「現代っ子」を過小評価する大人たち
確かにテクノロジーの発達により、昔と比べて我慢しなければいけないシチュエーションは減っているように感じます。大人たちが「現代っ子」を「我慢ができない」と評価することにはそういった背景があるのかもしれません。
カールソン博士も実際にオンラインでアンケート調査を実施しており、そこでは358人の成人アメリカ人に対して「1960年代の子どもと現代の子どもはどちらが我慢強いと思うか?」といった質問が投げられました。その結果、およそ75%もの人が1960年代の子どもの方が忍耐力があると思っていることが分かったのです。
研究チームの一員であるワシントン大学の正田佑一教授は、「この発見は、私たちの『直感』がいかに頼りないものであるのかを示しており、逆に『研究』の重要性を認識させるものです。もしこの研究がなければ、その間違った認識が変わることがなかったかもしれません」と語っています。
現代っ子はなぜ「待てる」のか?
実際に昔よりも「現代っ子」が我慢強いことはマシュマロ・テストで明らかになりましたが、その要因はなんなのでしょうか?研究者たちはいくつかの仮説を唱えます。
まず考えられるのが「IQの上昇」です。テクノロジーやグローバリゼーションの発展によって、子どもたちは昔よりも「賢く」なっており、「IQスコア」の数値を伸ばしています。心理学的には、抽象的な思考を発達させれば、喜びを先延ばしにさせられるような「我慢強さ」が得られるとされており、これがデジタル機器に幼い頃から触れ抽象的思考を養ってきた子どもたちが、いい結果を残した要因であると考えられます。
また、「早期教育の充実」も一つの要因として考えられます。1968年のアメリカにおいて、就学前に教育を受けることができた3-4歳の子どもは、全体のうちたったの15.7%です。その数字は、2000年になるまでには50%まで上昇。そして早期教育は「自制心」を養うことを重視しているため、そういった教育の充実が子どもの「我慢強さ」に影響していると考えられます。
過去のマシュマロ・テストにおいては「我慢強い」子どもほど、将来的に成功しやすいことも分かっています。もしかしたら現代の子どもたちは、大人たちが想像もできないほど素晴らしい未来を創っていくのかもしれません。
via: apa
提供元・ナゾロジー
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