迫力と美しさにあふれたカラフトマスの姿に感動!
では、どんな世界が見られるのか、ワクワクする気持ちを抑えきれず、そっと水の中を覗いてみました。

少し紅葉の始まった森の木の下で、お目当てのカラフトマスが泳いでいました。
想像以上に簡単に出会えてちょっとびっくり。そして僕らのことなど気にせず、目の前を悠々と泳ぐ姿が美しすぎました!

そうそうそう! この迫力あるオスの姿が見たかったのです!
カラフトマスは、繁殖期になるとオスの背中がこのように出っ張り、独特の姿を見せてくれます。「背中が張る」という意味で、「セッパリマス」とも呼ばれます。
では、サケとマスの違いって何?と思ったのですが、調べて見ると学術的にはサケもマスも一緒のようです。
では、カラフトマスの様子をゆっくりご覧ください。


水深が浅いので自然光が入り、その体色の美しさに見とれてしまいます。海からこの地点までが近いので、傷ついた子が少ないのも知床ならではでしょう。そして、体長は50㎝ほどあるので迫力満点! 何時間見ていても飽きません(実際数時間、僕は楽しくて顔を付けっぱなしでした)。



僕もこのようなスタイルで撮影させていただきました。じっとしていると向こうから近くに寄ってきてくれます。最初は圧倒されていましたが、見ているとちょっとずつ愛が芽生えてきます💛
また、浅い穏やかな場所では、産卵活動も行われていました。

手前にいる2匹はメスで、産卵場所の取り合いで戦っていました。そして奥でそれを見守るオス。この写真、よく見ると手前にもう一匹小さいお魚が……。この子はオショロコマという魚で、日本では北海道にしか生息していない珍しい魚なのです。
普段彼らはこの川でのんびり生活しているのですが、この時期だけはマスの大群に追われておろおろしていました(笑)。

そして、うまくペアリングできると、このように産卵行動に入ります。残念ながら産卵シーンには出会えませんでしたが、生まれてから降海して2年後にまたこの川に戻って来て、産卵後彼らの生涯は幕を閉じます。その一瞬の命のきらめきはとても美しく、いつまででも見ていたくなります。

産まれたばかりのカラフトマスの卵です。
初めてのカラフトマスの遡上シーンは、迫力と、美しさと、感動にあふれていました。
こんな機会を与えてくれた西村さんに感謝しかありません。何年も流氷ダイビングをこの地で続けてきたからこそ、地元の方々の信頼と協力を得ることができて、カラフトマスの観察も実施できています。そんな感謝の気持ちも忘れずに、謙虚にカラフトマスと向き合いたいですね。
知床の海は、一面にアマモが広がる生物の宝庫だった
さて、知床まで来て川だけではもったいないですよね。なんと今回海にも潜ることができました!
天候の関係で1ダイブだけでしたが、軽く海の中も紹介したいと思います。
流氷の時期には潜ったことがあるのですが、この時期に潜るのは初めて、どんな世界が広がっているのか興味津々、海でのダイビングも今回の旅の楽しみの一つでした。

この日はあいにく雨模様。冬は真っ白だったこの場所も夏に来ると雰囲気が違い、その違いもまた楽しいものです。タンクを担いでここからビーチエントリーです。

エントリーをすると浅い場所はアマモがぎっしり生えています。
そのアマモでさっそく生物を発見!

その名も「ホッカイエビ」、名前の通り北の海にすむエビ。いきなり見たことのない生物に出会いテンションも上がります。北の海でしか見られない生物に会えるのも、このダイビングの楽しみであります。

こんな感じで岩場には貝やウニがぎっしり! 命の濃さを物語っていますよね。
こんな岩場やダイナミックな地形の間を、生物を探しながら潜っていきます。
西村さんたちもまだあまり潜ってないそうで、まさに未知の海。良い響きです。
どんな生物に出会えるのかワクワクしますよね。今回は、水温20度、透明度10m、最大水深10mほどで流れもなく、のんびりと潜れました。
それでは、この時に出会った生物たちの写真をご覧ください。

これもアマモに隠れていた、とても小さなヒメイカちゃん。

こんなお花のような生物も壁にたくさんいて、思った以上に海の中はカラフルでした。

印象的だったのが、ヤドカリの数がすごかったこと。ほんとにどこにでもいるんです、こんなに見たことありません! この子はオホーツクホンヤドカリ君。ウニの殻に登っていました。

この子もちょくちょくお目にかかった、イトヒキカジカ君。
背景のエメラルドグリーンの海、知床の海の命の濃さを感じる色です。
普段は流氷の時期にしか潜れないこの場所を潜れるというのは、なんとも特別感を味わえます。また北の海のかわいい生物たちに会えるのも魅力ですね。
来年はじっくり海も潜ってみたいです! いやー海も川も楽しいですね!