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テンセント
アリババ

チャイトピでは、IT企業を中心に注目されている中国企業の業績を定期的に分析している。
今回は、アリババやテンセントといった有名IT企業と、MINISOやYatsen(コスメ)など、日本のビジネスマンの間で知名度が上昇している中国企業16社の7~9月における決算をまとめた。

2021年は、中国のIT企業にとって厳しい1年で、中国政府が行った一連の規制強化の影響がIT企業の第三四半期決算に反映されている。独禁法違反による罰金の支払いにより巨額の赤字を出したり、関連業界への規制強化により広告収入が急減したりと、打撃を受けた企業がほとんどである。
その一方で、この厳しい状況下において、市場予想を上回る良い決算を出した企業も存在した。

注目の中国企業16社 最新決算分析(2021年7~9月)
(画像=『チャイトピ!』より 引用)

テンセント

・売上高:1,424億元(約2兆5,460億円)、前年比13%増。市場予想を下回った
・純利益:395億元(約7,060億円)、前年比3%増。Non-GAAPベースの純利益は318億元(約5,680億円)で前年比2%減
・wechatのMAU: 12.6億人で前年比4%増

注目の中国企業16社 最新決算分析(2021年7~9月)
(画像=『チャイトピ!』より 引用)

第三四半期では、売上は市場予想に届かず、Non-GAAPベース純利益の前年比伸び率も過去10年間で初めてのマイナス成長となった。中国政府によるIT業界への規制強化がテンセントのゲーム・広告事業に大きな影響を与えたようだ。

事業別の売上を見てみると、国内ゲーム事業の売上は336億元(約6,008億円)で前年比5%微増。海外ゲーム事業の売上は113億元(約2,020億円)で前年比20%増加した。

テンセントビデオや、音楽ストリーミングサービスによるコンテンツ課金の収入も前年比7%増加の303億元(約5,420億円)。フィンテック/ toB事業の売上に関しても前年比30%増の433億元(約7,740億円)で増収している。

広告事業収入は、前年比5%増の225億元(約4,023億円)と、ゲーム事業と同様に微増で、中国広告市場の景気悪化、政府の規制強化による関連業界の広告ニーズの減少が伸び率鈍化の原因となった。

テンセントは中国政府の規制強化を受け、未成年のゲーム中毒防止策を強化すると発表しており、今後は事業の重点を海外のゲーム市場に置く可能性も考えられる。

アリババ

・売上高:2,007億元(約3.6兆円)、前年比29%増。市場予想を下回った
・調整後純利益:285億元(約5,100億円)、前年比39%減

注目の中国企業16社 最新決算分析(2021年7~9月)
(画像=『チャイトピ!』より 引用)

アリババも第三四半期は厳しい決算となった。売上は市場予想に届かず、調整後純利益も前年より39%減少している。さらにスーパー大手「サン・アート(高鑫零售)」の売上を除くと、アリババの今期売上の前年比伸び率は16%で上場以来、最低となる。これと同時にアリババの株価も急激に下落し、11月26日の株価は上場以来、最低を記録する結果となった。

アリババは減益の理由として、投資先会社の株価下落による損失と、EC出店者への支援策を挙げている。

事業別の売上を見てみると、コア事業であるEC(B2C)の収入は前年比3%微増し、第二四半期よりも14%減少。Tmallにおける実物商品の流通額(GMV)は、伸び率が前年と比べ1桁まで減少した。中国EC市場の成長鈍化とライバル企業の増加が減少の原因となっているようだ。

ただ、ECサイトのユーザー数の統計方法が変更され、フーマーやコミュニティ共同購入事業などのユーザーも含むようになったため、ECだけのユーザー数成長は不明である。

また、クラウド事業収入では前年比33%増加したが、メディアおよびエンタメ事業収入は、前年同期とほぼ同じで、成長が止まっている状態である。

この結果を受け、従来のアナリスト予想では9,300億人民元(前年比30%増)であったが、アリババは下方修正を行い、決算発表後に2022年会計年度の売上高は前年比20〜23%増となる見通しを発表。今後は成長スピードより、社会的責任を果たすことに注力するとしている。