不動産を売却する際に、できる限り高値で売却したいと考えるでしょう。しかし不動産の売却価格には、不動産会社選びや査定の仕方など、さまざまな要因が絡むため、高値で売るのは決して簡単なことではありません。ここでは、富裕層が実践している高値売却の戦略やノウハウを網羅的に解説します。
不動産を高値で売却するとは
一口に不動産を高値で売却するといっても、その狙いはいくつかあります。売却の判断をする際に、整理しておく必要があるでしょう。
買ったときよりも高値で売却する
買ったときよりも高い金額で売却できれば、まずは「高値で売った」ことになるでしょう。自宅であれば、購入してから売却までの期間、10年であれば10年分の住居費がかからなかった上、さらに利益が出たことになります。建物は減価償却によって価値が下がることを考えると、買ったときよりも高く売却するのは簡単ではありません。
相場以上に高く売却する
もう1つは相場以上に高く売却できたかどうかという視点です。仮に買ったときよりも高く売却できたとしても、周辺の不動産相場が購入時より2倍、3倍と上がっていたとすれば、誰もが認める成功とは言えないかもしれません。相場と同等もしくは相場以上の売却ができているかはポイントの1つになってきます。
不当に安く売らない
売却する際に、不当に安く売らないように気をつけることも「高値で売却する」ことになるでしょう。購入時の価格とあまりにもかけ離れた価格や、理由もなく相場よりも低い価格で売却契約してしまっては取り返しがつきません。そのために、土地や建物の価値を定義する情報を把握したり、不動産仲介会社の選定や売却にかける期間に余裕を持たせたりなど、きめ細かい配慮をしていく必要があるでしょう。
不動産の種類は3つ
大前提として、不動産には大きく分けると「区分」「一棟」「一戸建て」の3種類があります。所有、売却の際には、それぞれ異なる特徴がありますので、押さえておきたいところです。
不動産の種類1:区分マンション・アパート
区分とは、マンションやアパートの一室のみを所有することです。少額で購入できる一方で、売却時に得られる収入も少ないのが特徴です。価格が手頃で、比較的投資と居住の両方のニーズがあります。売却に際しては対象顧客が広いため、より高い価格で購入してくれる顧客が現れるのを待つといった戦略も取れます。
不動産の種類2:一棟マンション・アパート
一棟とは、マンションやアパートを丸ごと所有することです。複数の部屋があることで、売却時の収入も比較的大きくなります。ただし、購入時は一棟丸ごと購入するため、多額の初期費用がかかります。
売却する際の対象顧客の多くは、一般消費者ではなく不動産投資を手がける事業者になることが多くなってきます。区分投資よりも利回りがよく、融資でも有利になる傾向があるなどメリットが多いのが特徴です。
自分の意思でリノベーションなどをする自由度も高いため、不動産投資において人気が高いといわれています。そのため、立地や満室などの状況によっては有力な買い手が高値で購入することも考えられます。
不動産の種類3:一戸建て
一戸建ては、長期的な入居により安定収入を得られる上に、土地ごと所有していれば、売却で得られる収入も大きくなります。メインのターゲットはファミリー層になるでしょう。
ファミリー層を対象にする場合、駅からの距離だけでなく、小中学校の近さや評判、通学路周辺の交通量など安全面も売却時の評価指標になってきます。
大きく3種類ある不動産ですが、それぞれ中心となる買い手が異なるため、売却する際には時期、立地など、買い手の都合も考慮した個別の戦略の立案が、高値売却のために不可欠になってくるでしょう。
不動産価格の評価方法とは
不動産価格の評価方法は、土地と建物によって異なります。それぞれの評価方法を説明しましょう。
まず土地の評価ですが、主に以下5種類の方法が用いられます。土地の価格を知りたい理由によって使い分けます。
実勢価格
実勢価格は、実際に取引が成立した価格であるため、一般的には最も市場価格に近い土地の価格と言えます。土地の購入主にアンケート調査しているため、例外的な取引事例を除けば、実態を踏まえた価格を知ることができます。
公示地価
公示地価とは、国土交通省が公表している1月1日時点における「1平方メートルあたり土地価格」です。実際の取引価格に近い数字となっているため、取引価格を決定する1つの指標となります。ただし価格が設定されていない土地もあるので、その場合には他の方法で評価する必要があります。
基準地価
基準地価とは、都道府県が公表している7月1日時点における「1平方メートルあたり土地価格」です。公示地価が設定されていない土地について、補完的な目的で土地評価の際に活用できる点がメリットです。
路線価
路線価とは、国税庁が毎年7月に公表している土地の評価額で、相続税や贈与税を算出する際に用いられます。おおよそ公示地価の80%程度の価格といわれています。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、固定資産税の計算時に用いる土地の評価額です。市区町村によって、3年に1回の頻度で最新版の評価額が算定されます。自治体から送られる「固定資産税の納付書」や「明細書」を確認すれば、カンタンに土地価格を評価できます。
不動産における土地の評価として、価格設定に関係する5つの基準を基礎情報として理解しておくことが重要ですが、不動産を高値で売却するという目的に最も沿っているのは、買い手の事情が色濃く反映されている実勢価格と言えるでしょう。高値売却を目指す際は、実勢価格を確認した上で、新入学のシーズンを狙うなど時期的な工夫や、潜在顧客が好むリフォームを実施するといった施策を組み合わせる必要があります。