海外生活30年目に突入した筆者が、「時々無性に恋しくなる日本のモノ」の一つがコンビニだ。最近では、日本のコンビニを利用した外国人がその様子をSNSなどにアップするなど、海外からも注目されている。欧州在住者の視点から、世界を魅了する日本のコンビニの魅力に迫ってみよう。

日本のコンビニが注目を浴びている

街のいたるところに設置された自動販売機とともに、海外から熱い視線を浴びている日本のコンビニ。「世界一優秀」と大絶賛する声も多く、「コンビニTweet」という造語まで生まれている。

日本のコンビニにあたる小売店は欧州にもあるが、形態やビジネス戦略は大きく異なる。日本でもおなじみのカルフールが展開するBon App!(フランス)や、カジノのコンビニ版Leader Price Express(フランス)、Migros(スイス)などがあるが、その多くは大手スーパーの小規模版だ。英国ではM&SやTESCOなど、各大手スーパーがそれぞれのコンビニを展開している。世界48ヵ国に約1万4,000店舗を持つオランダのSPARは、1977年から2016年までホットスパーというコンビニ名で日本にも進出していた。

これらのコンビニは直営・フランチャイズを問わず、取り扱っている商品はプライベートブランドを含めて母体のスーパーと同じで、スーパーの簡易版であるにも関わらず、同じ商品でも割高だ。日本のようにコンビニがそれぞれの個性を前面に押し出し、ブランド戦略を繰り広げるといったことはない。また、ガソリンスタンド併設型のコンビニもよく見かけるが品揃えが少なく、どちらかといえば移動中に立ち寄るキオスクのような位置づけである。

筆者もコンビニを定期的に利用しているが、「〇〇を買うためにあのコンビニに行く!」といったワクワク感は一切ない。「外出先で喉が渇いた時、目の前にあったから」「ミルクを切らしてしまったが、スーパーまで行くのは面倒だから」など、あくまで便利だから理由しているに過ぎない。

日本のコンビニが優れている5つの点

日本のコンビニは、具体的にどのような点が優れているのだろうか。5つのポイントを紹介しよう。

1、圧倒的な品揃えと質の高さ

ベーシックな商品を中心に取り扱う海外のコンビニに慣れている人は、日本のコンビニの選択肢の豊富さと商品・サービスの質の高さに圧倒される。筆者も、一時帰国のたびに「次元が違う……」と感じる。単に店舗数を増やすだけではなく、消費者の視点に立って商品とサービスを充実させるアプローチこそが、日本のコンビニの価値を高めているのではないだろうか。

2、コンビニならではの商品・サービスが充実している

品揃えの豊富さと質の高さに貢献している要素の一つが、プライベートブランドやオリジナル商品だ。「コンビニでしか購入できない商品・サービス」でスーパーを含む競合との差別化を図り、限定商品やキャンペーンなどによって消費者を飽きさせない戦略は、日本のコンビニにならでは。

さらに、各コンビニが独自の商品・サービスで、ブランドバリューを確立している点も高く評価できる。

3、安くて美味しいテイクアウトメニューが充実している

手頃な価格で美味しい弁当や惣菜が購入できる上に、温めサービスが無料なのもうれしい。近年はパイやサンドウィッチといった従来のテイクアウトメニューに加え、Poke-Don(丼類)やSushi(寿司)、Dumpling(餃子)といったオリエンタル系に注力する海外のコンビニもある。 ただし、値段と質が釣り合ってない商品が多いのが難点だ。店や商品によっては、飲食店を利用したほうが安くつくこともある。

4、24時間利用できる

海外のコンビニの多くは、夜間になると店を閉めてしまう。筆者の自宅の近所にあるガソリンスタンド併設型コンビニは24時間営業だが、午後10時以降は店内に入店できず、防弾ガラス張りの窓口を通して欲しいものを注文するシステムだ。店側は防犯効果だけではなく人件費も節約できて、店内の掃除の手間が省けるというが、客は商品を手に取って選べないため買い物の楽しみが半減する。

そう考えると、24時間好きな時に利用できる日本のコンビニは、真のコンビニエント(便利な)ストアといえる。

5、コピー機を使用できる

筆者は、急ぎでコピーする必要がある時に限って、プリンターの調子がおかしくなったり、インクが切れたりする不運に見舞われる。そんな時、「日本のようにコンビニで気軽にコピー機が使えたら」と思う。些細なサービスではあるが、消費者の視点に立って「なかったら不便なサービス」を提供している点も評価したい。

日本のコンビニが海外のコンビニに比べて不便な点は?

逆に、日本のコンビニが海外のコンビニに比べて不便な点があるかどうか考えてみたのだが、何一つ思いつかない。

強いていうなら、「立ち読みをしている人が多いこと」だろうか。海外のコンビニ客の多くは、パラパラと数ページめくって購入するかどうかを判断し、さっさとその場を離れていく。

買いたい雑誌を他の客が長々と立ち読みしていて、買う気が失せたことが何度かある。一度、勇気を出してその雑誌を購入したい旨を伝えたことがあるのだが、間髪入れず「私も買うので」と切り返された。最近は立ち読み禁止のコンビニが増えているので、以前よりはこのような客は減っているだろう。

また、環境問題への取り組みが加速している中で、プラスチック容器などの過剰包装も気になる。

日本のコンビニは世界一優秀?

日本のコンビニには、日本特有の「かゆい所に手が届く商品とサービス」がある。日本に住んでいるとそれが「当たり前」と感じるのだろうが、海外で暮らしている筆者はその「当たり前」が羨ましくもあり、誇らしくもある。あくまで筆者の意見だが、「その価格を支払う価値がある」という意味でも、日本のコンビニは間違いなく世界一優秀だ。

文・アラン琴子
英メディアや国際コンサル企業などの翻訳業務を経て、マネーライターに転身。欧州を基盤に、複数の金融・ビジネスメディアにて執筆活動中。国際経済・金融、FinTech、ビジネス、仮想通貨、行動経済学など、広範囲に渡る「お金の情報」にアンテナを張っている。

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