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鉄道レール上の落ち葉で滑りやすくなるのは、落ち葉に含まれる「タンニン」が原因だった
落ち葉のタンニンとレールの鉄イオンによって黒い「タンニン酸鉄」の層ができる
タンニン酸鉄によるレールのコーティングは、摩擦係数を極端に低下させる
落ち葉のタンニンとレールの鉄イオンによって黒い「タンニン酸鉄」の層ができる
タンニン酸鉄によるレールのコーティングは、摩擦係数を極端に低下させる
鉄道レール上の落ち葉があると、鉄道は途端に滑りやすくなり、ブレーキや加速が困難になります。
列車は安全を優先するため、遅延に繋がることも多々あるでしょう。
これまで、この「落ち葉があると滑りやすい」原因は、単純に落ち葉の繊維や水分にあると考えられてきました。
ところが、最近の英国シェフィールド大学機械工学科のマイケル・ワトソン博士らの研究によって、「落ち葉のタンニン」と路線の鉄によってできた「タンニン酸鉄」が滑りやすくしていると判明したのです。
鉄道を混乱させる「黒い氷」
英国では毎年5000万枚の葉が線路上に落ちています。この落ち葉によって列車が遅延するため、推定で年間3億4500万ポンド(約472億円)の損失が生まれています。
落ち葉の上を列車が通った後には、レール上の落ち葉が押しつぶされることで黒い層が形成されており、車輪とレールの摩擦を大幅に減少させていました。
この現象は「the black ice of the railway:鉄道の黒い氷」と表現されており、鉄道関係者の悩みの種だったようです。
そして最近、ワトソン氏らによって、この「黒い物質」の成分が調査され、摩擦係数を減少させる原因が「落ち葉のタンニン」にあると考えられました。
タンニンとは、植物に由来する渋み成分であり、紅茶やワインなどに含まれています。赤ワインの渋みや色もこのタンニンが関係しているのです。
加えてタンニンには金属イオンと反応して結合する性質もあります。
落ち葉の抽出液は酸性であるため、これにより溶解した鉄イオンがタンニンと反応し、黒い物質の層を形成していると考えられます。