いくら持っていれば富裕層？定義や世界と日本のランキングTOP10も

「富裕層」という言葉を何となく使っている人は少なくないだろう。保有資産がいくら以上あると富裕層で、日本や世界にはどのくらい富裕層がいて、人口の何％なのだろうか。調査データなどから考察していく。

日本や世界における「富裕層」の定義は？

結論から言えば、「富裕層」に明確な基準はない。例えば日本の国税庁は「有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人など」としており、具体的な数字は示していない。

ただし、金融業界などでは基準が存在する。日本では野村総合研究所が採用している定義、世界ではカナダの証券会社であるRBCウェルス・マネジメントなどによる定義がある。それぞれの定義を紹介しよう。

＜野村総合研究所による定義＞

※出典：野村総合研究所

＜RBCウェルス・マネジメントなどによる定義＞

世帯の投資可能資産保有額	分類
1億ドル〜	超富裕層（Ultra-HNWI）
100万ドル〜3,000万ドル	富裕層（HNWI）

つまり日本においては、「1億円以上」の純金融資産を保有する世帯が富裕層もしくは超富裕層とされ、世界においては「100万ドル以上」の投資可能資産を保有する世帯が富裕層もしくは超富裕層とされるのだ。

米ドル・円の為替レートは常に変わるが、「1ドル＝100円」だとしたら「100万ドル＝1億円」となるので、日本でも世界でも富裕層の基準はほぼ同じということになる。

現在主流となっている富裕層の定義を理解したところで、日本にはどのくらい富裕層がいるのか見てみよう。2020年12月に野村総合研究所が発表した2019年時点の推計は、以下のとおりだ。

出典：野村総合研究所

「超富裕層」と「富裕層」の世帯数の合計、つまり132万7,000世帯が日本における富裕層の数であり、全世帯数（5,402万3,000世帯）に占める割合は2.4％だ。

ちなみに2009年時点と2019年時点の推計を比べると、富裕層以上は約57％も増えているが、マス層は約5％しか増えていない。

最後に、日本と世界の長者番付を紹介しよう。彼らは富裕層のトップに君臨する人たちだ。まず日本から。米経済誌フォーブスが発表した「日本長者番付2021」の結果は以下のとおりだ。

＜日本長者番付2021＞

※出典：フォーブス（敬称略）

ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏が1位で、僅差の2位がファーストリテイリングの柳井正会長兼社長だ。

同じく米経済誌フォーブスが発表した「世界長者番付2021」の結果は、以下のとおり。

＜世界長者番付2021＞

※出典：フォーブス（敬称略）

1位はAmazon創業者のJeff Bezos氏で、米EV（電気自動車）大手テスラのElon Musk最高経営責任者（CEO）が2位にランクインしている。

この記事では、日本と世界の富裕層について説明してきた。今後日本で富裕層はどのくらい増え、日本と世界のランキングはどのように変化していくのだろうか。野村総合研究所、そしてフォーブス誌の次回の発表に注目したい。

文・MONEY TIMES編集部