パワートレーン
電気自動車の動力となるEパワートレーンは、コンパクト化、一体化を行なうことでコストを30%、抵抗を45%低減し、EV走行距離を最大20km延長することを目指すとしている。

ルノー・グループは、レアアース(永久磁石)を使用しない電気励磁同期モーター(EESM:巻線界磁型同期モーター)技術と減速機をベースにした独自のe-モーターを開発した最初の自動車メーカーとして、競合他社をリードしているとしている。
過去10年間でコストを2分の1に削減することができ、今後の10年間でさらに2分の1にする予定だ。また2024年以降、EESMに新たな技術的改良を加え、ステーターヘアピン、接着型モータースタック、ブラシレス、中空ローターシャフトなどにより、さらなるコスト削減とモーターの効率向上を目指すとしている。
また、フランスのスタートアップ企業であるWhylot社と、革新的な自動車用軸流電子モーターに関するパートナーシップも締結。この技術は、まずハイブリッド用パワートレーンに適用され、コストを5%削減しながら、WLTP(B/Cセグメントの乗用車)で最大2.5gのCO2削減を目指す。そして2025年から軸流式eモーターを大規模に生産する最初の自動車メーカーになるとしている。

パワーエレクトロニクス分野では、インバーター、DC-DCコンバーター、オンボードチャージャー(OBC)を自社製の一体ボックスに統合することにしている。このワンボックス・プロジェクトは、コンパクトなデザインでありながら800V電圧に対応し、部品点数を減らしてコストを削減し、さらにスケール効果を高めるために、すべてのプラットフォームとパワートレイン(BEV、HEV、PHEV)に使用される予定だ。
インバーター、DC-DCコンバーター、OBCのパワーモジュールには、STマイクロエレクトロニクス社との戦略的パートナーシップにより、パワーエレクトロニクスにはSiC(炭化ケイ素)とGaN(窒化ガリウム)が採用されている最新世代となっている。
EVプラットフォーム戦略
電気自動車の展開のために、ルノー・グループはCMF-EVとCMF-BEVを採用する。

日産/ルノーが共有するCMF-EVプラットフォームは、C/Dセグメント向けでドライビングプレジャーを目指す基盤となる。このプラットフォームは、2025年までにアライアンス・レベルで70万台の販売を見込んでいる。そして高効率でエネルギー消費が少なく、最大580kmの航続距離(WLTP)を実現する。

CFM-EVにより、パワートレーンはエンジンベイに集中配置して広いキャビン空間を実現し、重量とコストを削減。また、エアコンなど空調設備もエンジンルーム内に配置することで、ダッシュボードの薄型化が実現し、クラスの常識を超える広いキャビンを実現することが可能だ。
さらにCMF-EVは、低重心で理想的な重量配分、クイックな車両応答を可能にする非常にハイギヤ比のステアリング、リヤ・マルチリンクサスペンションにより、傑出したドライビングプレジャーも生み出される。ドゥエで生産される新型メガーヌEは、このCMF-EVプラットフォームをベースにして開発されている。


一方、CMF-BEVプラットフォームは、Bセグメント用で、すべての人に手頃な価格の電気自動車を提供することを可能にしている。この全く新しいプラットフォームは、現行のZOEと比較して車両コストを33%削減している。
これは、バッテリーモジュールの互換性、低コストで100kWの適切なサイズのパワートレーンを搭載し、さらに従来のCMF-Bプラットフォームから多くのコンポーネントを流用することで達成されている。CMF-BEVは、デザイン、静粛性、走行性能に妥協することなく、手頃な価格でありながら、WLTPで最大400kmの走行が可能な性能を備えている。

CMF-BEVを採用するのはルノー5(サンク)、フォエバー(4ever)などで、フォエバーはかつてのルノー4(キャトル)をイメージしたコンパクトMPVだ。

ルノーは、電気自動車10車種を投入することで、よりバランスのとれた収益性の高い製品ポートフォリオを実現。その象徴となる「ルノー5」は、現在のヨーロッパで最量販のEVである「ZOE」に比べてコストを33%削減することを目標としている。そして2022年に発売される新型メガーヌEにより、Cセグメントで競争力の高い電気自動車とする計画だ。
また高性能・プレミアムEVブランドと位置づけられるアルピーヌは、2024年にルノーの新型「5」の高性能版「R5」そしてA110の後継EVモデル、さらにはGTスタイルのDセグメントをデビューさせる計画だ。
またこの他にルノー・グループはEV化の推進と同時に、バッテリーのライフサイクルを通じて付加価値を重視し、蓄電池としての2次利用、そしてバッテリーのリサイクルまでを見通したバッテリー流通戦略を採用することにしている。

ルノー・グループのルカ・デメオCEOは、「本日はルノー・グループのEV戦略と、メイド・イン・ヨーロッパ という視点で歴史的な日です。フランス北部に、コンパクトで効率的なハイテクな電気自動車生産のエコシステムであるルノー・エレクトリシティを建設し、ノルマンディー地方にe-パワートレインのメガファクトリーを建設することで、国内での競争力を高める条件を整えています。私たちは、それぞれの分野で確立された、あるいは新興のベスト・イン・クラスの要素を育成し、投資し、パートナーとなります。多くのバッテリーサプライヤーと協業することでコストパフォーマンスに優れた都市型車両からハイエンドのスポーツカーまで、2030年までに10種類の新しい電気自動車を開発し、100万台の電気自動車を生産する予定です。効率性に加えてルノー5のような愛すべきルノーを象徴するデザインを採用することでルノーらしい電動化を目指し、電気自動車を普及させていきます」と語った。
提供元・AUTO PROVE
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