コンピュータの誕生〜インターネット時代へ

コンピュータの土台となった「チューリングマシン」

アラン・チューリングはわずか24歳で、現代のコンピュータの土台となる論文を書き上げました。

しかし、チューリングは、具体的な機械を作るつもりは毛ほどもなかったのです。

彼の目的は、1928年にドイツの数学者ヒルベルトが残した「決定問題」という数学の難問を解くことでした。

「コンピュータ」はどうやって生まれたのか? 世界をつなぐインターネットの誕生秘話
(画像=アラン・チューリング / Credt: ja.wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

決定問題とは、簡単に言えば、「あらゆる数学の命題(例えば、2+2=4)について、答えが得られるのか、あるいは決定不能であるのか」を知りたいというものです。

もし数学が決定可能であれば、どんな問題でも「イエスかノー」で確実に答えられる機械が作れます。

チューリングは「その性能を備えるには、どんな機械だったら良いのか」を頭の中で想像しました。

そのアイデアが「チューリングマシン(1936)」です。

チューリングマシンは、どんな計算も自動で行える理論上のモデルであり、これがコンピュータの「ソフトウェア(アルゴリズム)」の原型になっていました。

実際、1941年には、チューリングマシンを図らずも具現化した初のコンピュータ「Z3」がベルリンで誕生しています。

「コンピュータ」はどうやって生まれたのか? 世界をつなぐインターネットの誕生秘話
(画像=「Z3」のレプリカ(ミュンヘン) / Credt: ja.wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

世界を繋ぐ「インターネット」の登場!

最初は一部屋を埋めつくすほど巨大だったコンピュータも、時代につれてどんどん軽量化されました。

このコンピュータをさらに進化させたのが「インターネット」です。

インターネット元年は、1961年と言われます。

その背景には「コンピュータはもっと効率的な方法で接続できるはず」という考えがありました。

それまでの通信システムは、地点Aと地点Bを直接つなぐもので、とても非効率でした。

「コンピュータ」はどうやって生まれたのか? 世界をつなぐインターネットの誕生秘話
(画像=クラインロック氏 / Credit: en.wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

そこでマサチューセッツ工科大学の技術者、レナード・クラインロック氏(1934〜)は、「地点A〜Bへメッセージ全体を直接送るのではなく、メッセージを細かく刻んで(=パケット)、それぞれをネットワークに流して自由な経路を選ばせる」という方法を1961年に考案しました。

パケットはあて先の機械で再びメッセージとして組み立てられます。

直通の電線より効率がよく、2地点のコンピュータ間の接続がダウンした場合は、別のルートを探す柔軟性もありました。

1966年には、アメリカの高等研究計画局(ARPA)が、研究所内のコンピュータをつなぐネットワークの作成をクラインロック氏に依頼。

これが「アーパネット(ARPANET)」と呼ばれるようになります。

「コンピュータ」はどうやって生まれたのか? 世界をつなぐインターネットの誕生秘話
(画像=1974年時点の「アーパネット」の範囲 / Credt: ja.wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

インターネットはその後も改良を受けながら、世界各地の都市をつないでいきます。

そして1989年、イギリスのコンピュータ科学者であるティム・バーナーズ=リー氏(1955〜)が、インターネット上で文書を自由に閲覧したり、共有するシステムがないことに不満を抱き、あるソフトを開発しました。

それが「ワールドワイドウェブ(WWW)」です。

これこそ、世界中のホームページをネットを通じて閲覧できるシステムであり、世界最初のウェブサイトの誕生を告げました。

「コンピュータ」はどうやって生まれたのか? 世界をつなぐインターネットの誕生秘話
(画像=バーナーズ=リー氏 / Credt: ja.wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

こうした歴史の到達点として、現在のスマホやノートパソコンがあります。

90年代初期にインターネットで伝えられる情報は、世界中の情報の約1%でしたが、今ではほぼ100%に近づいています。

コンピュータやインターネットの進化は、これからさらに加速していくでしょう。

参考文献
『NewScientist 起源図鑑』

提供元・ナゾロジー

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