亚銎:日本の秋葉原にように、中国も将来Z世代が集まるランドマークが出現すると思います。ニッチなジャンルが大衆に受け入れられたら、どんなに時間が経っても、ランドマークは今後も生き続けるんじゃないでしょうか。今やJK制服は専門ブランドだけではなく、一般的なファッションブランドもJK制服のジャンルを打ち出しており、今後は普段着として、このファッションスタイルが定着していく可能性があると考えています。

Z世代消費者リアルな購買行動

「三坑」の消費者は普段どこで服を購入しているのか、関心を抱くところから購入に至るまでの経緯をチャイトピZ世代社員3名にインタービューを行い、カスタマージャーニーのグラフを作成した。

【現地取材】注目の中国「三坑」ビジネス なぜ流行っているのか?
(画像=『チャイトピ!』より引用)

① 蘇さん
性別:女 
年齢:23歳
三坑の好きなジャンル:JK制服、漢服
休日にしていること:韓国バラエティー、アニメ鑑賞、ドラマCDを聴く、アニメイベントに行くこと
よく使うSNS: weibo、twitter

【現地取材】注目の中国「三坑」ビジネス なぜ流行っているのか?
(画像=『チャイトピ!』より引用)

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