子供時代のゲームプレイの有無が長期間認知能力に影響する

実験の結果、トレーニング前には人によってワーキングメモリの能力には大きな差が認められましたが、トレーニング後はその差が均一化されました。

TMSの効果については、期待したような結果は示されませんでした。これはTMSが脳の障害に対して治療効果があるものの、健康な人の能力を強化する力はない可能性を示しています。

この研究の中では、普段ゲームをするかどうかという条件に関係なく良いスコアを出した被験者たちがいました。

そこで、被験者の条件の違いについて確認したところ、この差は子供の頃にゲームをしていたかという条件が関係していることがわかったのです。

それは子供の頃熱心なゲーマーだったけれど、現在はゲームしていないと回答した人も含まれていました。

これは子供時代のゲーム経験が、プレイをやめた何年も後にまで認知課題解決に対して有益な効果を残している可能性を示唆するものです。

子供時代にゲームをプレイすると認知能力が向上し、数年後でも効果が持続すると判明!
(画像=ゲーマー。 / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

これは調査件数がそれほど多くはないため、探索的なものに過ぎませんが、同様の研究の今後の方針に対して興味深い結果を示しています。

研究にマリオ64を使っていることから、ゲーム経験がある人はゲームがうまいと言ってるだけにも聞こえますが、認知トレーニングは類似した課題に対するパフォーマンスを向上させますが、関係ない活動には限定的な影響しか及ぼしません。

これは研究者も強調して述べているものです。こうしたことはスポーツのトレーニングでも同様かもしれません。

最後に研究者は認知トレーニングに有用なゲームの条件についても触れています。

「共通するのは、人々が遊び続けたいと思う要素が含まれていることで、それが徐々に難しくなり、最終的には絶え間ない挑戦を提示していることです。それは魅力的でやる気を起こさせるために十分なもので、脳の資源の絶え間ない激しい使用を必要とします。ビデオゲームはほとんど気づかないうちに認知能力を強化する完璧なレシピです」

魅力的なゲームは脳を鍛える最善の方法であり、子供時代に夢中になったゲーム体験は大人になってからも大切な資産になるものなのです。


参考文献

iflscience

Oberta de Catalunya (UOC)


提供元・ナゾロジー

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