アニメは子供から大人まで楽しめますが、現実とは区別しなければいけません。
ほとんどの人は、アニメの主人公や出来事は「画面の中だけのもの」だと知っています。
では私たちは、いつからアニメと現実を区別できていたのでしょうか?
ハンガリー・中央ヨーロッパ大学(CEU)認知科学部に所属するバルブ・レーベンク氏ら研究チームは、生後19カ月の幼児が画面に映されたアニメーションと現実の違いを区別できると発表しました。
研究の詳細は、9月10日付の科学誌『Open Mind』に掲載されています。
目次
幼児はアニメと現実を区別できるの?
幼児は「アニメの出来事と現実の出来事は別物」だと知っている
乳児は「アニメが現実世界の干渉を受けない」と理解している
幼児はアニメと現実を区別できるの?
心の成長過程を研究する発達心理学では、実験の中で幼児に簡単なアニメーションを見せることがよくあります。
幼児たちはアニメーションに対してしっかりと反応するので、内容を理解できていると言えます。
しかし、ここで1つの疑問が生じます。
それは、「幼児はアニメの出来事を現実と区別できているのか?」というものです。
この点を調査するため、研究チームは、生後19カ月の幼児に対して複数の実験を行いました。
1番目の実験では、現実世界で木製のシーソーからボールが2つの箱のうち片方に落ちる様子を見せました。
この時幼児は、ボールの軌道を正確に追えていました。
つまり実験に参加した幼児には、ボールがどこに落ちたか判断する能力がある、と言えます。
そしてチームは続く実験によって、幼児の「区別する力」を見極めようとしました。
幼児は「アニメの出来事と現実の出来事は別物」だと知っている
2番目の実験では、ディスプレイに映し出されたアニメのシーソーからボールが転がっていく様子を見せました。
そしてアニメのボールは画面端まで移動して消え、まるで現実世界の箱の中に落ちたかのように見せたのです。
ここでチームは幼児に、「ボールはどこにある?」と尋ねました。
その結果、幼児は現実の箱ではなく、画面の中を指差したのです。
つまり幼児は、「アニメのボールが現実世界の箱に入るとは考えなかった」のです。
この結論を補強するために、3番目の実験が行われました。
今度は画面の中にアニメの箱を登場させ、その中にボールが落ちるようにしたのです。
すると幼児は、ボールが落ちた方のアニメの箱を正しく指すことができました。
つまり幼児たちは画面内のボールが「アニメの中だけの存在」だと正しく理解しており、現実世界のボールとは区別して考えられていたのです。
さて最後の実験では、ディスプレイの物理的な移動がアニメに対する認識にどう影響するのか調査されました。