顧客満足度No.1の銀行は？メガバンクはランキング圏外に……

銀行業界はネット銀行の台頭によって、顧客獲得競争がさらに激しさを増している。このような状況の中で、顧客満足度が最も高いのはどの銀行だろうか。今回は、2021年8月に発表されたJCSI（日本版顧客満足度指数）調査における銀行ランキングを紹介する。

サービス産業生産性協議会作成したランキング

公益財団法人「日本生産性本部」のサービス産業生産性協議会は、毎年さまざまな業種を対象に企業ごとの顧客満足度指数を算出し、ランキングを作成・発表している。

2021年8月に発表された2021年度の第1回調査では、「銀行」や「証券」など7部門のランキングが発表された。

銀行部門は14行を対象に調査が行われ、上位7行が公表されている。結果は以下のとおりだ。メガバンクはランクインしておらず、上位7行は新生銀行を除いてネット銀行が占めている。

＜銀行部門のランキング＞

1位：ソニー銀行

1位は、2020年度調査では2位だったソニー銀行。ソニー銀行は「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「推奨意向」で最も高い評価を受けており、「ロイヤルティ」のみ2位の住信SBIネット銀行の同程度の評価となっている。

2位：住信SBIネット銀行

2位は、前回調査で1位だった「住信SBIネット銀行」。「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「推奨意向」において、ソニー銀行よりも評価がやや低かった。

3位：新生銀行

新生銀行は、前回調査の6位から3つ順位を上げて3位となった。「知覚品質」「知覚価値」の評価がやや高かった。

上位5行の口座数や事業戦略は？

ネット銀行がランキングの上位をほぼ独占する結果となったが、各ネット銀行の口座数はどのくらいで、現在はどのような戦略を描いているのだろうか。

ソニー銀行の口座数が年々増加、今後は住宅ローンなどに注力

ソニー銀行の口座数は年々右肩上がりで増えており、2016年度末に124万口座だった口座数は、2020年度末には158万口座まで増えている。今後は住宅ローンや外貨ビジネスの拡充に注力するとしており、損保事業との連携なども強化する考えのようだ。

住信SBIネット銀行、ネット銀行初のIPOが実現するか注目

住信SBIネット銀行の口座数は、2016年末は274万口座だったが、2020年末には432万口座まで増えている。4年間で約1.6倍と、ソニー銀行よりも増加スピードがずっと速い。現在住信SBIネット銀行はIPO（新規株式公開）を検討しているとされ、実現すればネット銀行初の上場となる。

新生銀行、中期経営計画で小口ファイナンスへの注力などを掲げる

新生銀行は2004年に個人口座数が100万口座を突破し、2016年には300万口座に到達したことが発表された。2021年度までの中期経営戦略では、小口ファイナンスや機関投資家（大口投資家）向けビジネス、生産性改革に力を入れることを明らかにしている。

楽天銀行、2021年1月に1,000万口座を突破

楽天銀行の口座数は2021年1月に1,000万口座を突破し、2021年7月末現在は1,111万口座まで増えている。上位5行の中で圧倒的な口座数を誇り、最近は株式投資を始めるために楽天銀行と楽天証券の両方で口座を開く人も増えているようだ。

auじぶん銀行、auユーザー4,000万人にリーチ

auじぶん銀行は、KDDIと三菱東京UFJ銀行（現三菱UFJ銀行）の共同出資によって設立された。公式サイトによると、2020年6月に保有口座数が400万口座を突破。KDDIが参画していることで、auが有する4,000万人のユーザーにリーチできることが強みであり、口座数はさらに増えそうだ。

メガバンクは顧客満足度ではネット銀行に歯が立たない

顧客満足度では、メガバンクはネット銀行にまったく歯が立たないことがわかった。しかし、店舗を持つメガバンクにはネット銀行にはない強みがある。大切なのは、自分が求めるサービスを提供している銀行で口座を開くことだ。

ネット銀行の中でも、預金金利やアプリの使いやすさ、独自ポイントの付与などによるライバルとの差別化に余念がない。今回のランキングで1位になったソニー銀行でも、安心してはいられない状況だ。2022年のランキング結果にも注目したい。

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