デザインや性能面では評価が高いマツダだが、直近の決算では営業利益が43%減となった。なぜ、マツダは大幅な減益となってしまったのだろうか。決算資料を読み解きながら、その理由を探っていく。
営業利益は43.3%減の323億4,500万円
マツダが2月に発表した2020年3月期第3四半期決算では、2019年4~12月の
- 売上高は前年同期比2.5%減の2兆5,562億8,000万円
- 営業利益は同43.3%減の323億4,500万円
- 経常利益は同39.6%減の500億5,400万円
純利益は同8.4%減の323億7,500万円
だった。
マツダの過去5年の業績推移を見てみると、営業利益は減少傾向にある。2015年3月期の2,029億円から2016年3月期は2,268億円と増えたものの、その後は1,257億円、1,464億円、823億円と振るわない。
2020年3月期の通期の連結業績予測では、営業利益は前期比27.1%減の600億円に留まるという消極的な見通しを立てており、V字回復とはいかない模様だ。
営業利益のプラス要因とマイナス要因は?
マツダの不調の原因は何だろうか。前期は第3四半期までの営業利益が571億円だったが、今期は323億円に留まっている。その要因を決算資料から探っていこう。
大きなプラス要因は販売費用の抑制
主なプラス要因は販売費用の抑制と単価改善で、350億円ほどの営業利益を押し上げた。特に前者は約150億円の改善があったことに注目したい。
マイナス要因は為替変動
主なマイナス要因は為替変動だ。特にユーロや豪ドルなどの為替変動が響き、結果的に営業利益を約550億円圧迫した。アメリカで新工場の関連費用として資金を投じたことも、営業利益の減少につながっている。
マツダ車の販売台数は各国市場で不振
「たられば」を言っても仕方がないが、為替変動によってはマツダの直近の決算の数字は大きく変わっただろう。為替変動は不可抗力であり、経営基盤を強固なものにするためには売上高、つまり自動車メーカーとしては販売台数を伸ばすことが何より大切だ。
今期の第3四半期までの累計販売台数は、前年同期比5%減の110万6,000台に留まっている。販売台数が7%減となった日本市場では、登録車シェアが0.2ポイント減の4.9%となった。
販売台数は、
- 北米市場では5%減
- 中国市場では10%減
豪州などのその他市場では13%減
であり、欧州市場だけが伸びていることがわかる。
マツダは、この状況を新世代商品の投入によって乗り切りたい考えだ。同社は「MAZDA3」に続き、新世代クロスオーバー SUV「CX-30」をグローバル市場に導入し、ともに各国で高い評価を得ている。「MAZDA3」は2020年の中国カー・オブ・ザ・イヤーで、CX-30はドイツのゴールデンステアリングホイール賞の「コンパクトSUV部門」などで受賞している。
つまり、マツダ車自体の評価は高いということだ。各国での販売施策がうまく実を結べば、販売実績がグローバルでプラスに転じるかもしれない。
「MX-30」の成功が今後の業績改善の鍵
マツダは、2021年3月期に新型EV(電気自動車)「MX-30」の量産に入る。先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を搭載し、交差点での衝突事故防止や道路での逸脱回避などの機能によって高い安全性を確保する。
この車両でどれだけマーケットに大きなインパクトを与えられるかによって、今後の決算内容は大きく変わりそうだ。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
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