近年、新聞の発行部数は減少傾向にある。「紙でニュースを販売する」というビジネスモデルをうまく転換できず、読者離れが進んでいるのだ。新聞社だけでなく、新聞販売所・配達所も窮地に陥っているが、ここに来て活路が見えてきた。
新聞発行部数は1997年をピークに減少傾向
かつて、新聞は日々の生活に根付いていた。しかし、パソコンやスマートフォンなどのデジタル端末でニュースを無料で読めるようになり、近年は新聞の発行部数の減少が続いている。
日本の新聞の発行部数は、1997年がピークだった。日本新聞協会の調べによれば、1997年の発行部数は5,376万部。それが2010年には4,932万部、2020年には3,509万部まで落ち込んでいる。
1世帯当たりの購読部数は、2000年は1.13部だったが2008年には0.98部、2020年時点では0.61部だ。現在の購読者の中心が高齢者であることを考えると、20〜30年後にはさらに部数が落ち込むことが予想される。
大手新聞社の公称部数は以下のとおり。ほとんどの新聞社が、1年間で部数を1割前後落としていることがわかる。
<大手新聞社の公称部数の推移>
新聞社 | 2021年1月時点 | 2020年1月時点 | 増減率 |
---|---|---|---|
読売新聞 | 731万部 | 788万部 | ▲7.2% |
朝日新聞 | 481万部 | 524万部 | ▲8.2% |
毎日新聞 | 202万部 | 229万部 | ▲11.7% |
日経新聞 | 194万部 | 222万部 | ▲12.6% |
産経新聞 | 122万部 | 134万部 | ▲8.9% |
新聞社とともに新聞の販売店・配達所も厳しい状況に
このように新聞の発行部数は軒並み落ち込んでおり、業績悪化も著しい。例えば朝日新聞は2021年3月期連結決算で、441億円9,400万円の赤字を計上している。同社は、大規模な早期・希望退職者の募集に踏み切っている。
新聞社だけでなく、新聞の販売店・配達所の経営も苦しい。新聞の販売店・配達所の収入は、新聞の販売・配達部数に応じた収入と、新聞に折り込む広告からの収入に分かれるが、どちらも減っているからだ。
広告収入は、配達部数が減るにつれて落ち込んでいく。今後各新聞社がデジタル化を進めれば、販売店・配達所はさらに苦しくなっていくだろう。
このような状況の中で新聞の販売店・配達所が生き残っていくためには、新たな収入源を作るしかないが、多くの販売店・配達所がそれに苦戦している。しかし最近、うっすらではあるが活路が見えてきた。
それは、フードデリバリーの請負ビジネスだ。
読売新聞と日本マクドナルドがタッグ
2021年4月、読売新聞グループ本社と日本マクドナルドは読売新聞の販売所のスタッフが、マクドナルドのデリバリーサービスを担う取り組みを全国で展開することを発表した。すでに首都圏などの店舗で、先行的に取り組みをスタートしているという。
日本マクドナルドが読売新聞と手を組んだのは、読売新聞が全国津々浦々に配達ネットワークを有しているからだ。しかも、販売所のスタッフは各地域の道路を知りつくしており、配達のスピードも速い。
マクドナルドは、自社のデリバリーサービスの即戦力を手に入れたのだ。最近はUber Eatsなどのフードデリバリーアプリが増えたこともあり、今後は自社のデリバリー要員の確保が難しくなっていくことが予想されるが、読売新聞の販売所と組めばそのような懸念も解消できる。
読売新聞の販売所にとっても、メリットは大きい。デリバリーを受託することで、ある程度の売上を確保できるからだ。今後はUber Eatsと朝日新聞、出前館と毎日新聞といったタッグが生まれるかもしれない。
時代の潮流に合わせたビジネスモデルを模索する必要性
企業は、時代の潮流に合わせてビジネスモデルを変えていく必要がある。かつては「3年で家が建つ、5年でビルが建つ」といわれた新聞販売業だが、従来のビジネスモデルに固執していては未来はないだろう。その意味で、フードデリバリーの受託ビジネスは新たな活路といえる。
ただしフードデリバリーも、いずれは自動配送ロボットなどによって省人化が進むと考えられる。そうなれば、また新たなビジネスモデルを模索することになる。今マクドナルドやUber Eatsと手を組んだからといって、この先もずっと安泰というわけではないのだ。
文・MONEY TIMES編集部
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