1月29日、東京都内にて「The Tabelog Award 2020(食べログアワード2020)」の授賞式が開催された。4回目の開催となった今年の「The Tabelog Award」では、「食べログ」に掲載されているレストラン約90万軒の中から、総合点4.00を超える店舗を対象にユーザー投票を実施、624店舗が受賞した。
授与される各賞は、Gold・Silver・Bronzeの三賞と、3つのテーマ別部門賞。Goldには「この国のどこにあったとしても、生涯通い続けたいお店」として34店、Silverには「一生に一度は味わっておきたい、匠の技に出会えるお店」として102店、Bronzeには「レストランを語るなら、必ず押さえておくべき名店」として488店が選ばれた。
「おいしいを、讃えよう。」をキャッチコピーに、食べログユーザーの投票によって選出される同アワードは、いわゆる料理の専門家といったプロではなく、レストランへの愛や敬意にあふれた、純粋に食を楽しもうとする一般の人々の目線が反映されるのが大きな特徴。こうした点からも、毎年大きな関心が各界から寄せられている。
会場となったのは、東京虎ノ門にある「The Okura Tokyo」平安の間。ウェルカムドリンクを片手に、全国から集まった500人を超える料理界のトップシェフたちが交流を図るなど、場内は開演前から華やかな雰囲気に満ちていた。
MCを務めたのは、今回で4度目の登壇となるアンジャッシュの渡部健さんと、フリーアナウンサーの平井理央さん。そのほかにも、ダチョウ倶楽部の寺門ジモンさんや俳優の髙嶋政宏さん、日本フェンシング協会会長の太田雄貴さんがプレゼンターとして登場し、授賞式を大いに盛り上げた。
主催者である株式会社カカクコム 取締役・食べログ担当の村上敦浩さんは、アワードを開催する理由のひとつに「お店のランク付け自体が目的ではなく、日本が世界に誇る素晴らしい店や料理人をもっと多くの方に知ってもらいたい、そして今年も皆さん同士で讃え合って日本の食を盛り上げてもらいたい」との思いがあることを述べ、「今年は特に東京以外のお店の受賞が増えた。このアワードが全国に広がっていることを実感し、嬉しく思います」と挨拶。発表への期待がより高まった。
「料理人として最も尊敬を集める料理人」に『カンテサンス』の岸田周三シェフ
最初に発表されたのは、部門賞のひとつである「Chefs' Choice」賞。ノミネート店の料理人による事前投票で最多票を集めた「料理人として最も尊敬を集める料理人」に贈られる賞だ。受賞したのは、『カンテサンス(フレンチ / 東京)』の岸田周三さん。トロフィーを手に「こんなすごい賞を頂けてびっくりしています」と驚きと感謝の思いを述べた後、こう続けた。「飲食業界は、これからますます人材難になる。昨年テレビドラマを監修した理由は、若い方々にもっと料理人への憧れをもってほしかったからなんです。こうした思いが、多くのシェフにも届いたのかもしれません」。さらに、「今後は水産資源の保護活動にも力を注いでいきたい」と、未来を見据えた意気込みを語った。
「BEST NEW ENTRY」には、オープンから1年5か月のミシュラン一つ星店も
続いての「BEST NEW ENTRY」賞は、初ノミネート店の中で、食べログユーザーからの投票数が多かった店に授与される部門賞。今回は、『ヴィラ・アイーダ(イタリアン/和歌山)』『紀茂登(日本料理/東京)』など、11店舗の料理人が受賞した。なかでも、『山﨑(日本料理/東京)』はオープンから1年5か月での受賞となり、その期待値の高さがうかがえる。登壇した料理人たちは皆、新鮮な表情をたたえながらも、名店の確かな貫録を漂わせていた。
どんなに時間をかけてでも足を運びたい「Best Regional Restaurants」
部門賞の最後を飾ったのは、「たとえ時間をかけてでも食べに行く価値がある」店に贈られる「Best Regional Restaurants」賞。東日本、西日本から各1店舗ずつ選出される本アワードは、江戸料理の真髄を味わえる『日本料理 たかむら(日本料理/秋田)』と、発酵料理による表現が秀逸と評価される『徳山鮓(日本料理/滋賀)』がそれぞれ受賞した。
『日本料理 たかむら』の髙村宏樹さんは、「これを機に、東北エリアへ旅行を兼ねておいしいものを食べにきてもらいたいですね」とコメント。プレゼンターであるフードコラムニストの門上武司さんも、「しっかり継承された技と、食材の魅力が見事に融合している。いずれも東西を代表する素晴らしいお店だと思います」と絶賛の言葉を寄せた。
4年連続受賞店は9店! アワードの頂点を飾る「Gold」に輝いたのは…
いよいよ本賞の発表となり、静かな興奮が会場に満ちた。Gold・Silver・Bronzeの内、各店がどの賞を受賞しているかは、来場者が受付で渡された封書の中に明記されているという。高まる緊張の中、渡部さんらによる「オープン!」の掛け声で来場者が一斉に封書を開封すると、どよめきのような歓声が響いた。
■Goldを受賞した店(34店)
アワードの頂点であるGoldの受賞店は以下の通り(50音順)。
『アカ』(スペイン料理/京都)
『飯田』(日本料理/京都)
『緒方』(日本料理/京都)
『カンテサンス』(フレンチ/東京)
『京天神 野口』(日本料理/京都)
『銀座 しのはら』(日本料理/東京)
『コントワール フー』(フレンチ/大阪)
『旬席 鈴江』(日本料理/京都)
『新ばし 星野』(日本料理/東京)
『鮨 あらい』(寿司/東京)
『鮨 さいとう』(寿司/東京)
『鮨 さかい』(寿司/福岡)
『すし処 めくみ』(寿司/石川)
『鮨 なんば 日比谷』(寿司/東京)
『草喰 なかひがし』(日本料理/京都)
『CHIUnE』(イノベーティブ・フュージョン/東京)
『天寿し 京町店』(寿司/福岡)
『富小路 やま岸』(日本料理/京都)
『鳥しき』(焼鳥・鳥料理/東京)
『道人』(日本料理/京都)
『にい留』(天ぷら/愛知)
『にくの匠 三芳』(日本料理/京都)
『日本橋蛎殻町 すぎた』(寿司/東京)
『日本料理 たかむら』(日本料理/秋田)
『野嵯和』(日本料理/愛知)
『東麻布 天本』(寿司/東京)
『比良山荘』(日本料理/滋賀)
『ほうば』(アジア・エスニック/大阪)
『本湖月』(日本料理/大阪)
『松川』(日本料理/東京)
『三谷』(寿司/東京)
『柳家』(日本料理/岐阜)
『やまぐち』(イタリアン/京都)
『レフェルヴェソンス』(フレンチ/東京)
Goldに選ばれたのは、過去最多となる34店舗。受賞店舗のジャンルを見てみると、昨年同様、日本料理や寿司など、比較的「和」の店が多い印象だ。今回は「Chefs' Choice」賞に輝いた岸田周三さんによる『カンテサンス』をはじめ、日本料理の『緒方』『銀座 しのはら』、寿司の『鮨 さいとう』『天寿し 京町店』など9店が、4年連続でGoldを受賞。もはや不動ともいえる支持の高さを見せつけた。
『緒方』の女将・緒方芽生さんは、連続受賞ながらアワードには初めて出席。渡部さんが「本日はどのような心境の変化があっていらっしゃったのですか?」と尋ねると、「親しくしていただいている『比良山荘』の女将さんに『アワードはトロフィーを頂くだけだから』と言われたので来てみたんです。でもまさかこんなに華やかな場だったとは。ちょっとだまされましたね」と、チャーミングな返答が。プレゼンターの寺門さんが「僕よりトークが上手い」とコメントすると、会場は大きな笑いに包まれた。
また、4年連続の受賞について『天寿し 京町店』の天野功さんは「本当にありがたいこと」としたうえで、「この賞を頂けたのは、決して自分の力だけではないと思っています。家族はもちろんですが、毎回ノミネートされる『近松(寿司/福岡)』さんなど、みんなが福岡を好きで、頑張ってくれているからこそ得られたもの。今回私は、地元の皆さんの代表としてここに来られたのだということを、痛切に感じています」と、感慨深げに話した。
SilverとBronzeの表彰は時間の関係上省略されたが、今年はスイーツジャンルからアイスクリーム店『ジェラテリア アクオリーナ』、ラーメンジャンルからは『中華そば しば田』『麺尊 RAGE』の2店がBronzeを初受賞。さらに、鳥取県、新潟県、奈良県、広島県で新たにアワード受賞店が選出された。
最後に、プレゼンターの太田雄貴さんが「オリンピックで言えば、受賞された皆さんは金メダリスト。また来年のプレッシャーもあるのでは?」と、自身の経験から受賞店の心情を慮ると、寺門さんは「何も考えずに、今の仕事をしていればGoldですよ。(来場者を見渡して)皆さんも全員Gold、僕らからしてみたらノミネートされた店は全店Goldなんです。そういう意味で、お互いにまた背中を見せ合いながら頑張れば、日本の食がますます盛り上がっていきそうで嬉しいですよね」と激励。授賞式は和やかな雰囲気の中で幕を閉じた。
文・田中恵実子/提供元・Foodist Media
【関連記事】
・大阪の食パンの名店 しっとりモチモチ「生食パン」も!
・横浜の食パン専門店5選 1日2万本売れる生食パンも
・東京のパン食べ放題の店5選 メゾンカイザー、銀座木村屋など
・2026年ついに完成 サグラダ・ファミリア完成までの見どころ ・【初心者向け】ネット証券おすすめランキング