新型コロナウイルスの感染拡大は、大丸松坂屋百貨店を運営するJ.フロントリテイリングの業績にも深刻なダメージを与えている。同社は3月中旬、2020年2月期の売上予想を114億円も下方修正した。2020年2月期は、「暖冬」と「消費増税」も同社を苦しめた。

売上収益を114億円も下方修正――原因はコロナ・暖冬・消費増税

大丸や松坂屋を展開するJ.フロントリテイリングは3月16日、2020年2月期通期(2019年3月1日~2020年2月29日)の業績予想の修正を発表し、売上収益と事業収益、営業利益、純利益の予想が軒並み下方修正された。

詳細は、以下のとおりだ。

  • 売上収益:4,920億円→4,806億円(114億円減少)
  • 事業利益:495億円→452億円(43億円減少)
  • 営業利益:470億円→403億円(67億円減少)
  • 純利益:258億円→210億円(48億円減少)

    売上は、実に100億円以上も減少している。同社が今回の下方修正の主な要因として挙げているのが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響、消費増税後の消費低迷、暖冬による衣料品等の苦戦、の3点だ。昨年10月以降消費増税と暖冬の影響を受け、年度の終盤になって新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた格好だ。

    訪日外国人数が激減、免税売上は97%減に

    世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、訪日外国人数が激減。観光庁が毎月発表している訪日外国人数の統計によると、今年2月の訪日外国人は推計値ベースで前年同月比58.3%減となった。今年1月は同1.1%減に留まっていたが、2月になって一気に減少したのだ。

    3月のデータは記事執筆時点(4月5日時点)ではまだ発表されていないが、さらに厳しい数字になるはずだ。感染は中国を含む東アジアだけではなく、アメリカやヨーロッパにも広がっており、航空路線の便数も激減している。「前年比9割減」というのも、あり得ない話ではないだろう。

    訪日外国人客の減少は、百貨店の売上高にも大きな影響を与えていることは言うまでもない。2020年3月度の売上速報では、大丸松坂屋百貨店の免税売上は97%減となっている。

    大丸心斎橋店では前年比63.1%減

    インバウンドだけではなく、日本人客数の減少による影響も深刻だ。

    大丸では「心斎橋店」が前年比63.1%減と最も下落幅が大きく、「梅田店」が51.8%減、「東京店」が49.9%減、「札幌店」が47.7%減と続く。松坂屋では、展開する5店舗がいずれも30%台の売上減となっている。J.フロントリテイリングは来店客と従業員の安全を配慮し、4日間の休業日(大丸下関店は3日間)を設け、それも売上減少に拍車をかけている。

    4月に入っても、休業の動きは止まらない。大丸東京店と松坂屋上野店は4月4日と5日の2日間を臨時休業とし、各店の営業時間短縮も発表している。休業や営業時間短縮による売上のさらなる減少は避けたかったはずだが、感染拡大防止のためにはやむない決断だったのだろう。

    百貨店のシビアな状況は続く

    新型コロナウイルス終息後、消費はある程度戻ることが予想されるが、緊急事態宣言の発表によって、今はそれがいつになるのかは見通せない。J.フロントリテイリングのみならず、百貨店業界は過去最大とも言える試練に直面している。

    文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
     

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