1月14日、生活雑貨店「無印良品」を運営する良品計画の株価がストップ安となった。無印良品は最近、通販サイトが再開できない状況が続いていたことが話題になっていた。しかし、株価の下落には他にも原因がある。

売上高117億円に減少!業績予想を下方修正

良品計画の株価の大暴落は、同社が1月10日に行った2020年2月期第3四半期の決算発表で、2020年2月期通期(2019年3月~2020年2月)の業績予想を下方修正したことが直接の引き金だった。下方修正は、今期2度目だ。

具体的には、2020年2月期(2019年3月~2020年2月)の

  • 営業収益を4,554億5,100万円から4,437億円へ(117億円減)
  • 営業利益を452億9,600万円から378億円へ(74億円減)
  • 経常利益を455億3,500万円から380億円へ(75億円減)
  • 純利益を294億7,000万円から251億円へ(43億円減)

    下方修正した。

    この予想の通りになったとしたら、2020年2月期通期の営業収益は増加となるが、営業利益は前期比15.5%減、経常利益は17.1%減、純利益は実に25.8%減と厳しい業績になる。

    ちなみに、2020年2月期第3四半期の連結業績(2019年3~11月)も不調。営業利益は前年同期比14.5%減の298億2,000万円、経常利益は同15.5%減の301億7,400万円、純利益も同32.4%減の205億300万円となっている。

下方修正の理由は海外情勢と価格の見直し

無印良品の通販サイトが長く営業できていなかったことが、良品計画の株価にマイナスに働いたことは確かだ。しかし、同社の通販サイトの売上は全体の1割程度なので、株主の間では業績への大きな影響はないとの見方が強かった。

同社は、株価に大きな影響を及ぼした業績予想の下方修正の原因を「韓国と香港における情勢不安や中国における生活雑貨の販売が不調だった」と説明している。また、合計1,100品目の商品価格を見直したことも収益悪化の一因だという。

実際、「東アジア事業」のセグメント利益は2020年2月期第3四半期の連結業績(2019年3~11月)でも下落しており、前年同期比13.3%減の115億6,000万円となっている。また「西南アジア・オセアニア事業」は赤字に転落しており、損失額は1億6,100万円に上る。さらに欧米事業の損失は前年同期から約19億円増えて、27億4,800万円となった。

東アジア、西南アジア・オセアニア、欧米と、良品計画は現在海外事業で苦しんでいるのだ。  

業績回復の鍵を握るのは通販事業の拡大?

ニュースでも大きく取り上げられた通販サイトの停止が、株価の急落を招いたと勘違いしている人は少なくない。しかし、今回のストップ安の原因はそれだけではない。とはいえ、今後の業績回復には通販事業が鍵になることは確かだ。

EC(電子商取引)市場は、毎年拡大している。これは、消費者の購買行動が変化している証拠だ。今後は、通販部門でいかに売上を伸ばせるかがポイントになるだろう。この点は国内事業だけでなく、海外事業でも同じだ。

ECを本格的に事業の柱にしていくためには、今回のサイト停止のような事態は絶対に避けなくてはならない。消費者に不便な思いをさせるだけではなく、業績に深刻なダメージを与えかねないからだ。

今回の株価ストップ安は、海外事業の不振に加えて、良品計画のECへの対応力の低さも原因であり、先行き不安にマーケットが反応した結果と言えるだろう。
 

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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