今年7月に1万人超のリストラ計画を発表した日産自動車が、2019年度上期の決算を発表した。主力市場での販売低迷やシェア減少などが影響し、前年同期に2,000億円以上あった営業利益は85.0%減の300億円台に下落した。ゴーンショックで揺れに揺れた日産は、復活を果たせるのか。

2019年度上期、本業の儲けを示す営業利益は85.0%減

日産の2019年度上期(2019年4~9月)の連結業績は、売上高は前年同期比9.6%減の5兆30億7,500万円、本業の儲けを示す営業利益は前述の通り同85.0%減の316億800万円、経常利益は同64.9%減の1,156億4,200万円、純利益は同73.5%減の653億6,500万円に留まった。

2019年度の通期決算の見通しも大幅に下方修正し、売上高は前期比8.4%減の10兆6,000億円、営業利益は同52.9%減の1,500億円、純利益は同65.5%減の1,100億円となる見通しだ。このような業績不振により、年間の配当見通しについても未定に変更している。

業績悪化、世界的な自動車販売台数の低迷が影響

上期決算が厳しい内容になった理由の一つは、世界的な自動車販売台数の低迷だ。第2四半期(7~9月)の世界自動車販売台数は前年同期比7.5%減の127万台。中国での販売は好調だったが、主力市場であるアメリカやヨーロッパ、日本では振るわなかった。

上期の累計販売を見ても、厳しい数字が並ぶ。世界自動車販売台数は前年同期比で6.8%減の250万1,000台で、世界における日産の市場占有率は0.1%減の5.7%だった。本国日本での販売台数は、同1.3%減の28万1,000台に留まった。

営業利益の大幅下落は、為替や規制への対応、原材料価格の高騰などの外部的要因も影響している。

次期マーCFO「事業改革を着実に」、新運転支援システムも好評

今後の見通しについて、12月に最高財務責任者(CFO)に就任予定のスティーブン・マー常務執行役員が記者会見の場で説明を行った。

説明の中で「事業改革と収益力のリカバリーを着実に進める」と強調したものの、営業利益が厳しい状況になっていることにも触れ、今期の業績予測を下方修正せざると得なかったと述べた。未定とした年間配当については、「次期CEOを含めた新たな経営陣とともに中期計画と合わせて再度議論を行い、改めて説明したい」と述べている。

このような事態に陥っている日産だが、お先真っ暗というわけでもない。

日産は9月に新型「スカイライン」の販売を開始し、先進的な運転支援技術が強みの「プロパイロット2.0」がユーザーから好評を得ている。これは、来たる自動運転時代に「技術の日産」が復権を果たす可能性を感じさせるものだ。マー常務執行役員も「非常に好調な立ち上がり」とコメントしている。

3月に発売した軽自動車の新型「デイズ」の売れ行きも好調で、上期の軽自動車の販売台数が前年同期比で20.9%増となったことに寄与した。

販売台数は横ばい、売上高は微減傾向 復活の道筋を見出せるか

日産の世界での販売台数は近年横ばいの状況が続いており、2015年度が542万3,000台、2016年度が562万6,000台、2017年度が577万台、2018年度が551万6,000台。売上高は緩やかな下降傾向にあり、2015年度に12兆1,895億円だった売上高は、2018年度は11兆5,742億円に減少している。

ゴーンショックが冷めやらない中、日産は事業改革や先進技術で復活の道筋を見出せるだろうか。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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