マイナンバーカードは、マイナンバーが記載されたICチップ付きカードだ。非常に便利だが普及率は伸び悩んでおり、持っていない人も多い。現在、簡単に申請ができる「マイナンバーカード交付申請書(QRコード付き)」が順次送付されており、まさに申請する良い機会だ。マイナンバーカードの申請方法や注意点についてまとめた。 

マイナンバーカード交付申請書(QRコード付き):筆者撮影(写真=BCN+Rより引用)

意外と知らない、マイナンバーカードはこんなに便利!

「マイナンバーカードなんて必要ない」。そう思っている人も多いだろう。しかし、実はマイナンバーカードは、私たちの生活を便利にする機能が詰まったスマートなカードなのである。まずはその特徴を知るところから始めよう。

「マイナンバー」とは、日本で住民票を持つすべての国民に与えられた番号のこと。住民票を持っていれば外国人にも付与され、原則、生涯同じ番号を使用する。

従来から個人情報を管理する手段として【住民票コード】【基礎年金番号】【健康保険被保険者番号】などの番号があるが、これらは各機関で管理されており、独立したものである。そのため、情報の連携が必要な場面では、各機関同士の煩雑なやりとりが生じ、時間も手間もかかっていた。

しかし、マイナンバーで分野を超えた共通の番号が付与されると、個人の特定がスムーズになり、行政手続きなどの時間が大幅に短縮できるのである。

日本におけるマイナンバー制度は、2016年に導入されたばかり。諸外国に比べるとはるかに遅いスタートで、我々国民もよく理解していないまま始まってしまったイメージもある。情報収集を自ら行って、理解する必要があるだろう。

マイナンバーカードは身分証明にもなる(画像はイメージ)(写真=BCN+Rより引用)

マイナンバーカードでできるコト

マイナンバーカードは、ただマイナンバーの提示ができるだけではなく、さまざまな場面で利用できる。2021年2月現在だけでも、主に次の六つのことに使える。今後、さらにマイナンバーカードが活躍する場面は増えていくものと思われる。

(1)マイナンバーの証明書類
(2)身分証明書
(3)健康保険証(2021年3月~予定)
(4)オンラインでの行政手続き
(5)コンビニでの各種証明書の取得
(6)民間のオンラインサービスでの利用

中でも、マイナンバーの提示と本人確認が同時に済むのは便利だ。例えば、銀行での口座開設やパスポートの申請などの手続きがかなり簡略化されるだろう。窓口業務そのものもスムーズになるため、コロナ禍における混雑の緩和も期待できる。

21年3月から、健康保険証としても利用できるようになる予定。健康保険証を携帯してなくて困った経験があるかもしれないが、マイナンバーカードさえ持っていれば大丈夫な時代になったのである。

また、マイナンバーカードの裏面にはICチップが搭載されており電子証明書として利用できる。子育てに関する行政手続きなど、市町村の窓口に行かなければならなかったものが、オンラインでできるようになり非常に便利だ。

さらに、電子証明書を利用すれば、住民票の写しや印鑑証明書などの公的な証明書が近所のコンビニで取得できる。平日にわざわざ会社の休みを取って役所の窓口へ出向かなくてもいいのである。手数料も窓口と比べて100円安く済むため、お得だ。

民間企業でも、マイナンバーカードを利用するところが増えている。現在は、インターネットバンキングやオンライン取引などが主だが、この傾向は今後も拡大していくであろう。

市区町村によっては、独自の取り組みも始まっている。国としても、最近では新型コロナワクチンの接種状況の把握にマイナンバーを利用する方針が出されている。

今後は、他の予防接種の履歴が反映されるなどして、特に乳幼児期の予防接種状況がより分かりやすくなることが期待される。

24年には、マイナンバーカードと運転免許証の一体化が計画されている。

マイナポイントの申請期限は間近!

買い物の際やTVCMなどで、「マイナポイント」の名前は度々目にするだろう。これは、マイナンバーカードを申請するともらえるポイントのことで、上限は5000円相当と大きい。

マイナポイントは、ICカード・QRコード決済・クレジットカードなどの決済サービスのポイントとして付与されるが、付与率が25%とかなりお得になるため、見逃しては損である。

しかし、このマイナポイントがもらえる期限がある。21年3月末までにマイナンバーカードを申請し、マイナンバーカードが到着後マイナポイントの申し込みをする。その後、21年9月末までにチャージまたは買い物をすると、マイナポイント付与の対象になる。

キャッシュレス決済の還元対象期間は当初は20年9月1日~21年3月31日だったが、21年9月30日までに半年間の期間延長が決まった。とはいえ、マイナンバーカードの申請は期限が間近に迫っているため、速やかに申請した方が良いだろう。

気になる安全性は?

マイナンバーカードは、一枚のカードに個人に関するあらゆる情報が入っているイメージがあり、取り扱いに不安が生じるのも当然だろう。もし、マイナンバーカードを紛失してしまった場合はどうなるのだろうか。クレジットカードのように、マイナンバーカードが悪用されるケースはないのだろうかなど、いろいろ心配事があるかもしれない。

マイナンバーカードは、大きく三つの面で安全性が確保されている。

(1)マイナンバーは、他人が悪用できない仕組みになっている
(2)マイナンバーカード(ICチップ)には、プライバシー性の高い情報は入っていない
(3)24時間365日体制で、マイナンバーカードの一時利用停止が可能

番号だけでの利用はできず、必ず顔写真付きの本人確認書類が必要だ。番号を見られてしまったとしても、なりすましての使用は難しいだろう。

また、マイナンバーから個人情報は調べられないため、情報流出の心配もない。健康保険証としての利用も始まるが、ICチップ内に検診結果などのデータは記録されない。税や年金に関する情報もICチップからは読み取れないので安心だ。

マイナンバーカードの利用には暗証番号が必要で、数回間違えるとロックがかかるという手間はある。また、ICチップの情報を無理に読み取ろうとすると壊れる仕組みになっており、セキュリティは高いと言える。万が一紛失してしまった場合には、すぐにコールセンターに電話して一時利用停止の措置をとると良い。その点では、クレジットカードやキャッシュカードと同じ感覚だと考えて良いだろう。