2021年はVTuberにとって激動の年になった。まず、7月1日の配信を最後ににじさんじ所属の「鈴原るる」が引退し、同日にはホロライブ所属の「桐生ココ」が引退するなど、大人気VTuberの活動休止や引退が相次いだ。さらに、12月4日には、VTuberの始祖ともいえる「キズナアイ」が、2022年2月26日のライブ以降、無期限活動休止を宣言したのである。人気絶頂のVTuberが、どうして次々と活動休止や引退を決意したのか? 今回はその意外な理由を探ってみたいと思う。
12月4日、元祖VTuber「キズナアイ」が活動休止を発表!
2016年にデビューし「VTuber」の基礎を作ったといっても過言ではない「キズナアイ」。「Virtual YouTuber(バーチャル・ユーチューバー)」という、今では耳慣れた言葉の発信は彼女からだった。
そんな元祖VTuberのキズナアイが、2021年12月4日に5周年記念配信を行った。その配信では過去4年間を振り返ることで、VTuberがネットを中心に認知されていき、ついには現実世界でのコンサートやTV出演などが実現していったことなどを振り返った。そして、キズナアイの口から「重大発表がある」ことが告げられる。
まず、2022年2月26日にコンサートライブ「hello world 2022」が発表された。こちらはオンラインライブとなり、無料視聴が可能とのこと。そしてもうひとつの重大発表を前に、キズナアイは緊張した面持ちで「みんなに伝えたいことがあります。ちゃんと聞いてね!」と語り始める。
「私、キズナアイは2022年2月26日に開催される「hello world 2022」をもって、無期限スリープします。……どういうテンションで言えばいいの!?」
突然の発言に困惑するコメント欄。「ええええええっっ」「なんで!?」「ドッキリ!? ドッキリか!?!?」など、狼狽したコメントが相次ぐ。驚愕する視聴者を落ち着けるように理由を語り始めるキズナアイ。
「私はみんなことが大好きなので、もっともっと世界中の人たちと繋がれるようになるために、私のアップデートをすることを決意しました。そのためにスリープ……活動休止します! すっごく寂しいけど、次の一歩のために、もっともっとインテリジェンスなスーパーAIになるために!」
その発言にコメント欄は「がんばれ!」や「待ってるよ」と応援の言葉で溢れていた。また、キズナアイの口から「スリープ中もなんらかの活動がある」ことが告げられ、視聴者からは「楽しみにしてる!」との反応に少し涙ぐみながら「嬉しい」と返すキズナアイ。
だが、筆者はキズナアイが活動を休止する本当の理由がほかにもあるのではないかと考えている。それは……。
キズナアイの引退にはあの「分裂騒動」が影響している?!
VTuberの先駆者として目覚ましい活躍を続けていたキズナアイだが、実は2019年5月〜2020年5月までの間に、物議を醸しだした「分裂騒動」があったことはご存じだろうか?
この分裂騒動は、キズナアイが4人に分裂し、それぞれが別個性を得て活動していくというもの。これに不信感を持ったファンが、キズナアイから一気に離れていってしまう事態に陥ってしまったのだ。
そこで、当時キズナアイを運営していた「Active8」は、2020年4月24日に「Kizuna AI株式会社」の設立を発表。キズナアイプロジェクトをActive8から分社化し、今までのキズナアイとしての活動を継続することで事態の収拾を図る。
結局、分裂した個々のキズナアイは別のキャラクターとして活動していくことになり、やがてこの分裂騒動も収束していくことになった。
これは、あくまでも筆者の推測となるが、今回のキズナアイの活動休止には少なからず、この分裂騒動が精神的に影響を与えていたと考えている。なんとか、一旦リセットしたキズナアイが再び還ってくることを願いたい。
一方、2021年7月に活動休止した「ホロライブ」の桐生ココは、生涯獲得スパチャ(投げ銭)額が3億円を超える当時世界No,1のVTuberであった。
にもかかわらず、引退を余儀なくされたのは、中国のファンからの執拗な妨害行為や配信中のアラシ行為がきっかけとなり、ホロライブからの卒業という形で引退に追い込まれたと言われている。
ちなみに、桐生ココは引退後に「kson(ケイソン)」として再びVTuber活動に復帰したと噂されているが、事実関係は確認されていない。