カラスは「数の順序」も分かっている?
研究チームは、脳活動をより深く理解するために、小さなワイヤーをカラスの脳に埋め込み、テスト中の電気的活動を記録しました。
対象にした神経細胞は、カラスの脳の後部に位置する「脳外套(pallium)」という領域で、高度な認知機能を司ることで知られます。
この状態で先と同じテストを行い、1羽のカラスから233個、もう1羽から268個、計500個以上の神経細胞から記録を取りました。
その結果、特定のドット数に対応して、特定のサブグループの神経細胞が活性化していたのです。
例えば、ドット数2に反応して急に発火し始めるものもあれば、4に反応して発火するものもありました。
面白いことに、特定の数とスクリーン上の数の差が大きくなるほど、神経細胞の活動量が低下していたのです。
ニーダー氏は、これについて「カラスが数値をお互いに関連づけて認識していることを示す」と指摘。
「1の次は2、2の次は3というように、数列に沿って順番に並んでいるという、数の秩序性を理解している」と説明します。
さらに、特定の神経細胞の発火は「0」に対しても見られました。
これらの神経細胞は、スクリーン上のドット数が増えるほど、あるいは0から離れるほど、活動量が低下したのです。
「以上の結果をまとめると、カラスは確かに0の概念を理解していることが分かる」と研究チームは結論します。
その一方で、0を理解することで、カラスにどんなメリットがあるのかは分かりません。
ニーダー氏は「1個のリンゴと2個のリンゴを区別できることは生存に役立つでしょう。しかし、何もないことを量として理解することが、カラスにとってすぐに役立つとは思えない」と話します。
今のところ、0を理解できることで知られる動物は、ヒトを除いて、カラスとアカゲザル、それからミツバチのみです。
日常生活で高度な数学を使わないはずの彼らが、なぜ0を理解しているのか、一体どんな有用性があるのか?
研究チームは今後、この点に焦点を当てて、調査を続けていく予定です。
参考文献
Crows understand the ‘concept of zero’ (despite their bird brains)
元論文
Behavioral and Neuronal Representation of Numerosity Zero in the Crow
提供元・ナゾロジー
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