「最近のガソリン価格は高すぎる」と思わないだろうか。その感覚は正しい。過去2年間で最も高い水準に達しており、都道府県によってはレギュラーガソリンが160円台まで上がっている。なぜ、今ガソリン価格が高騰しているのだろうか。その理由を考えていこう。

ガゾリン価格と軽油価格の推移

以下の表は、直近2年間のガソリンと軽油の価格の推移だ。2021年6月のレギュラーガソリンの看板価格の平均値は1リットル149.3円。7ヵ月連続で上昇しており、過去2年間で最も安い2020年5月の117.9円と比べると、31.4円も上がっている。

ちなみに、2021年7月30日時点のレギュラーガソリンの平均価格は152.2円で、6月の平均値(149.3円)をさらに上回っている。

<ガソリン・軽油の直近2年間の1リットル価格の推移>

対象月 ハイオク価格 レギュラー価格 軽油価格
2021年6月 160.3円 149.3円 127.6円
2021年5月 155.9円 145.1円 123.9円
2021年4月 155.3円 144.4円 123.6円
2021年3月 15.37円 142.8円 121.7円
2021年2月 147.1円 136.1円 115.2円
2021年1月 143.4円 132..4円 111.1円
2020年12月 140.1円 129.1円 108.2円
2020年11月 136.1円 125.1円 104.6円
2020年10月 137.9円 127.0円 106.5円
2020年9月 139.5円 128.6円 107.7円
2020年8月 139.0円 128.1円 107.3円
2020年7月 135.9円 124.8円 104.2円
2020年6月 134.4円 123.4円 103.2円
2020年5月 128.9円 117.9円 98.0円
2020年4月 133.6円 122.6円 102.7円
2020年3月 146.0円 135.0円 115.1円
2020年2月 153.1円 142.2円 122.1円
2020年1月 156.2円 145.3円 124.7円
2019年12月 153.5円 142.5円 122.0円
2019年11月 151.2円 140.3円 120.2円
2019年10月 151.1円 140.3円 120.6円
2019年9月 146.7円 135.8円 116.8円
2019年8月 147.1円 136.3円 117.4円
2019年7月 149.3円 138.4円 119.4円
※出典:e燃費(価格は「看板価格」の平均値)

なぜガソリン価格が高騰しているのか?

ガソリン価格や軽油の価格の高騰の背景には原油価格の高騰があるが、なぜ原油価格が高騰しているのだろうか。主な理由は以下の3つだ。

石油の消費量が伸びている

これには、新型コロナウイルスが大きく関係している。ワクチン接種が進んだ国では国民の消費活動が活発になり、結果として石油の消費量が伸びている。石油の需要が伸びると、石油価格は上昇する。

投資家による投機的な動き

原油価格のさらなる高騰を見込んだ投資家の投機的な動きも、価格の上昇に拍車をかけている。原油の先物市場に投機的な資金が流入すると、原油高が助長される。

アメリカにおける原油生産の遅れ

需要が伸びているにも関わらず、アメリカにおいて原油生産があまり増えていないことも原油高の要因となっている。専門家は、石油産業を後押ししていたトランプ政権から、環境重視のバイデン政権へと変わったことなどが影響していると見ている。

今後短期的に価格はどう推移するのか?

では、ガソリン価格は今後どう推移していくのだろうか。石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの産油国は、2021年7月に協調減産の段階的縮小について合意しており、その結果生産量が増えることで価格は下落基調に入る可能性もある。

新型コロナウイルスのパンデミックの動向にも、大きな影響を受ける。変異株が猛威を振るい、ワクチンが効かない変異株が生まれると、石油需要が縮小して価格は大きく下がるかもしれない。

EVや水素燃料車の台頭で価格はどう推移するのか?

最後に、もう少し長期的な視点でガソリン価格の動向を考えてみよう。今後EV(電気自動車)やFCEV(水素燃料電池車)が普及していく中で、ガソリン価格はどう推移するのだろうか。

ガソリン需要は確実に縮小していくと考えられるが、産油国が生産量を減らせば、価格は簡単には下がらない。産油国のさじ加減一つで、ガソリン価格は上下するのだ。

注意深く世界の動向をウォッチしよう

将来のガソリン価格を予想するのは難しい。ただし、原油価格に影響を与えそうなニュースをチェックしていれば、予想の精度は高まる。2021年もすでに後半に入ったが、このままガソリン価格の高騰が続くのか、注意深く世界の動向をウォッチしていきたい。

執筆・
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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