2022年度に小学校に入学予定の子どもを対象にした、ランドセルの新モデルの販売がはじまった。工房系といわれる、独自のこだわりを持ってつくられるランドセルの人気が高まっている。年々早まるランドセル商戦だが、遠くに暮らす祖父母となかなか会えない今、たっぷりあるおうち時間を利用して、リモート検討会を実施するのもいいだろう。「ラン活」の最新事情をまとめた。

2022年度版「ランドセル選び」、おうち時間で祖父母とじっくり検討を!
(画像=『BCN+R』より引用)

年々早まる「ラン活」

2022年度の「ラン活」はすでにスタートしている。数年前までのランドセルの購入時期のイメージは、夏休みのお盆が多数派で、祖父母に買ってもらうケースが多いのがその理由だった。しかし2、3年の間にランドセルの購入時期はどんどんと前倒しになり、5月のゴールデンウイーク前の4月や3月からスタートしている。

タイミングとしてはやや遅いかもしれないが、今年の連休も外出自粛が求められる中、離れた祖父母とZoomなどのリモートシステムを使ってランドセル選びを検討する時間はたっぷりとある。納得のいくランドセル選びのために、選ぶ際のポイント、新たに定着し始めた機能を紹介する。

こだわりの工房系が人気

ランドセルを選ぶ基準は家庭ごとにそれぞれだが、最近の傾向となっているのは「こだわり」である。ランドセルのデザインとともに、機能面にこだわりをもって選んでいる人が多い。そのため、大手にはない「個性」を求めて、工房系ランドセルの人気はこれからもさらに高まることが予測される。

工房系のランドセルは、大手メーカーのような大量生産ができないため、数に限りがある。こだわりのランドセルを手に入れるためには、早めのチェックが欠かせない。

4月までにほぼ出そろう

2022年度入学用の新製品の販売時期はメーカーにより異なるが、4月にはほぼ出そろう。例えば、大手メーカー3社では次のようなタイミングで販売を開始した。

・セイバン公式・ランドセル通販:2021年2月26日より販売を開始
・フィットちゃん:2021年3月1日より販売を開始
・ふわりぃ公式オンラインショップ:2021年3月1日より販売を開始

工房系メーカーも2~3月下旬に向けて販売を開始した。

・黒川鞄工房:2021年3月25日より販売を開始
・萬勇鞄:2021年3月1日より販売を開始
・池田屋:2021年2月28日より販売を開始

2022年度のランドセル事情

2021年度のラン活は三密回避などの配慮から、ランドセル展示会の中止が相次いだ。22年度においては予約制や人数制限を設けるなどしているが、地域によっては中止になったケースも見受けられるので、展示会に参加する場合はホームページでチェックしよう。以下は、2021年4月30日現在の情報となる。

・合同ランドセル展示会2021:昨年は中止。今年は完全予約制で開催。神戸会場は中止
・ランドセルわくわくフェスティバル2021:昨年は中止。今年は完全予約制で開催したが4月で既に終了

家でランドセルを装着できる

大勢の人が集まる展示会に行くのに抵抗がある人や、かといって資料だけで、それなりに高額なランドセルを選ぶのに不安がある人には、「レンタルランドセル」という手法がある。

ある程度ランドセルの候補を絞った上で、自宅でつけて試しから購入が決められるのだ。ただし、すべてのメーカーが行っているわけではないので、注意が必要だ。

レンタルランドセルを実施している主なメーカーは、ふわりぃ、セイバン、フィットちゃん、土屋鞄、モギカバン、ララちゃん、アラタ、グリローズ、カバンのフジタなどとなっている。

料金は3300円~無料までと幅広い。貸出期間はおおむね到着後3日間というケースが多い。例えば、水曜日や金曜日に発送して、翌月曜日に返却手続きや返却するといった具合である。

借りられるランドセルの個数も、1回につき1個が多いので、先述したように、ある程度絞ってから依頼しよう。送料は、配送時と返送時で別々になっている。配送時は無料が多く、返送時は自己負担というケースが多い。もちろん、両方、自己負担というメーカーもある。

このご時世、安心して家でランドセルをつけてみることができるレンタルランドセルという選択肢は有望だろう。

デジタルと紙のカタログを使い分ける

資料請求は、従来通り「紙」のカタログが主流だ。理由は、子どもと何度も見直すには、紙という媒体が便利だからである。

しかし、人気のメーカーでは紙の資料請求が早くに終了してしまう場合もある。また、デジタル社会の今、特に紙にこだわらない人も多いだろう。そのような場合、デジタルカタログという手がある。例えば、デジタルカタログで大まかなあたりをつけてから、本命メーカーのカタログを請求するという方法もありだろう。

デジタルのいいところは、スマートフォン(スマホ)のアプリでカメラ機能を使いながら、つけて試したときのイメージを確認したりできること。


例えば、フィットちゃんでは「フィットちゃん ランドセルアプリ」というアプリがあり、全190種から選ぶことができる。背負ってみたいランドセルを選んで、ポーズを決めて撮影すれば疑似的に装着できる。撮影した写真は、SNSで共有できるので、遠く離れた祖父母に送ったりするのに便利だ。

2022年度版「ランドセル選び」、おうち時間で祖父母とじっくり検討を!
(画像=「フィットちゃん ランドセルアプリ」、『BCN+R』より引用)

ほかにも、鞄工房山本は紙のカタログと同じように見られるWebカタログを用意していたり、YouTubeやInstagramを使った動画チャンネルを開設していたりする。

2022年度版「ランドセル選び」、おうち時間で祖父母とじっくり検討を!
(画像=鞄工房山本のWebカタログ、『BCN+R』より引用)

テレビ番組を見るように動画でランドセルが紹介されるので、動画世代の子どもたちには、楽しくランドセル選びができるかもしれない。

タブレット端末対応モデルの必要性

ここにきて、子どもの学習でタブレット端末を使う学校が急増している。昨今の生活様式の変化がさらに後押している形だ。ランドセル選びでも、タブレット端末対応タイプが登場している。今後、タブレット端末対応は標準仕様になる可能性すら感じさせる。

例えば、イオンのみらいポケットシリーズは、2021年度より取り外し可能なタブレット収納モデルを販売。10.5インチサイズのタブレット端末が楽々と収納できるのが売りだ。

2022年度版「ランドセル選び」、おうち時間で祖父母とじっくり検討を!
(画像=イオンの「みらいポケットシリーズ」はタブレット端末対応モデルも登場、『BCN+R』より引用)

しかし、学校によってはタブレット端末の家への持ち帰りを禁止している場合もある。入学予定の小学校の対応状況を、在校生の親などから事前に聞いて知っておくと、ランドセル選びに役立つだろう。

「A4フラットファイル」対応が標準になりつつある

教科書やファイルのサイズが、ビジネスだけでなく学校でもA4サイズが増えるようになってしばらく経つ。こうした背景から、数年前までは、A4クリアファイル対応が主流だったが、ここ数年でA4フラットファイル対応へと変わり始めている。ランドセルも、時代のトレンドを敏感に取り入れているのだ。両タイプの違いは次のようになる。

・A4クリアファイル対応:厚みのないA4ファイルが入る
・A4フラットファイル対応:厚みのあるA4ファイルも入る

つまり、A4フラットファイル対応のほうが、ランドセルのマチがあるのが特徴だ。一方で、A4クリアファイル対応はマチが少ない分、ランドセルの重量が軽くなる傾向にあるなど、一長一短がある。

学校の対応や通学にかかる時間は、それぞれの居住や地域に差があるので、自分の子どもにあった機能を選択しよう。