ビジネスは「どうしたら隣の人を幸せにできるか」で考える

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

ゆぴ:
KENTくんが作るプロダクトはユニークなものが多いですよね。具体的な企画の考え方が知りたいです。

KENT:
アイデアというのは頑張って出そうとしても出てこないものなので、いかに日常生活で「アイデアが降ってくる状態」を作れるかだと思います。

僕の場合は、「どう改善したら良くなるのか」をずっと考えて生きていますね。たとえばカフェに入ったときも、看板やメニューの色味やフォント、スタッフのオペレーションなども全部「こうしたほうがいい」を考えながら見てます。

僕はずっと無意識でやっていたんですけど、意識的にやってみるとめちゃくちゃ勉強になりますよ。

ゆぴ:
なるほど。アイデアが思いついてからは、どう実行していくんですか?

KENT:
まずは友だちに言って、フィードバックをもらいます。

何人かに当ててみると、「そのアイデアを知ることで一番幸せになる人」が見えてくるので、その人に話す。そうするとターゲットがその人になるから、さらに具体的なアイデアが生まれてブラッシュアップされていくんですよね。

あとは、ある程度仮説が組めたらすぐに行動してPDCAを回します。僕は「明日やろう」は一生やらないと思っているので、すぐに始めるタイプです。

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=▲出典:HANARIDA、『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENT:
たとえば、シーシャ『花煙(はなけむり)』はノンニコチン・ノンタールなので全年齢に出したいと思って作りました。

しかし実際にやってみたら、「ノンアルコールドリンクを未成年に勧めているようなもの」に感じたので、HANARIDA自体を20歳以上限定にして「大人の秘密基地」として打ち出すことにしたんです。

修正をしたことでプロダクトの形は変わってるかもしれないけど、「誰をどう幸せにしたいのか」の軸は大切にしています。

ゆぴ:
企画の立てかたもベースは「友だち」なんですね。ちなみにお酒を駒にして、ガンガン飲みながら遊ぶすごろく『ウェイウェイらんど!』はどのように生まれたんですか?

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=▲出典:PR TIMES、『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENT:
『ウェイウェイらんど!』は、コロナ前にクラブでよく飲まれていた「クライナー」というお酒を宅飲み向けに企画するところから始まりました。

表向きのKPIは「クライナーを◯個売る」というものですが、僕が決めていた裏のKPIは「カップルが何組生まれるか」だったんです。

基本的にビジネスは「どうしたら隣の人を幸せにできるか」で考えています。

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENT:
そもそもの大前提として、サービスや商品は作り手が気に入っていないと売れないんですよ。「自社商品なんて買いたくない」と思っている会社からモノを買ってくれる人はいないですよね。

このHANARIDAカフェの一番のファンは僕で、その次は社員なんです。

だからサービスや商品を設計するときは、自分や家族、関わってる人たちが幸せになれるようなものを考えるのが一番だと思います。

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENT:
その観点でいくと、「カップルが生まれる空間って幸せだよなぁ」と思ったので、じゃあ何をしたらカップルが生まれるのかを緻密に計算して辿り着いたのが『ウェイウェイらんど!』でした。

仕掛けはもちろん、すごろく自体が面白くならなきゃいけないから、ゲームバランスの設計は大変でしたね。

どのマスに止まって何が起きたら楽しいのか、隣の人はどういう反応をするのか、4人でやったときや6人でやったときにどういう世界が生まれるのか……。1から6しか出ない数値の世界で、緻密に計算をしながら設計しました。

ゆぴ:
そんな細かいところまで……!

KENT:
幸い売れているボードゲームは世の中にたくさんあったので、売れている理由を分析するのには困りませんでした。

「ボードゲームはなんで楽しいのか?」を言語化して、自分の商品に落とし込んでいく。細かい仕掛けはすでに売れているものから見えるので、やっぱり観察はすごく大切ですね。

Z世代マーケ成功の秘訣は、Z世代の意見を聞くこと

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

ゆぴ:
いま、いろんな大人たちがZ世代の心をつかむためにあれこれ試行錯誤していますが、「こんなZ世代マーケは失敗する」というのはありますか?

KENT:
Z世代の意見を聞かないと失敗すると思います。

たとえばデータだけを見て、「Z世代にはインフルエンサーが刺さるから使おう」と判断する企業が多いと思うんですよ。でも、インフルエンサーの影響指数は測れるものではない。「Z世代はこうだ!」と勝手な決めつけをするとZ世代には刺さりません。

ゆぴ:
たしかに、フォロワー数でインフルエンサーを選んでいる企業は多いですよね。

KENT:
論外ですね(笑)。

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=▲論外!、『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENT:
フォロワー数はあくまでリーチ数。インフルエンサーというのはひとりの人間なので、本来はその人が大切にしていることや趣味嗜好を理解したうえで、「その人が伝えることで、何がどうなるのか?」を考えたほうがいいんです。

多くの人にリーチしたいなら、テレビのほうが効果があると思いますよ。でも、そうでないならフォロワー数は度外視して考えたほうがいい。

これからは企業がインフルエンサーにPRをお願いするのではなく、インフルエンサーが「これをPRしたい」と言う「逆PR」が主流になってくると思います。

欲しいと思えないものをお金をもらってPRするよりは、普段から愛用しているものをPRするほうが熱量やシナジーが圧倒的にありますよ。

いまはSNSを通じて人柄が見える時代になったので、そうやってお互いが幸せになれる形で商品を広めていくのがいいと思います。

ゆぴ:
たしかに、それはそうだ……。

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENT:
インフルエンサーに限らず、広告の在り方は変わってくると思います。商品訴求よりは、世界観やブランディングを推すものに変わってくるケースが多いのかな。たとえば、YouTubeに「スキップされるような広告」を流すのって、バッドブランディングだと思うんですよね。

同じように、従来の美容院ではDMをポスティングして存在を周知するのが当たり前だったけど、いまはいらない紙をポストに入れてもバッドブランディングになってしまうじゃないですか。逆にその美容院に行かなくなりますよね。

直接届けたい人に届けられるいまの時代では、「数打ちゃ当たる方式」が通用しない。誰もがクリエイターになれて、誰もが広告を作れるからこそ、リーチ数よりも中身を重視すべきだと思います。

とくにTwitterのようなSNSは財産ですね。信用経済だからこそ、フォロワーを幸せにできるような発信をしたり、コミュニケーションを取ったりして、信頼を蓄積していく。それがそのまま広告になります。

ゆぴ:
ヘタに広告を打つよりも、届けたい相手に寄り添いながらアカウントを磨くほうが効果的だと。ちなみにSNSにもさまざまな見せ方がありますが、Z世代にウケるアカウントの特徴はありますか?

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENT:
飾らない、見栄を張らないことですね。「うちの商品、めっちゃいいですよ!」とキラキラ加工されているものよりも、自然に使われているもののほうがいいです。

最低限パッケージが見えて、シンプルで分かりやすければ大丈夫。いかに情報過多になりすぎず、削ぎ落とすことができるかがポイントだと思います。

あくまで対象は生身の人間で、電子媒体を通して伝えているだけ。SNSに投稿する前に「これを直接人に言っても伝わるのか?」を考えてみるといいです。たとえば商品を友だちに説明するときに、「この商品はどこが強みで、成分は……」のような説明はしませんよね。

写真も、いまは誰でもiPhoneで綺麗に撮れるんだから、無理に高い機材を使ったり、加工をしたりしなくてもいい。「友だち目線」のほうが馴染みがあって、Z世代には向いていると思います。

ゆぴ:
頑張りすぎない、等身大の発信だからこそ心に届くんですね。本日はありがとうございました!

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

KENTくんの話を聞きながら、「つまり、Z世代マーケティングを成功させるには、友だちの多いリア充になれってこと……?」とも思いましたが、大切なのは分母ではなく、いかに厚い信頼関係をオンライン・オフラインともに作れるかどうか。

そして、そのために必要なのは「人を幸せにしようとする気持ち」。

それは、いいところばかりを切り取った誇大広告や、著名人を起用した形だけのプロモーションよりも、よっぽど本質的な商品の届けかただと感じました。

ちなみにKENTくんいわく、「Z世代に向けて届けても、そこから広がって結局いろんな世代に届く」とのこと。商品やサービスを届けたい方は、まずは自社商品が「隣の人を幸せにできているか」を改めて考えなおすところから始めてみてください。

誰かを幸せにするものは、誰もが欲しいもののはずだから。

デジタルデトックスカフェ『HANARIDA』が原宿にオープン!

23歳で7社の役員。ヒットを飛ばすZ世代の企画屋が唱える「友だちマーケティング」の本質
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

スマホやPCを当たり前に使いこなすZ世代。生活は確かに便利になったし、友だちともすぐに繋がれるのに、それと同時に虚しさを感じるのはなぜなのか?

KENTくんが手掛ける「デジタルネイティブの聖地・原宿で、デジタルから解放されたひとときを」をコンセプトにしたデジタルデトックスカフェ『HANARIDA』が原宿にオープン。

ドライフルーツ入りのハーブティーや、お花と茶葉で作られたドライフルーツシーシャなどとともに、都会の喧騒から離れた非日常が楽しめます。

毎週日曜日はデジタルデトックスデー。スマホ・PCをロッカーに預ける代わりに、ドリンクが一杯無料になる仕掛けも。

たまにはスマホを置いて、目の前の人や自分と向き合うひとときを!

(執筆&撮影:ゆぴ 編集:北村有)

提供元・Workship MAGAZINE

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