仕事を「マルチタスク」と認識すると効率が上がると判明
(画像=Credit: uberof202 on Visual Hunt / CC BY-SA、『ナゾロジー』より引用)

同様の結果は、別の実験からも得られました。別の実験では、被験者にオンライン上で2つの単語パズルが与えられました。被験者の一部に対しては、「異なる2つの実験に参加している」と信じ込ませるため、各パズルがそれぞれ異なる背景の上に表示されました。これに対し、残りの被験者に対しては、どちらのパズルも同じ背景の上に表示されたため、彼らは2つのパズルを単一の実験の一部なのだと信じ込みました。研究チームが予想したとおり、マルチタスクに取り組んでいると信じ込んだ前者の方が、後者よりも正答率が高いという結果になりました。

「マルチタスクは、しばしば本人の認識の問題で、幻想とさえ考えることができます。実際に取り組んでいるタスクが一つであっても複数であっても、『マルチタスクを行っている』と認識することがパフォーマンスに有効に働くのです」と、スルナ氏は説明しています。

マルチタスクを行っているという「思い込み」がパフォーマンスを増大する要因を突き止めるため、オンライン単語パズルに取り組ませる別の実験を実験室内で行い、タスク中の被験者の瞳の動きを追跡したところ、マルチタスクを行っていると認識している被験者は、そうでない被験者と比べて、タスク中の瞳孔の開きが大きいことが判明しました。このことから、マルチタスクの認識は、課題に取り組む集中力と真剣さを高めると言うことができます。

マルチタスクは、衝撃や圧力で破壊されることなく変形できる可鍛性を持つ「金」のようなもの。幻想だろうと何だろうと「思い込み」の力は絶大です。仕事や日々の雑事で退屈な単純作業に取り組む際は、複雑な「マルチタスク」に取り組んでいるのだと自分を思い込ませて、その効能を活用しましょう!


提供元・ナゾロジー

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