社長を多く輩出している大学は、どこだろうか?2019年7月に発表された、帝国データバンクの「全国社長出身大学分析(2019年)」を見てみよう。さまざまなデータから、各大学がランクインした理由などを紐解いていこう。

社長数ランキング1位は去年に続いて日本大学! 2位慶応義塾大学の約2倍

(画像=帝国データバンク「全国社長出身大学分析(2019 年)」)

 
帝国データバンクの「全国社長出身大学分析(2019年)」は、社長の数や年商などの項目別に、上位30校までをランキング形式でまとめたものだ。基になったのは、約147万社を収録した企業概要データベース「COSMOS2」から抽出した、約27万4,000人の社長の出身大学データである(2019年6月時点)。

去年に引き続き、「日本大学」(2万741人)が最多で1位。2位「慶應義塾大学」(1万669人)とは1万人以上の差をつけた。続く3~5位までは前年と同じで、6位「近畿大学」と7位「法政大学」の順位が入れ替わっている。

国立大学では、去年20位だった「東京大学」が1つ順位を上げ19位に、「京都大学」は去年と同じ29位だった。ランキング上位を学生数の多い私立大学が占めるなか、国立大学では上記の名門2校がランクインした。

社長数が1位の「日本大学」は、実は「大学学生数ランキング(2017年)」でも1位(7万677人)だ。社長数が2位の「慶応義塾大学」は学生数3万3,500人、3位の「早稲田大学」は5万439人。国立大学の学生数ランキング(2018年時点)では、1位「東京大学」(2万7,654人)、2位「大阪大学」(2万3,304人)、3位「京都大学」(2万2,484人)となっている。

「社長の出身大学ランキング」で上位を占める私大は、分母となる学生数も多い。そのため、「日本大学」などの有名・名門私大が上位にランクインしたと考えられる。学生数に占める社長の割合では、「日本大学」と「慶応義塾大学」が約3%であるのに対し、「東京大学」は約10%だ。

上場企業では「慶応義塾大学」がトップ!東大、京大などの国立大学も奮闘

(画像=帝国データバンク「全国社長出身大学分析(2019 年)」)

上場企業では「慶應義塾大学」(264人)が1位で、2位「早稲田大学」(187人)に大差をつけている。また3位「東京大学」(175人)、4位「京都大学」(80人)と国立大学が奮闘している。

慶應義塾大学には、OB組織「三田会」がある。三田会は国内の“大学同窓会”では最も古く、約35万人もの会員数を誇る。慶應義塾大学は2017年卒「有名企業400社への実就職率が高い大学」においても、1位「一橋大学」(58.9%)、2位「東京工業大学」(56.1%)に次いで 3位(46.5%)にランクインしている。

さらに日本の三大財閥グループの商社である三菱商事、三井物産、住友商事への就職数も、「早稲田大学」や「東京大学」を押さえ、3社とも「慶應義塾」が1位だ。

「慶應義塾大学」の三田会の影響力に定評があるのは、このような実績があるからだろう。

年商500億円以上の大企業の社長の出身大学1位も「慶應義塾大学」

(画像=帝国データバンク「全国社長出身大学分析(2019 年)」)

年商別に社長の出身大学を調査したデータもある。50億円以上ではすべてのレンジで「慶應義塾大学」が1位だ。100億~500億未満に「東京大学」、500億以上に「京都大学」と年商が増えるにつれて国立上位校がランクインしているのが興味深い。

前述の「上場企業社長の出身大学30位」でも触れたが、もともと「慶應義塾大学」は有名企業や財閥などへの就職率が高い。そのため、「慶應義塾大学」の卒業生が売上規模の大きい企業の社長に就任する確率は高くなる。

「みんなの大学情報」が発表した「有名人ランキング-社長部門-」で、225大学中1位(361人)は東京大学だった。株式会社ミクシィ社長・笠原健治氏や西武ホールディングス社長・後藤高志氏など、日本を代表する大企業の社長や創業者を輩出している。

社長の年齢別出身大学ランキング!40歳未満は「慶應」、40代以上は「日大」

(画像=帝国データバンク「全国社長出身大学分析(2019 年)」)

 
多くの年代レンジで「日本大学」が首位を独占するも、40歳未満は「慶應義塾大学」が1位だった。80歳以上では、「慶應義塾大学」は5位。このことから、「慶應義塾大学」OBには“若い社長”が多いと推測できる。また、今年の40歳未満では「東京大学」に代わって「法政大学」が5位にランクインしている。

帝国データバンクが発表した「全国・女性社長分析(2019年)」によれば、女性社長の出身大学は「慶應義塾大学」(230人)が2年連続で最も多かった。2013年に英国の新聞社タイムズが発行した高等教育情報誌Times Higher Educationでは、世界的な大企業のトップの出身大学ランキングで、「慶応義塾大学」が9位だった。

社長の出身大学を見る意義とは?

社長数では、去年に引き続き2019年も「日本大学」が圧倒的な強さを見せた。学生数の多い私大が上位を占めているが、売上規模の大きい企業では「東京大学」や「京都大学」などの有名国立大学が上位に食い込んでくる。

40歳未満の社長数で5位から転落した「東京大学」は全体の約30%、「京都大学」では約34%が大学院などに進学する。つまり一般の大学生と比べると、社会に出るのが少なくとも2年は遅れることになる。

大学に進学する目的は、就職や起業だけではない。しかし「社長の出身大学別ランキング」は、子どもが大学を選ぶ際の参考になるだろう。子どもが大学受験を控えているなら、上記のデータを参考にしてみてはいかがだろうか。

文・高塔琳子
 

【関連記事】
仕事のストレス解消方法ランキング1位は?2位は美食、3位は旅行……
就職ランキングで人気の「三菱UFJ銀行」の平均年収はいくら?
職場で他人を一番イラつかせる行動トップ3
35歳以上で転職した人の52%が年収アップ!うち4割は100万円以上も増加
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング(PR)