タンニン酸化鉄が摩擦係数を減少させていた
この点を確かめるために、研究チームは、水にタンニンを含むスズカケノキの葉を注入して、茶色の抽出物を生成しました。
続いて、この抽出物に、レールから溶け出た鉄に相当する「塩化鉄」の水滴を追加。
その結果、鉄道上で見かけるのと同じような「黒い鉄含有物質(タンニン酸鉄)」が形成されたのです。
同様の手順をタンニンの含まない葉でも試してみましたが、黒い物質が形成されることはありませんでした。
この試験により、列車を滑りやすくする「黒い物質」はタンニンとレールの鉄で生成されるタンニン酸化鉄だと証明されたのです。
続いて、タンニンを含む葉(タンニン酸鉄が形成される)、タンニンを含まない葉、水をそれぞれレール上にまき、それぞれの摩擦係数の減少度を比較しました。
その結果、葉の繊維や水は摩擦係数をそこまで減少させないと判明。対して、タンニンを含む葉は大きく摩擦係数を減少させました。
タンニンを含む葉が鉄道レールに落ち、タンニン酸化鉄が生成されることが滑りやすくなる原因だったのです。
ワトソン氏らは次に、様々な種類の木の葉のタンニン含有量を調査する予定です。
鉄道レール付近からタンニン含有量の多い樹木を減らすことで、スリップによる経済損失を防げるかもしれません。
この研究は7月29日、「Proceedings of the royal society A」に掲載されました。
The composition and friction-reducing properties of leaf layers
reference: theguardian / written by ナゾロジー編集部
提供元・ナゾロジー
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