会社員(給与所得者)でも、手書きや「国税庁 確定申告書等作成コーナー」で手順に沿って申告書を作成し、郵送やe-Taxで確定申告すると、税金が戻ってくる場合がある。これらは還付申告となるため、確定申告期間とは関係なく、申告対象年の翌年1月1日から5年間提出できる。こうした確定申告で税金が戻ってくる事例を具体的に紹介しよう。

確定申告で税金が戻ってくる三つのパターン 申告時期はいつでも可
(画像=会社員(給与所得者)確定申告すると
税金が戻ってくる、還付申告の具体例、『BCN+R』より引用)

そもそも確定申告とは?

 国内で所定の収入を得た場合、定められた計算方法にのっとって所得税を納める義務がある。一年間の収入と費用を集計し、納めるべき所得税を計算して申告する作業を確定申告という。

 事業所得や給与所得、不動産所得など、定められた種類の収入を得た場合には所得税を納める義務を負う。個人事業主などは毎年行っている作業だ。この確定申告には期限があり、確定申告シーズンの税務署は非常に込み合う。

 対して、給与所得者は、勤務している会社が代わりに所得税を申告するため(年末調整)、確定申告は原則不要。収入が2000万円を超えている、複数の勤務先から収入を得ているといった場合のみ、確定申告が必要となる。

確定申告で税金が戻ってくる三つのパターン 申告時期はいつでも可
(画像=給与所得者で確定申告が必要となる場合。
大方の人は、年末調整により
所得税などが精算されるため、申告は不要、『BCN+R』より引用)

 給与所得者であっても年末調整後に、確定申告をした方が良いケースもある。それは、所得税の還付が受けられる場合だ。具体的には「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」の三つ。分かりやすく言いかえると、「医療費がかさんだ場合」「一定の条件を満たす寄付を行った場合」「災害や盗難の被害を負った場合」の3パターンだ。

 また、消費増税の特例により最長13年間、年度末時点の住宅ローン残高の1%(控除上限40万円、認定長期優良住宅の場合は上限50万円)が控除され、いったん納めた所得税(所得税だけで控除しきれない場合は翌年度の個人住民税)が戻ってくる「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」の初年度は確定申告が必ず必要となる。住宅ローン控除要件を全て満たし、住宅ローン控除を受けたい場合は、忘れずに確定申告しよう。

確定申告で税金が戻ってくる三つのパターン 申告時期はいつでも可
(画像=入居年による住宅ローン控除の控除期間と
面積要件の違い、『BCN+R』より引用)

医療関係の費用がかさんだ場合

 一年間に支払った医療費およびその関連費用が一定額を上回った場合、確定申告で、所得額の控除が可能だ。医療費控除は、確定申告をする本人の医療費だけでなく、生計を一にしている配偶者などの親族の医療費も計算に含められる。

 ただ、一年間に支払った医療費の全額が控除対象となるのではなく、医療費の金額から一定の金額を差し引いた残りの部分が控除対象となる。医療費から差し引く金額は、一年間の所得金額に0.05を乗じて得られた金額あるいは10万円のうちいずれか少ない金額。所得金額が200万円を超えている場合、10万円が目安となる。

確定申告で税金が戻ってくる三つのパターン 申告時期はいつでも可
(画像=医療費控除の概要、『BCN+R』より引用)

 医療費控除と選択適用でセルフメディケーション税制もあるが、対象となるスイッチOTC判断が難しいので医療費控除のほうが利用しやすいだろう。ざっくりまとめると、家族全員の医療費の合計が10万円を超えた場合、確定申告をすれば医療費控除で還付受けられるのでぜひ実行しておきたい。