カラスは「0」を数字として扱っていた

研究では、2羽のオスのハシボソガラス(Corvus corone)を用いて、スクリーンのタッチテストを行いました。

実験では、0〜4個の黒いドットを打った灰色の円図形を示し、そのサンプル画像に続いて、同じ数または異なる数のドットが打たれたテスト画像を表示します。

カラスは、2つの画像のドット数が一致した場合はスクリーンをつつき、一致しなかった場合はじっとしているように訓練されました。

カラスは「ゼロの概念」を理解できると明らかに
(画像=実験の様子 / Andreas Nieder-Crows understand the ‘concept of zero'(2021)、『ナゾロジー』より引用)

以前に行われた同様の実験(PNAS,2015)では、カラスは約75%の確率で画像ペアの正しい識別に成功しています。

興味深い点は、2つのドット数の差が大きいほど、より正確に反応したことです。

反対に、1と4のように離れた数よりも、2と3のように近い数の場合に誤答率が上がっていました。

この現象は「数的距離効果(numerical distance effect)」として知られており、サルやヒトでも観察されます。

カラスは「ゼロの概念」を理解できると明らかに
(画像=ドットの位置やサイズも変えて実験 /Andreas Nieder-PNAS(2015)、『ナゾロジー』より引用)

一方で、当時の実験は「0」を示すドットなし画像を取り入れていません。

そこで今回は、0〜4個のドット数で実験。

結果、カラスは、0と他の整数を識別できることが示されたのです。

しかし、最も注目すべきは、カラスが0に対しても数的距離効果を示したことでした。

つまり、ドット数2、3、4の画像より、ドット数0と1の画像を混同することが多かったのです。

「これはカラスが、0を単に『何もない』か『何かある』の違いではなく、実際に数量として捉えていることを示唆する」とニーダー氏は指摘します。

それでは、カラスの脳は数字を認識する際、どのように反応しているのでしょうか。