「闇バイト」という単語を知っているだろうか。出会い系のサクラ、オレオレ詐欺に加担する出し子や受け子といった、違法な手段で高額な報酬を受け取るアルバイトを指す言葉だ。「同時に被害者と加害者になる」として近年問題になることが多かったが、最近は特に、コロナ禍で困窮して手を染める人も増えているという。そんな闇バイトでは、主犯格と実行役として雇われたアルバイトの連絡手段として、とある共通のアプリが使われているという。それがロシア発のチャットツール「Telegram(以下、テレグラム)」だ。テレグラムとは一体どんなアプリなのだろうか。犯罪が横行しているなら、サービス停止になることはないのだろうか。今回はテレグラムの実態について解説していきたい。

闇バイト強盗の95%が使用するテレグラム…メリットは「メッセージが残らないこと」

ヤバすぎるチャットツール「テレグラム」闇バイトで利用多発もサービス停止できないワケ
(画像=Image:Allmy / Shutterstock.com、ロシア発のチャットツール・テレグラム。現在のユーザー数は5億に近づいているという、『オトナライフ』より引用)

産経新聞によると、令和元年以降に警視庁捜査1課が摘発した強盗事件41件のうち39件でテレグラムの使用が確認されたことが、捜査関係者への取材で明らかになった。つまり、強盗を働く闇バイトの95%でテレグラムが使われていたということだ。
テレグラムは、「LINE」「Messenger」のようなチャットツールのひとつ。日本を含めアジア圏で広く使われているLINEのユーザー数が約2億人なのに対し、テレグラムのユーザー数はまもなく5億人に達すると言われている。現在公式での日本語サポートはされていないが、裏技的に日本語化させる方法もあり、日本人でも十分に使いこなせるアプリだ。
テレグラム最大の特徴は、ユーザー同士で“シークレットチャット”ができること。シークレットチャットではメッセージが暗号化されるため、運営側にさえやりとりが見られることはない。また、時限式の自動削除メッセージを送ることも可能。犯罪の証拠になり得るやりとりをしても、一定時間経過すると自動でメッセージが消えるため、証拠隠滅ができてしまうのだ。ほかにも、メッセージの転送操作を禁止されていたり、ログアウトと同時にメッセージが消えたりとセキュリティが非常に強固。痕跡を残したくない闇バイターたちの温床になるのは無理もない。